日本養豚学会誌
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最新号
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原著
  • 寺田 圭, 鈴木 駿, 大谷 利之, 岡部 修一, 大塚 誠
    2023 年 60 巻 4 号 p. 131-137
    発行日: 2023/12/21
    公開日: 2024/03/08
    ジャーナル フリー

    肉豚の背脂肪厚は,豚枝肉等級の格付けに大きく影響する。通常,豚の背脂肪厚は,超音波測定器による客観的な数値化測定が推奨されている。しかし,その測定には測定部位の体毛除去やゲル塗布に手間がかかるので敬遠されている。そこで,イヌやサルの体脂肪を体毛除去なしに測定できる生体インピーダンス法に着目した。本研究では,生後20週齢と出荷前日の2回,肥育豚(WLD,35頭)の体長1/2部位においてハンディ型インピーダンス測定器を用いて測定したインピーダンス値(周波数50 kHzおよび100 kHz)のインピーダンス値比(100 kHz/50 kHz)と,超音波測定器で測定した背脂肪厚値との関係性から,生体インピーダンス法による背脂肪厚値推定について検討した。また,出荷後の枝肉の背脂肪厚評価(薄脂,通常,厚脂)と生後20週齢のインピーダンス値との関係も検討した。その結果,生後20週齢の体毛除去前や出荷前日の体毛除去後インピーダンス値比と超音波背脂肪厚の間には決定係数0.7以上の当てはまりの良い回帰式が得られた。また,生後20週齢の体毛除去後や出荷前日の体毛除去前では決定係数がやや低下したものの,それぞれ決定係数0.67,0.65の回帰式が得られた。さらに,枝肉の背脂肪厚評価においても,体毛除去の有無に関わらず薄脂と厚脂の間に有意な差(p<0.05)が認められた。以上の結果から,生後20週齢の段階では生体インピーダンス法を使用して体毛除去なしに背脂肪厚を推定することが可能であり,同時点のインピーダンス値比から出荷後の枝肉の背脂肪厚評価を推定できる可能性も示唆された。

短報
  • 祐森 誠司, 渡邉 貴之, 蜷川 琢磨, 王堂 哲
    2023 年 60 巻 4 号 p. 138-144
    発行日: 2023/12/21
    公開日: 2024/03/08
    ジャーナル フリー

    本試験は若齢雄豚の血漿中L-カルニチン濃度と精子性状との関係を評価することを目的とした。血液と精液は53頭の189〜394日齢(平均約300日齢)のデュロック種豚から採取した。総精子数,精子の総運動率,直進運動率と血漿中L-カルニチン濃度との相関分析を行った。そのうち精子の直進運動精子率と遊離型L-カルニチン濃度との間に弱い正の相関(r=0.253, p=0.068)を認め,L-カルニチンの血中濃度測定により精子性状を推定し得る可能性が示唆された。今後より多くの雄豚を対象とした試験によるL-カルニチン血中濃度と精子性状の因果関係の究明が待たれる。

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