Drug Delivery System
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21 巻, 5 号
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特集 “感染症におけるDDSの応用と将来の展望” 編集 : 山中 昇
  • 〓原 克紀, 河野 茂
    2006 年 21 巻 5 号 p. 492-500
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症の代表である肺炎は, わが国における死因の第4位であり, いまだ危険な疾患である. 特に高齢者においては, 発症頻度や死亡率が高いため, 高齢化社会が進むわが国では重要である. また, 最近では, 病原菌の耐性化が臨床的に大きな問題になっている. 抗菌薬に対して細菌が耐性を獲得するのは時間の問題であり, 耐性を獲得していく耐性菌に対し抗菌活性を有する抗菌薬を開発するという対応では限界があり, 既存の抗菌薬のDDS製剤化や抗菌薬によらない治療法の開発が必要になってきている. アンチセンス法やRNAi法は, 抗菌薬に依存しない呼吸器感染症治療法として注目されつつある.
  • 成戸 卓也, 横田 俊平
    2006 年 21 巻 5 号 p. 501-504
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    粘膜ワクチンは, 粘膜より免疫反応を賦活化させ感染を予防するとともに, 抗原特異的免疫寛容の誘導を介して全身的な炎症性疾患を治療することが出来る手段として, 近年, 注目されている. 粘膜ワクチンへのDDSの応用について紹介する.
  • 東海林 洋子, 児玉 耕太, 浅井 大輔, 片山 佳樹, 中島 秀喜
    2006 年 21 巻 5 号 p. 505-515
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    HIV感染細胞のみに発現するHIVプロテアーゼを利用した細胞内シグナル応答型のDDSについて述べる. HIVプロテアーゼで特異的に切断するペプチドを合成し, HIV感染細胞での選択的切断を検討した. また, 細胞内シグナルとして, 筆者らは一酸化窒素 (NO) に着目している. しかし, NOの半減期は秒単位ときわめて短く, その動態について詳細を測定することはきわめて困難である. 筆者らは, 電極法を用いてNOを測定しているのでそれについても紹介する.
  • 丸山 一雄, 滝澤 知子, 鈴木 亮, 宇都口 直樹
    2006 年 21 巻 5 号 p. 516-522
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    ポリエンマクロライド系抗真菌剤であるアムホテリシンB (AmB) は, 深在性真菌症の治療に用いられているが, 腎障害などの重篤な副作用を示すため, その使用に制限がある. したがって, DDSによる副作用の軽減が望まれている. AmBは水やほとんどの有機溶媒に不溶なため, そのリポソーム化は困難であったが, ポリエチレングリコールのリン脂質誘導体 (DSPE-PEG) と9% sucroseを用いることで, AmBを容易かつ多量にリポソームに封入できることを見いだした. AmB-PEGリポソームは, アスペルギルス感染マウスにおいて高い血中滞留性を示し, 肺内皮細胞に対する抗体 (34A) の付与で, AmBisomeにくらべて高い治療効果を示した.
  • 鈴本 正樹, 島田 純, 山中 昇
    2006 年 21 巻 5 号 p. 523-528
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    近年の薬剤耐性菌の急増に伴い, 従来まで経口抗菌薬により良好な経過をとっていた急性中耳炎や副鼻腔炎の難治化が臨床上の大きな問題となっている. 薬物移行が不良である中耳腔および副鼻腔における感染症に対しては, 抗菌薬の持つ殺菌作用のみでなく, 有効な抗菌薬濃度を感染局所へ到達させるdrug delivery system (DDS) の利用が鍵となる.
    チンチラ実験的中耳炎モデルを用い, 徐放抗菌薬製剤による治療効果についての比較検討を行った結果, 徐放抗菌薬製剤は全身投与あるいは局所点耳投与に比較して高い除菌効果を示した. 徐放製剤を用いた局所抗菌薬治療は, 感染局所へ高濃度の抗菌薬を長期間作用させることができ, 薬剤耐性菌が急増する現状においても有効な治療法の一つとなるものと期待される.
  • 山本 寛
    2006 年 21 巻 5 号 p. 529-535
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    深在性真菌症治療薬のamphotericin B (AMPH-B) は, 幅広い真菌に対して殺菌的な作用を示すといったすぐれたプロファイルを持つ. しかしながら, 種々の重篤な副作用を高頻度で引き起こすといった欠点も有する. AMPH-Bのすぐれた薬効を維持したまま, 副作用の低減化を図るために, DDSを応用したAMPH-B脂質製剤が開発されてきた. 本稿では, AMPH-B脂質製剤の特徴について概説したい.
原著論文
  • 澤田 英範, 川上 淳二, 川村 尚久, 山内 仁史, 高山 敏
    2006 年 21 巻 5 号 p. 537-544
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/15
    ジャーナル フリー
    非ステロイド性消炎鎮痛剤 (NSAIDs) の一つであるメロキシカムを用い, 皮膚透過性に及ぼす作用機序の異なる吸収促進剤の併用効果について評価した. その結果, 薬物の溶解度に寄与する添加剤と皮膚中での拡散または皮膚への分配に寄与する添加剤を併用することで, 高い皮膚透過性が得られた. また, 製剤 (テープおよびパップ剤) では, 薬物の溶解度に寄与する添加剤の性質により皮膚透過性が異なることが明らかとなった. 以上より, 高い皮膚透過性を得るには, 溶解度に寄与する添加剤と拡散または分配に寄与する添加剤の併用や, 基剤に適した添加剤の選択が重要であることが明らかとなった.
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