大阪府保健婦長会「低肺機能者」研究グループは,全保健婦を対象に援助の実態を調査した.結果として,府立羽曳野病院からの退院連絡票を受けて昭和61年から個別援助を続けていた周辺の保健所が,集団援助などその他すべての面で飛び抜けていることが明らかになった.
呼吸器疾患患者に呼吸リハビリとして運動負荷トレーニングを継続するにあたり,ADL (activity of daily living) 判定尺度表の有用性を検討した.慢性呼吸不全患者ではトレーニング20回,40回ともに現在の尺度表で評価できたが,活動性の高い非呼吸不全患者には尺度表の感受性は低かった.尺度表の自立度を示した項目は患者の状況をよく反映する.しかし生活動作に問題がなくなった患者に関しては,QOLが反映できるような評価表が必要と思われる.
パルスオキシメーターから指尖容積脈波を出力し,咳に特有な脈波型を見出しこれを咳モニターシステムとして応用した.
これまでの音響学的解析によるモニターとは全く異なり,咳に伴う循環動態からアプローチした新しい咳モニターシステムである.
在宅酸素療法(HOT)患者のactivityの拡大を目標に医師,看護婦,理学療法士(PT)による呼吸リハビリテーションチームを組織し活動してきた.しかし,実生活では,日常生活動作における酸素吸入の不十分さが問題となり,作業療法士(OT)の協力を依頼し家庭訪問の実施により,さらに充実したHOTが実現できた.退院後の継続的PTあるいはOTの関わりが今後の問題点と考えられる.
用手的胸壁振動法(軽打法)の作用機序ならびに,有効な実施方法を知るために,胸壁軽打部位や体位による軽打時の圧伝達について検討を行った.
胸壁から肺実質,気道への圧伝達は,胸壁軽打部位により異なり,座位では下肺部において圧伝達がよく,臥位においては上下胸部とも圧伝達に差がないことが確認された.
気管ボタン装着慢性呼吸不全症例において,発声の保持,日常生活動作の向上を目的に酸素節約装置を工夫し,換気不全型在宅酸素療法症例3例に試用し有用であったので報告する.高研(株)製レティナのスピーチバルブ上にキャップ式ボタンおよび酸素ラインを接続した構造になっており,経気管酸素マスク投与:28%4.0 l/minから,おのおの0.25 l/i>/min,1.0 l/i>/min, 1.0 l/i>/minの酸素投与にて同等のPaO2が得られた.
MRSAが培養された気管内挿管・気管切開施行中の患者を対象として,患者環境および直接関与する医療従事者(担当医師,看護婦)のMRSA汚染状況を調査した.患者の鼻腔・手指,2人部屋の仕切カーテン,医療従事者の鼻腔,処置後の手指からMRSAが分離培養された.患者病室以外の病棟各所の調査では,MRSAは検出されなかった.ウエルパスによる手指消毒,次亜塩素酸ナトリウムによる床消毒の有効が示された.
安定期の慢性呼吸不全患者22例を対象に,歩行中の血中乳酸値およびSpO2を測定した.最大努力歩行では,乳酸増加度とSpO2低下に有意の相関を認め,7例では乳酸値が2 mMを越えていた.SpO290%以上を維持する歩行では乳酸の上昇は軽微であった.慢性呼吸不全患者では歩行によってanaerbic thresholdに達しうるが,低酸素血症を招来する危険が大きく,運動療法にあたり注意が必要である.
近年,ITL装置は慢性閉塞性肺疾患患者を中心に呼吸筋耐久力の評価やトレーニングなどに実用化されつつある.この装置を自発呼吸モデル肺に装着し,各種ウイーニングモードにおける肺の吸気仕事量を測定してみると,一定の負荷を産出し回路内で良好に作動した.さらにCPAPモードに接続されたICU患者にITL装置を装着すると,その回路内で一定の吸気圧負荷が得られ安全に使用できた.ITLは負荷圧を調節することにより,人工呼吸器回路内でウイーニング時の患者にも応用しうると考えられた.
膠原病に合併した間質肺炎の症例に対し2種のステロイドパルス療法(変法パルス法とhalf dose法)を施行し,その両者を比較検討した.その結果,変法パルス療法のほうが有効である結果が得られた.すなわち,早期に多量のステロイドを投与し,10日ほどは漸減的に血中ステロイド量を高く維持することが,間質性肺炎を寛解に導くために必要であることが示唆された.
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