日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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15 巻, 2 号
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原著
  • 蓮沼 智子, 上里 一雄, 中村 正彦, 矢地 孝, 飯島 肇, 有沢 紀子, 山田 宏美, 山崎 朋子, 式部 雅人, 高柳 博, 瀧本 ...
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 243-250
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD),特に慢性気管支炎を中心とした日本人患者を対象に,hydrofluorocarbon(CFC代替製剤HFA)を含む製剤であるアトロベントエロゾル 20 μg(ATR-HFA)の有効性と安全性を,chlorofluorocarbon(CFC)を含むフロン製剤アトロベント®(ATR-CFC)と比較検討した.1秒量(FEV1)より求めた最大改善量(ΔFEV1max)は,調整済み平均値でATR-HFAが 339 mL,ATR-CFCが 332 mL であり,COPD患者に対してFEV1改善効果が確認された.主要評価項目であるΔFEV1max平均値の差の95%信頼区間(-64~78 mL)は同等性許容域(±90 mL)の範囲内であり,両製剤の治療学的同等性が証明された.安全性については,両製剤で特に臨床的差異は認められなかった.

  • 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 清川 憲孝, 笠井 千景, 渡邊 暢, 藤井 清佳, 加賀谷 斉, 本間 光信, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 251-255
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーション(リハ)を3ヵ月以上継続して施行したCOPD患者56名をPImaxが 60 cmH2O 以下の群と60 cmH2Oを超える群に分け,呼吸リハの効果を検討した.結果,60 cmH2O を超える群は,%VC,FRC, PEmax, 6MWT及びCRW (total, mastery)が有意に改善していた.60 cmH2O 以下の群は,VC, %VC, FVC, FEV1.0, RV/TLC,胸郭拡張差,PImax, PEmax, 6MWT および CRQ (totalと各領域)が有意に改善していた.改善率の比較では,呼吸機能,胸郭拡張差,呼吸筋力,6MWT, Borg scale, HRQoLのいずれの指標においても両群間に差を認めなかった.呼吸リハは,60 cmH2O 以下の群において効果的であった.

  • 大塚 京平, 佐々木 誠
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 256-259
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    健康な男女25名を対象に,対照群を設定し,abdominal pad法の腹式呼吸によるトレーニングと自然呼吸によるトレーニングを3週間行わせ比較した.その結果,自然呼吸群は腹式呼吸群より腹部隆起力が増す時期が遅いものの,腹式呼吸群と同様に口腔内圧で測定した最大吸気筋力,最大呼気筋力は変化しなかった.自然呼吸によるabdominal pad法は腹式呼吸によるトレーニングよりも腹筋による代償作用が少ないが,健常者における比較的短い期間でのトレーニングでは呼吸筋力に影響しないことが示唆された.

  • ―介護認定度と身体障害等級との関連―
    鎌田 直子, 阿部 留美子, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 渡邊 暢, 藤井 清佳, 加賀谷 斉, 本間 光信, ...
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 260-263
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法患者107名を対象に日常生活活動状況(activities of daily living: ADL),介護保険認定状況,および身体障害者手帳取得状況を調査し,それぞれの関連について検討した.介護認定を受けているものは44%で,ADLと各介護度に有意な相関関係を認めた.手帳取得率は90.7%で,ADLと障害等級には相関関係が認められなかった.また,障害等級と介護度についても相関関係は認められなかった.

  • ―酸素マスクと鼻カニュラ併用でどの程度の高濃度酸素吸入が可能か?―
    宮本 顕示, 前川 弘恒, 岡田 晃, 笠原 敏史
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 264-269
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    簡易酸素マスク,リザーバー付酸素マスク,簡易酸素マスクと鼻カニュラ併用など,吸入酸素濃度調節ができない器具で酸素吸入を行う場合の酸素流量と吸入酸素濃度の関係を,人工顔モデルを用いて検討した.1回吸気量は400 mlと800 ml,吸気時間は1秒,呼気時間は2秒とした.どの酸素マスクを用いても酸素流量が一定の場合は1回吸気量が少ないほど,1回吸気量が一定の場合は酸素流量が多いほど,吸入酸素濃度は高かった.リザーバー付酸素マスクの吸入酸素濃度は,酸素を高流量流しても,製品カタログに記載されている数値よりかなり低かった.しかし,同マスクを使用すると,簡易酸素マスクと鼻カニュラ併用に比べ,より少ない酸素流量で,同程度の高濃度酸素を吸入させることができた.吸入酸素濃度調節ができない器具で酸素を投与する場合,患者の動脈血分析を行いながら慎重に酸素流量を決めるべきである.

  • 沓澤 智子, 安齋 ゆかり, 塩谷 寿美恵
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 270-275
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    外来通院中のCOPD患者22名と健常高齢者5名に,3日間の食事調査を行い,エネルギー,各食品群,各栄養素の摂取状況を計算した.患者群では,摂取エネルギーは低下していなかった.BMIと体重あたりの摂取エネルギーは負の相関を示した.患者群では,芋類,果物類の摂取が少なく,ビタミンB1,Cの摂取量が少なかった.患者への栄養指導には,やせた患者に対するエネルギー補給,ビタミン類の補給が課題と考えられた.

  • 伊藤 永喜, 村田 朗, 山本 和男, 木田 厚瑞, 工藤 翔二
    原稿種別: 原著
    2005 年 15 巻 2 号 p. 276-282
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(Home oxygen Therapy: HOT)を受けている慢性呼吸不全患者の外来受診における問題点を明らかにし,テレビ電話による診療形態(テレメディスン:Telemedicine)に関するアンケート調査を行った.患者は医療機関,特に医師に症状を伝え,早期に適切な治療を受けたいと希望し,現状の外来診療に対して不満を感じていた.テレメディスンは,医師と患者間の意志疎通の不十分さを補填するものとして,認知,期待されている.

総説
症例報告
  • 新里 純子, 星 篤樹, 渕向 透, 嶋田 泉司, 千田 勝一, 黒澤 一, 上月 正博
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 15 巻 2 号 p. 289-293
    発行日: 2005/12/09
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅酸素療法(home oxygen therapy: HOT)導入後,約3年の経過を観察した重症Wilson-Mikity syndrome (WMS) を報告する.在胎28週6日,体重 1,160 gで出生し,集約的治療が施行された.生後1ヵ月の胸部X線所見,臍帯血 IgM 高値よりWMSと診断した.抜管後も酸素投与を要し,生後約1年1ヵ月で退院,在宅管理へと移行した.現在もHOTを含めた新生児慢性肺疾患の総合的な管理を外来で行っている.今後,成長・発達障害への対策も含めた包括的なリハビリテーションが重要と考えられる.

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