特発性間質性肺炎(IIPs)では,動作時に呼吸困難や酸素飽和度(SpO
2)低下が生じ,活動性が低下している.しかし臨床上,運動誘発性SpO
2低下と呼吸困難にしばしば解離を認める.今回われわれは,IIPs患者において運動誘発性SpO
2低下と呼吸困難に解離が生じる頻度と,その要因の検討を行った.IIPs患者62例を4群(A: SpO
2低下あり・呼吸困難あり,B: SpO
2低下あり・呼吸困難なし,C: SpO
2低下なし・呼吸困難あり,D: SpO
2低下なし・呼吸困難なし)に分類したところ,計27例(B群22例,C群5例)に解離を認めた.運動誘発性SpO
2低下を認める症例では,呼吸困難を認めないB群で肺気腫合併頻度が有意に高かった.運動誘発性SpO
2低下を認めない症例では,呼吸困難の有無に関与する因子は%VC低下であった.IIPsの運動療法の観点からは,運動誘発性SpO
2低下を認める肺気腫合併例では,中止基準として呼吸困難は有効ではなく,SpO
2・脈拍などを中心に運動中止を判断することが重要である.
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