日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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ISSN-L : 1881-7319
22 巻, 3 号
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受賞報告
  • ──長崎(夢塾)の取り組みから──
    千住 秀明
    原稿種別: 受賞報告
    2012 年 22 巻 3 号 p. 253-257
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    設立趣旨:夢塾は,1988年4月に本学の前身である長崎大学医療技術短期大学部の卒業生を研究生として受けてから始まった.設立の趣旨は,①研究者マインドを備えた理学療法士・作業療法士の育成,②患者さんの悩み,苦しみなどが共感でき,科学的な根拠に基づいた呼吸リハビリテーションが実施できる人材の育成,③呼吸リハビリテーションや呼吸理学療法の普及・発展の立場から国民の医療・福祉に寄与できる人材の育成である.
    成果:今日まで(2012年5月)121名の同門生が学び,その間11名が博士を,29名が修士を取得し,教育や臨床現場の第一線で活躍している.研究成果は,本学会を中心に国内外の学会で発表するとともに,長崎大学公開講座慢性呼吸不全(通算26回)において広く医療関係者に公開してきた.また,本学会主催の呼吸リハビリテーション研修会を第1回から第9回まで開催し,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会の発展に貢献してきた.
  • 吉川 雅則
    原稿種別: 受賞報告
    2012 年 22 巻 3 号 p. 258-263
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)において,栄養障害は高率に合併する併存症であり,COPDの病態や予後と密接に関連している.体重減少を除脂肪量,脂肪量,骨塩量などの体成分の変化として捉えることによって栄養障害と病態との関連がより明確となる.
    栄養障害の原因として代謝亢進や全身性炎症,内分泌ホルモンの分泌動態の変化などが複合的に関与しており,これらのメカニズムを踏まえた栄養管理が必要となる.栄養療法と運動療法の併用とともに基盤病態である全身性炎症のコントロールが重要である.栄養管理の有効性に関するエビデンスは確立されつつあるが,その手法に関しては新規治療の開発も含めてさらなる検討を要する.蛋白同化作用,抗炎症作用,摂食促進作用を有するグレリンの反復投与と運動療法の併用は新たな治療法として期待できる.
  • 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 柏倉 剛, 本間 光信, 塩谷 隆信
    原稿種別: 受賞報告
    2012 年 22 巻 3 号 p. 264-270
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    栄養状態はCOPDの症状,障害,予後の重要な決定因子であることから,当院で低強度運動を継続中の安定期COPD患者を対象とした経過中の体重減少に関する因子と栄養補給療法の上乗せ効果について報告する.呼吸リハ通院中の89例について体重減少に関する因子を重回帰分析した結果,体重の変化率は,FFMIと摂取タンパク質量の変化率が有意な正の回帰関係を,IL-8の変化率が有意な負の回帰関係をもった.また,栄養補給を追加することで上乗せ効果を認めるか否か,%IBW<110%36名を対象に無作為に補給群とcontrol群に分類し,介入前と3ヵ月後の諸項目の変化率を比較した結果,補給群において体重,タンパク質摂取量,6MWD,WBI,CRQが有意に増加し,MRCと炎症マーカーが有意に低下した.以上より,%IBW<110%の安定期COPD患者に対する栄養補給と低強度運動の組合せが,上乗せ効果として全身性炎症を抑制し運動耐容能と健康関連QOLを改善する可能性が示された.
  • 西山 理
    原稿種別: 特別報告
    2012 年 22 巻 3 号 p. 271-275
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    筆者は特発性肺線維症(IPF)が慢性呼吸不全を呈する疾患で,徐々に日常生活労作が低下し,呼吸困難感が増悪するといった経過に着目してきた.そして肺機能や病理,画像だけでなく,呼吸困難感,QOL,運動耐容能などの多面的な評価を行ってきた.
    IPF患者を対象に,modified MRCを用いて日常の呼吸困難感を評価し予後との関係を調査したところ,modified MRCと6分間歩行試験時の最低SpO2が有意な予後予測因子であることがわかり,modified MRCの有用性とともに日常の呼吸困難感を客観的に評価することの重要性が示された.
    また,IPF患者では大腿四頭筋筋力が低下しており,運動耐容能低下の重要な説明因子であること,運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションはIPF患者の6分間歩行距離,健康関連QOLを有意に改善することも示した.
    今後のIPFにおける新たな治療探索や研究においても,こういった多面的な評価を取り入れ,より適切なアウトカムを選択し評価していくことが重要と考えられる.
  • 大平 峰子, 石川 朗, 山中 悠紀, 鏑木 武, 金子 弘美
    原稿種別: 受賞報告
    2012 年 22 巻 3 号 p. 276-279
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    北信ながいき呼吸体操研究会では長野県北信地域の病院,診療所,訪問看護ステーションに勤務する医師,看護師,理学療法士,管理栄養士や大学の研究者などとともに,慢性呼吸不全患者に対する地域連携による包括的呼吸リハビリテーションの提供および普及に取り組んできた.研究会の活動は10年以上におよび多施設のスタッフが参加したミーティングによる情報共有やスタッフ教育のための勉強会,多施設間包括的呼吸リハビリテーションプログラムの継続と効果検証のための研究活動,在宅慢性呼吸不全患者の健康関連QOLの実態調査とフライングディスク競技のサポートなど多岐にわたる.慢性呼吸不全患者に対する継続支援の効果を多施設で検証した報告は少ないため,今後もプログラムを継続することで長期効果の検証を行い慢性呼吸不全患者の呼吸リハビリテーションの発展に貢献できれば幸いである.
教育講演VIII
  • 横山 彰仁
    原稿種別: 教育講演
    2012 年 22 巻 3 号 p. 280-283
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    近年の吸入ステロイド薬の普及に伴い,気管支喘息は慢性疾患のなかで最も死亡率が減少した疾患となっている.一方では,喘息による死亡の9割近くが65歳以上の高齢者であり,本邦の高齢化率は年々増加している点から,高齢者喘息への対処が重要となっている.高齢者は加齢変化や多彩な併存症,個人差が大きい点で若年者とは異なる対応が必要となる.個人の身体機能,併存症,内服薬,認知機能,精神心理,社会機能,栄養といった生活機能を総合的に評価することも必要であり,多職種による対応が重要となる場合も少なくない.治療方針の第一は治療の個別化であり,ガイドラインどおりの診療が必ずしも可能でないことも多い.吸入に固執せず,また副作用を極力避けつつ,内服薬や貼付薬による治療がより良いコントロールにつながる場合も少なからずある.本稿では高齢者の特徴に基づいた喘息診療のポイントについて述べた.
教育講演X
  • ─高齢者医療と新たな肺炎診療ガイドライン─
    門田 淳一
    原稿種別: 教育講演
    2012 年 22 巻 3 号 p. 284-287
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    2011年わが国において策定された医療・介護関連肺炎(NHCAP)診療ガイドラインでは高齢者医療の倫理的側面を含んだ治療区分という分類が導入され,抗菌薬を選択する際の基準となっている.しかし,本ガイドラインの基になった米国の医療ケア関連肺炎において「耐性菌のリスクを有するので広域抗菌薬で治療する」ことと生命予後とは関連しないことが示され,わが国においてもNHCAPを含む高齢者肺炎の予後不良因子は誤嚥性肺炎であり,抗菌薬による治療の失敗とは関連がないことが明らかとなった.すなわちこれらのガイドラインに沿った抗菌薬療法が予後改善に直結するかどうかは疑問であり,特にわが国の超高齢社会においては予防を含めた包括的な戦略が重要である.今後はNHCAP・誤嚥性肺炎に対する抗菌薬療法や胃瘻を含めた経管栄養の是非などについて,終末期医療としての側面を考えながらわが国独自のエビデンスを構築する必要がある.
シンポジウムIII
  • 谷口 博之, 眞渕 敏
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 288
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 武知 由佳子, 丸山 ゆかり, 遠藤 直子, 吉岡 亜希子
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 289-295
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    COPD急性増悪へのNPPV呼吸ケアは,すでに高いevidenceで確立され,かつ成功率は65~80%と安定しているが,これ以上に成功率が上がらないのはなぜだろうか?今までは挿管していたような重症例にも,NPPVで挑戦するようになったのかもしれない.そこでCOPD急性増悪へのNPPV呼吸ケアにおける新たな3つの挑戦について解説した.①病態により即した,より安楽で有効なNPPV設定への挑戦,②COPD患者の高齢化,超高齢COPDへの挑戦,③COPD急性増悪に対する在宅呼吸ケアでの挑戦.厳しい医療情勢のなか,今後喫煙率の高い団塊の世代の高齢化により,COPDは急増するものと思われ,われわれが挑戦すべきテーマになると思われる.
  • 片岡 健介, 谷口 博之, 近藤 康博, 木村 智樹
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 296
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 岸川 典明
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    外科術後の患者は健常人の呼吸状態とは大きく異なり肺感染症,肺水腫,無気肺,ARDSなどの呼吸器合併症を生じる危険性が高い.そのため,急性呼吸不全に対する理学療法は慢性呼吸不全にみられるような訓練的治療とは異なり,肺をはじめとして全身状態を悪化させず可及的早期から介入し呼吸器合併症を予防することが肝要である.周術期における呼吸リハビリテーションは,術前評価,オリエンテーション,術前呼吸練習,術後の呼吸理学療法としてフィジカルアセスメント,治療的体位変換,肺胞換気改善の方法として体位呼吸療法,呼吸介助手技などが行われる.
    呼吸理学療法の一手段である呼吸介助手技は,患者に過度の負担を負わせることなく,また意識障害があっても,人工呼吸器下でも実施可能な治療手技である.それを効果的に進めるには,体位変換との併用が推奨される.
  • 玉木 彰, 大島 洋平, 長谷川 聡, 陳 豊史, 板東 徹, 伊達 洋至
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 302-306
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    2010年7月に施行された改正臓器移植法によって,本邦における脳死からの移植数はそれまでに比べ急激に増加したが,現時点でも脳死者からの肺移植を待っている患者は190名以上いる.本邦の肺移植と海外での肺移植の大きな違いは,本邦ではこれまで圧倒的に生体肺移植が多かったことであり,海外ではほとんどが脳死肺移植である.
    肺移植患者に対する呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)の介入は,移植待機中から積極的にかかわることが重要であるが,本邦では呼吸リハを受けていない患者が多くいる.肺移植後は可能な限り早期から呼吸リハを開始する.術後早期の呼吸リハでは,人工呼吸器からの離脱に向けた呼吸練習や排痰が主となる.また四肢の運動や可能な範囲での筋力トレーニングも積極的に行い,早期離床を進めていくことが大切である.
  • 鮎川 勝彦
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 307
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
シンポジウムIV
  • 中村 博幸, 輪湖 史子
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 308
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • ──術式の工夫,周術期管理と呼吸ケア──
    関根 康雄, 黄 英哲, 有村 健, 長谷川 瑞江, 桂 秀樹
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 309-312
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    COPDなどの低肺機能患者からの肺癌発症率は正常肺機能者と比較して高い.そのため低肺機能患者に対する手術術式の選択,周術期管理は非常に重要な問題である.周術期の呼吸状態は時間とともに変化し,特に術後6時間から4日目にかけて酸素化能(AaDO2)が低下する.その時期が最も肺炎などの呼吸器合併症を起こしやすい時期であり,それをいかに乗り越えるかが課題である.低肺機能患者・喀痰排出量の多い患者に対しては,積極的に計画的呼吸リハビリテーションを行うことが重要であり,それにより呼吸器合併症の低下だけでなく,酸素投与の短縮・在院日数の減少が得られる.また,気管支拡張剤の積極的使用が,肺機能やQOLの維持に非常に有用である.低肺機能患者に対する術式も工夫が必要である.stage Iの肺癌患者であれば,区域切除の一つの選択肢であり,根治性を損なわずに肺機能を温存することも可能である.
  • 近藤まゆみ
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 313-315
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    近年,治療や療養の中心は入院から外来や在宅の場へ移行しており,患者や家族はみずから病気や症状に対応しながら生活することが求められるようになった.特に,治療による有害事象の管理は,患者や家族の治療に対する主体的な取り組みに影響し重要である.また,病気の進行による苦痛症状への対処は,在宅療養の継続に影響することも多い.そのため外来や在宅ケアにおいては,その人が必要な情報を得て,セルフケアへの意欲や力を高めるための支援,これまでの生活を維持できるような調整,効果的なチーム医療への取り組みが求められる.
    肺がんの進行状態によっては,終末期に近づいた時期に病状が急激に悪化する場合と,比較的早い時期から骨転移などでADL(日常生活行動)が低下する場合があり,その経過に合わせたケアが必要である.肺がん体験者は病気体験を通して自分の価値観や信念を見詰めている.自己擁護の力を上手く発揮できるような支援が求められる.
  • 岩城 基, 吉澤 孝之, 吉澤 明孝, 橋本 修
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 316
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 田村 恵子
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 317-319
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    肺がん患者はがんの進行に伴って,呼吸困難を感じて不安や死への恐怖を訴えることが多くなる.エンド・オブ・ライフにおけるケアは,適切な薬剤の使用と,呼吸困難に伴う「息苦しさ」の訴えをしっかりと聞き,思いや体験を聴くことから始まる.呼吸困難が和らぐまでは患者を一人にしないことが大切である.呼吸困難は,疼痛よりも日常生活への支障の度合いが高く,サポートやケアが必要な症状である.にもかかわらず,患者の多くは「横になっている時間が多いから」「このところ歩いていないから」など,病状の進行に対する否認も相まって自分自身の生活習慣がその原因であると捉えてしまうこともよくある.そのため医療者が病態や症状を適切に説明し理解を促すことも大切である.さらに病状が増悪すると,呼吸困難緩和のための鎮静が必要となる場合もあり,患者と家族へのインフォームド・コンセントとチームアプローチが重要となる.
  • 岡田 晋吾
    原稿種別: シンポジウム
    2012 年 22 巻 3 号 p. 320
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
ワークショップI
  • 黒澤 一, 神津 玲
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 321
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 石川 朗, 山中 悠紀
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 322
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 塩谷 隆信, 佐竹 將宏, 川越 厚良, 菅原 慶勇, 高橋 仁美, 本間 光信
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 323-329
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    呼吸リハビリテーション(呼吸リハビリ)は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の日常生活活動を全人間的に支援する医療システムである.呼吸リハビリは,薬物療法により症状が軽快している患者においても,さらに相加的な上乗せの改善効果を得ることができる.運動療法は呼吸リハビリの中心となる構成要素である.運動療法施行時には体重減少を抑制し,運動療法の効果を高めるために栄養補給療法を併用することが望ましい.近年,低強度運動療法の有用性が報告され,その普及が期待される.運動療法は,継続して定期的に行われる必要がある.維持プログラムとしては,持久力トレーニングと筋力トレーニングが主体となり,運動習慣がライフスタイルに組み込まれていることが望ましい.運動療法のなかで,歩行は性別,年齢を問わず最も親しみやすい運動様式である.
  • 田中 貴子, 朝井 政治, 北川 知佳, 神津 玲, 千住 秀明
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 330-334
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    ADLトレーニングは,呼吸困難を自己管理し,その人らしい生活ができるよう援助することが目的である.そのためには,ADLの状況を詳細に評価し,対象者のさまざまな背景を考慮したうえで,本人と家族とともに目標設定することが望ましい.ADLトレーニングは実際の生活場面に取り入られることが重要である.そうすることで,その人らしい自立したADLが遂行できるようになり,QOLが向上し,さらにADLの活動量が維持される.
  • 植木 純
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 335-338
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    呼吸リハビリテーションとは,呼吸器の病気によって生じた障害をもつ患者に対して,可能な限り機能を回復,あるいは維持させ,これにより患者自身が自立できるように継続的に支援していくための医療である1).原則としてチーム医療で行われ,内容は運動療法を中心においた包括的プログラムとし,セルフマネジメントを強化するという考え方に立つ.一方で,セルフマネジメント教育プログラムを主体として介入する手法もある.同プログラムによるCOPDの入院,救急外来受診の減少,健康関連QOLの改善効果が報告されてから,呼吸器領域においても,患者教育の重要性が国際的に注目されるようになった.この場合にも運動療法の指導が含まれる必要があるが,一般的に活動性の維持・向上を目標とした低強度のトレーニングが行われる.
ワークショップII
  • 植木 純, 石原 英樹
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 339
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 矢内 勝
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 340-344
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    石巻地域では,沿岸に沿って,住居,商工業,漁業の場が集中しており,東日本大震災時の津波で甚大な被害を受けた.津波による広範囲で大規模な家屋破壊,停電,地域分断,孤立化により,多くの在宅酸素療法(HOT)患者が酸素供給を断たれた.他院患者を含め88名のHOT患者が当院に来院し,外来扱いで,中央配管,その後,酸素濃縮機より,酸素を供給された.
    震災後2ヵ月間は,呼吸器救急患者の入院は,昨年,一昨年の同時期に比べて3倍以上に増加した.肺炎の患者は4倍に増加した.震災後1週間は,津波海水を吸引した肺炎が若干名みられ,その後は高齢者肺炎が増加,粉塵吸入が原因と考えられる肺炎もみられた.COPD増悪で入院した患者は5~7倍に増加した.気管支喘息発作で入院した患者は4~6倍に増加した.
    大規模災害時のHOT患者対策マニュアル,避難所環境対策,復興・復旧作業での有害粉塵対策が必要である.
  • 髙橋 純子
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 345-347
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    東日本大震災は津波による甚大な被害をもたらした.石巻赤十字病院は災害拠点病院として救護活動を行ったが,不測にも被災した多数の在宅酸素療法(HOT)患者が酸素吸入を求めて来院した.延べ88人が来院したが,入院病床は満床を超え,酸素吸入のみの患者は院内滞在者として収容した.収容エリアの確保やHOT担当看護師の配置,機器類の手配,滞在中の患者の管理など想定外の事態に柔軟により良く対応した.しかし,滞在中に増悪を起こした患者は約2割に上った.今後,医療機関,関係業者,行政など関係者間で大規模災害時のHOT患者対策を検討していく必要がある.
  • 中田 隆文
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 348-351
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    慢性呼吸障害患者では在宅呼吸ケアを受ける患者もある.在宅医療は医師を中心とした他職種の協同作業で実施され,訪問リハではコンディショニング,運動療法,気道クリアランスなどの呼吸リハを担当する.在宅呼吸療法機器ではトラブルに対する知識と対処法を身に付けておく必要があり,特に停電時の電力確保は重要である.東日本大震災における当院訪問リハではコーディネーターを中心に情報収集,通信指示,訪問,燃料確保の部門を設置し,情報を統制し活動した.在宅患者の安全な療養の継続は災害発生時の地域医療全体に有益で,訪問リハでは特に安否確認,機器の動作確認,電力確保,情報連携,気道のクリアランスの各種法などを行った.災害発生時のライフラインの確保,通信網の整備は必要性を強く認識されたが,十分に整備されておらず,障害弱者と呼ばれる在宅呼吸療法患者の安全な生活を守るための対策が必要である.
  • 松本 忠明
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 352-358
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    帝人在宅医療株式会社では,東日本大震災発生直後から被災地をはじめ,停電エリアの在宅酸素療法患者への支援活動を実施した.震度5弱以上の被災地には約2万5,000人に及ぶ当社酸素濃縮装置の使用者がおり,地震発生直後から災害対応支援システム(D-MAP)を活用した安否確認を開始.仙台に災害対策本部,東京に災害支援本部を設置して,全国から応援要員の派遣や酸素濃縮装置,酸素ボンベの緊急配送を行い,避難所や医療機関で酸素療法が継続できる体制を整備した.
    今後の課題としては,「地震災害対策マニュアル」の改訂を進めるとともに,緊急時の携帯用酸素ボンベへのスムーズな移行,低流量で乗り切るための呼吸リハビリテーション指導など,患者指導の支援があげられる.加えて,災害時支援における行政,医療機関,在宅酸素事業者の連携体制の確立が重要である.
  • 髙橋 昭
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 359-360
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
ワークショップIV
  • 中村 博幸, 輪湖 史子
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 361
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • 田中 桂子
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 362-365
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    呼吸困難は「呼吸時の不快な感覚」と定義される主観的な症状であり,呼吸不全(低酸素血症で定義される客観的病態)とは必ずしも一致しない.
    呼吸不全の原因は,がんに関連したもの,がん治療に関連したもの,がんとは直接関連しないものに分類される.呼吸困難は,ホメオスタシスが破綻したときの危険信号としての役割をもつ.また,過去の経験,精神的要因,社会的・文化的背景などにより修飾されるため,個別性が高く多面的で複雑なものになる.
    呼吸困難は,①量(どのくらい息苦しいか),②質(どんな息苦しさか),③生活への影響(日常生活活動にどのような影響や支障があるか)を評価する.本人による評価がゴールドスタンダードではあるが,自己評価が困難な場合は,呼吸パターン・表情などの代理指標を用いて総合的に評価する.
    呼吸困難は多面的な症状であるため,多職種による適切な評価とゴール設定が非常に重要である.
  • ─薬物療法─
    下山 直人
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 366
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
  • ─非薬物療法─
    岩城 基, 吉澤 孝之, 吉澤 明孝, 橋本 修
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 367-371
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    肺癌患者は周術期,回復期,進行期,終末期などさまざまな時期において多様な呼吸ケアを要し,特に終末期においては,症状緩和を目的とした呼吸ケアが重要となる.近年,看護ケア,呼吸リハビリテーションなどの非薬物療法は終末期症状の対処法の一つとして,呼吸困難の緩和とQOLの維持改善を目的としてさまざまな方法が試みられ普及しつつある.薬物療法と非薬物療法をチーム医療の連携のなかで適切に実施することが,より良い終末期呼吸ケアの第一歩となる.
  • 田中 登美
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 372-376
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    肺がん患者は,咳・喀痰・血痰などの呼吸器症状を伴った呼吸困難,胸壁への浸潤,胸水貯留,上大静脈の圧迫,縦隔リンパへの浸潤などによる呼吸困難を体験する.また治療による間質性肺炎,びまん性肺胞障害,放射線肺臓炎などのリスクも高く,約8割が呼吸困難を自覚する.肺がん患者が,がん治療を受けながらも安全・安楽に生活できるよう,がん治療による有害反応のセルフモニタリング・ケアができるよう,医療チームメンバーが協働して支援していくことが望まれる.薬物療法を受ける肺がん患者をトータルにアセスメントすること,患者とゴールを共有することが重要である.患者が治療と社会生活を両立できることを目標に,治療を受けることで予測される有害反応,呼吸困難の原因や病態,患者の日常生活への影響をアセスメントし,呼吸困難を緩和していく方法を患者とともに考えるような関わりが看護に求められている.
  • 鹿渡 登史子, 村山 寿江, 松尾 幸代, 辻野 一郎, 高橋 典明, 石橋 紀子, 石井 里美, 門川 誠, 荒井 香代子, 橋本 修
    原稿種別: ワークショップ
    2012 年 22 巻 3 号 p. 377
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
ミニレクチャー
  • ──地域住民参加型呼吸ケア・リハの実際──
    小林 義文, 野村 明子
    原稿種別: ミニレクチャー
    2012 年 22 巻 3 号 p. 378-380
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    筋萎縮性側策硬化症は,代表的な進行性神経筋疾患であり,およそ発症3年以内に呼吸筋弱化により人工呼吸器を装着する.その後,家族に痰の吸引をはじめとした介護が多大な負担をかけるようになるため7割以上の患者が人工呼吸器装着を選ぶことなく最後の時期を迎える.
    それまでの頻回な吸引負担を劇的に軽減する,吸引用のカニューレと低量持続吸引が可能な吸引器がともに2010年8月に薬事承認を取得し,臨床応用が開始された.同11月に,北陸地方で初めて富山県でこのシステムが導入された.その3ヵ月後には同じ富山のALS患者が使い始め,1年後に福井と富山をネットで結んで患者会同士で新しい痰の吸引システムについてネット講習会を開催した.ここから一気に同システムが福井に広がり始めた.
    この北陸地区で専門家と患者会が共同し実践した,ユニークな在宅人工呼吸器療法ケアシステム展開方法を紹介する.
ランチョンセミナーIII
  • 石川 悠加
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2012 年 22 巻 3 号 p. 381-384
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    器械による咳介助(mechanical in-exsufflation: MI-E)は,自力の咳を補強するか,咳の代用をする.原理は,気道に陽圧(+40 cmH2O)を加えた後,急速に(0.1~0.2秒ぐらいで)陰圧(-40 cmH2O)にシフトすることにより,気道に呼気流量を生じ,気道分泌物を除去するのを助ける.
    神経筋疾患や脊髄損傷の咳機能低下だけでなく,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)にも使用報告がある.非侵襲的陽圧換気療法(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)の気道クリアランスの手段や,気管挿管や気管切開を通しての排痰にも使用される.
    MI-Eは,2010年に本邦で保険診療が新設され,2013年には本邦で使用認可された新規・更新機種が4種類となり,今後の活用の工夫が期待される.
原著
  • ──唾液湿潤度での検討──
    井元 淳, 甲斐 尚仁, 真名子 さおり, 片山 亜有, 新貝 和也, 千住 秀明
    原稿種別: 原著
    2012 年 22 巻 3 号 p. 385-390
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,誤嚥性肺炎発症の因子を考察し,その予防や発症後のアプローチの検討を行うため,誤嚥性肺炎患者と非誤嚥性肺炎患者の唾液分泌量と日内リズムについて明らかにすることを目的とした.対象は誤嚥性肺炎で入院となった10名(誤嚥群)と,その他の疾患で入院となった10名(非誤嚥群)の計20名(年齢87.9±7.9歳)であった.方法として唾液分泌量,摂食・嚥下能力,食事の種類,身体活動性などを評価した.その結果,誤嚥群では摂食・嚥下能力とともに身体活動性が低いことで誤嚥性肺炎のリスクが高まっていた.また唾液分泌量の日内リズムでは夜間の唾液分泌量は両群とも低下していた.以上の結果から,誤嚥群では口腔環境の不良による肺炎発症のリスクを高めていることが示唆された.本研究によって,肺炎の発症を予防するためには,唾液分泌量の増量と睡眠前の口腔ケアなどによる口腔環境の改善を図ることの重要性が示された.
  • 西村 直樹, 寺井 美峰子, 田村 富美子, 小松崎 朗子, 小島 肇, 秋葉 博元, 蝶名林 直彦
    原稿種別: 原著
    2012 年 22 巻 3 号 p. 391-397
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    平成22年(2010年)4月の診療報酬改定で呼吸ケアチーム加算が新設された.当院では加算開始前の2004年から呼吸ケアチーム回診を実施しており,加算開始後の問題点を明らかにするために,当院で加算を開始した2010年5月7日から2010年9月17日までの呼吸ケア回診対象者の背景,加算の有無,予後を調査した.さらに呼吸ケアチーム回診の医療安全における効果を確認するために,2001年度から2011年度9月までの当院の人工呼吸関連インシデント報告の経年推移調査を行った.当院はベッド数520の救急病院である.加算開始後の上記期間における加算対象者は27名,加算対象外であるが回診を要した患者が16名いた.延べ187回診中60回が加算対象であった.一般床における1日当たりの人工呼吸患者数は16(14-20)名で,そのうち回診対象患者数は10(7-12)名,加算対象者は3(1-11)名であった.加算対象者で人工呼吸離脱できた患者は7名(26%),離脱できた患者の一般床での平均人工呼吸装着日数は19.1日であった.19.1日という平均装着日数からは加算期間(一般床で週1回1ヵ月間)は妥当と考えられた.しかし人工呼吸離脱率は26%にすぎず,離脱不能で1ヵ月を超えた場合と加算対象外の場合の救済策が課題と考えられた.当院においては呼吸ケアチーム回診導入後緩やかに人工呼吸関連インシデントが減少しており,呼吸ケアチーム回診は一定の効果を上げていると考えられた.
  • 北口 良晃, 藤本 圭作, 小松 佳道, 神田 慎太郎, 漆畑 一寿, 花岡 正幸, 久保 惠嗣
    原稿種別: 原著
    2012 年 22 巻 3 号 p. 398-404
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の肺気腫型と非肺気腫型のフェノタイプにおける長時間作用型気管支拡張薬の治療効果について検討した.
    チオトロピウムあるいはサルメテロールによって治療されたCOPD患者72名に対し呼吸機能,動的肺過膨張,6分間歩行試験,St. George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)を評価し,胸部CTにて肺気腫型と非肺気腫型のフェノタイプに分類し効果を解析した.
    チオトロピウムは両フェノタイプにおいて気流制限,酸素化,呼吸インピーダンスを,肺気腫型において動的肺過膨張,6分間歩行距離,SGRQを改善させた.サルメテロールは肺気腫型においてSGRQを改善させたのみであった.
    これらの所見はチオトロピウムがサルメテロールより気流制限に対する効果が高いこと,肺気腫型において動的肺過膨張を改善させ運動耐容能,健康関連QOLの改善をもたらすことを示唆している.
  • 石井 真知子, 間瀬 教史, 野添 匡史, 高嶋 幸恵, 松下 和弘, 笹沼 里味, 山下 妙子, 島田 憲二, 福田 能啓, 道免 和久
    原稿種別: 原著
    2012 年 22 巻 3 号 p. 405-409
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    三次元動作解析装置を用いて,歯磨き動作中のchest wall運動を経時的に測定した.一回換気量,呼吸数,分時換気量,終末吸気・呼気chest wall体積を算出し,呼吸様式の変化について検討した.またchest wall体積を上部胸郭・下部胸郭・腹部の3つの部位に分け,それぞれの経時的な体積変化を観察した.結果,歯磨き動作中は,上部胸郭を拡張位に,腹部を縮小位にした呼吸様式となること,また,安静時と比べて呼吸数が増加することで分時換気量が増大することがわかった.
  • 高山 絵里, 篠崎 かおり, 佐々木 良江, 小峰 美仁, 江島 通安, 日野 靖亮, 前野 敏孝, 間嶋 満
    原稿種別: 原著
    2012 年 22 巻 3 号 p. 410-414
    発行日: 2012/12/28
    公開日: 2016/04/25
    ジャーナル フリー
    特発性間質性肺炎(IIPs)では,動作時に呼吸困難や酸素飽和度(SpO2)低下が生じ,活動性が低下している.しかし臨床上,運動誘発性SpO2低下と呼吸困難にしばしば解離を認める.今回われわれは,IIPs患者において運動誘発性SpO2低下と呼吸困難に解離が生じる頻度と,その要因の検討を行った.IIPs患者62例を4群(A: SpO2低下あり・呼吸困難あり,B: SpO2低下あり・呼吸困難なし,C: SpO2低下なし・呼吸困難あり,D: SpO2低下なし・呼吸困難なし)に分類したところ,計27例(B群22例,C群5例)に解離を認めた.運動誘発性SpO2低下を認める症例では,呼吸困難を認めないB群で肺気腫合併頻度が有意に高かった.運動誘発性SpO2低下を認めない症例では,呼吸困難の有無に関与する因子は%VC低下であった.IIPsの運動療法の観点からは,運動誘発性SpO2低下を認める肺気腫合併例では,中止基準として呼吸困難は有効ではなく,SpO2・脈拍などを中心に運動中止を判断することが重要である.
症例報告
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