日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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16 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
教育講演Ⅹ
ランチョンセミナーⅥ
  • ―ウイルス感染によるCOPD増悪は防げるか―
    山谷 睦雄
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2006 年 16 巻 2 号 p. 275-279
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    気道ウイルス感染は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪を引き起こす.ライノウイルスは気道上皮細胞や炎症性網胞の炎症性物質合成やヒスタミン放出,好酸球活性化,ムチン放出促進,肺炎球菌の気道上皮細胞接着促進などを引き起こす.喀痰調整薬などは,ライノウイルスの感染受容体の減少などを介して感染を抑制する.喀痰調整薬はCOPD患者の風邪の回数および増悪の回数を減少させる.

ランチョンセミナーⅦ
ランチョンセミナーⅨ
  • ―現状と将来展望―
    一ノ瀬 正和
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2006 年 16 巻 2 号 p. 286-290
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)の薬物療法に関しては,これまで閉塞性障害の非可逆性が強調されるあまり,それほど熱心には取り組まれてこなかった.しかし,近年登場した長時間作用型β2刺激薬(Long acting β2 agonist, LABA)や長時間作用型抗コリン薬は,COPDに対して大きな有用性を示す.特に換気量増大時にみられる「動的肺の過膨脹」抑制効果が重要で,COPD患者の症状やQOLを大きく改善する.さらにLABAは気管支拡張作用に加え,繊毛運動亢進作用や細菌による繊毛剥離予防効果なども示し,COPD患者管理に有用である.吸入ステロイドはCOPDの病変の進行抑制作用はなく,喘息とは異なり第一選択薬とはなりえない.しかし,重症以上(%1秒量が50%未満)では,増悪頻度を減らしQOLの低下速度を減少させる.喀痰調整薬も増悪頻度および期間を滅らす利点があることがメタ解析で明らかとなった.これらの薬剤の作用機序の詳細は今後の検討課題だが,増悪はCOPD患者の病変の進行やQOL低下と大きな関連があり,吸入ステロイドや喀痰調整薬を気管支拡張薬と組み合わせて使用することが重要である.一方,COPD治療の現時点での大きな問題点は病態(肺胞と細気管支の炎症)に対する根治的な治療がないことである.この点に関しては,近年気道の炎症のバイオマーカーがいくつか提唱され,その制御で新治療に結び付けようとする試みがなされている.そういったなかから,phosphodiesterase(PDE)阻害薬,抗酸化剤,プロテアーゼ阻害薬,好中球遊走阻害薬等も検討されている.PDE阻害薬に関しては臨床応用も近い.その他,現在は気管支拡張薬に位置づけられるテオフィリン製剤のCOPDに対する抗炎症作用に関しても新しい知見が報告されている.以上のことを踏まえ本稿では,COPDに対する薬物療法の現状と将来展望について述べる.

原著
  • 安藤 守秀, 岡澤 光芝, 森 厚, 榊原 博樹
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 291-296
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    COPDを主対象としたQOLの指標St. George\'s Respiratory Questionnaire (SGRQ)の肺結核後遺症における信頼性・妥当性を,肺結核後遺症45例を対象に検討した.SGRQの各項目得点はほぼ正規分布しα係数も妥当な値で,得点は臨床症状,運動耐容能と有意の相関を示し,呼吸困難度に対する弁別性も問題なかった.また年齢,1秒量の等しいCOPD患者と得点はほぼ同等であった.

  • 鬼頭 愛, 小山 信一郎, 染谷 光一, 井上 貴史, 高橋 克弘, 羽田 憲彦, 倉島 一喜, 鈴木 恒夫, 桂 秀樹, 一和多 俊男, ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 297-304
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    一般医院189施設および病院6施設の在宅酸素療法患者501名を対象に在宅酸素療法に関連した全10項目を郵送にてアンケート調査した.65%の患者が呼吸リハビリテーションを実施していたが,実際に在宅で継続している項目は呼吸訓練に偏り,息切れや不安感は改善していなかった.また福祉の受給率が低値であり,医療機関と地域ケアスタッフを結ぶ手段が少なく,地域ケアスタッフとの連携が重要であると考えた.

  • 藤井 清佳, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 渡邊 暢, 本間 光信, 加賀谷 斉, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 305-308
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    呼吸教室参加者33例を呼吸教室への参加回数により高参加群と低参加群に分け,それぞれ呼吸教室終了時と終了から3ヵ月後の呼吸機能,呼吸筋力,運動耐容能,呼吸困難感,生活関連QOLの変化,在宅での自主練習実施状況について比較検討した.高参加群では呼気筋力,運動耐容能,生活関連QOLの項目で有意な改善が認められた.また,高参加群が低参加群よりも在宅での自主練習実施状況がよい結果となった.

  • 椿 淳裕, 西野 學, 上坂 裕充, 広瀬 辰巳, 山崎 裕之, 出口 清喜
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 309-312
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    卒後研修に参加した看護師を対象に,呼吸リハビリテーションにおける理学療法士(以下PT)とのかかわりについてアンケート調査を行った.122名中104名(85.2%)から回答が得られ,そのうち90.4%の施設でPTが勤務していた.呼吸リハビリテーションにかかわる時間は,一般病棟で平均35.3分/週,集中治療室(以下ICU)で平均30.0分/週,PTとかかわる時間は,一般病棟で平均9.4分/週,ICUで平均30.0分/週であり,療養型や外来では0分であった.看護師ごとに院内での役割が異なることが時間の違いとして表れたと考えられ,それぞれの役割を考慮した研修内容を検討する必要がある.

  • 市川 毅, 近藤 哲理, 栗原 由佳, 笹沼 和利, 三井 裕子
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 313-316
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    高齢慢性閉塞性肺疾患患者30例を対象に,急性増悪後の移動能力に影響を与える因子についてロジスティック回帰分析を用いて検討した.結果,動脈血酸素分圧(p=0.03,オッズ比=0.86)および急性増悪入院回数(p=0.03,オッズ比=2.98)が有意な因子として認められ,入院時の肺の酸素化能が低下している者,急性増悪入院回数が多い者ほど退院時に移動能力が低下するリスクが高まることが示唆された.

  • 石田 京子, 土居 洋子
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 317-321
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    長期在宅酸素療法(LTOT)患者の自尊感情の実態と,病状の重症度,ソーシャルサポート,LTOTに伴う心理社会的問題,幸福感との関係を検討した.LTOT患者の自尊感情は,LTOTを実施していない慢性呼吸器疾患患者や,他の慢性疾患患者,健常高齢者よりも低く,「幸福感」も低い実態にあった.LTOT患者の自尊感情に影響を及ぼしていた変数は,「1秒率」,「配偶者の有無」,「心理社会的問題」であった.

  • ―CoQ10含有栄善調整食(ライフロン®Q10)を3ヵ月間併用して―
    山田 公子, 伽羅谷 千加子, 渡部 郁子, 佐々本 智好, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 藤井 清佳, 渡邊 暢 ...
    原稿種別: 原著
    2006 年 16 巻 2 号 p. 322-328
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーションを継続実施している安定期慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者21名を対象として,CoQ10含有栄養調整食(ライフロン®Q10 ; ライフロン)摂取群(ライフロン摂取群)とライフロン非摂取群に分け栄養指導を行った.次に,ライフロン摂取前と摂取3ヵ月後に,両群において,摂取エネルギー,身体組成,血液生化学検査成績について比較検討を行った.その結果,ライフロン摂取群では,3ヵ月後にエネルギー充足率,蛋白質充足率,皮下脂肪率,ヘモグロビンにおいて有意な改善がみられた.ライフロン非摂取群では,エネルギー充足率および皮下脂肪率に有意な改善がみられた.両群においてBMI,LBM, アルブミンおよび上腕筋囲には有意の変化はみられなかった.以上の成績から,安定期COPD患者の栄養指導において,CoQ10含有栄養調整食ライフロンの併用は,蛋白質充足率および貧血の改善に有効である可能性が示唆された.

総説
  • ―チェーン・ストークス呼吸の病態生理―
    安間 文彦
    原稿種別: 総説
    2006 年 16 巻 2 号 p. 329-333
    発行日: 2006/12/25
    公開日: 2017/05/17
    ジャーナル フリー

    心不全のおよそ半数でみられる周期性呼吸(チェーン・ストークス呼吸)は,心機能低下に伴う循環時間の延長,肺容量低下による肺ダンピング効果の減弱,呼吸中枢の反応性亢進,低酸素血症,低炭酸ガス血症,状態のシフト(睡眠と覚醒)に伴う無呼吸閾値の変化,鼻疾患の有無と上気道閉塞のしやすさなど,多くの要因が複雑に関連して発生する.心不全などの循環器疾患と睡眠の関連は循環器学の先端分野として見直されつつある.

症例報告
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