肺結核は予後良好の疾患であるが,ときに呼吸不全にいたり人工呼吸管理を必要とする例がみられる.今回われわれは活動性肺結核患者で人工呼吸管理を要した12症例を臨床的に検討した.その結果これらの症例の予後は,はなはだ不良であった.そしてこれらの症例は以下のパターンにわけることができると考えられた. a)進行した肺結核で入院後すぐに人工呼吸管理になった例,b)加療1~2ヵ月後に人工呼吸管理になった初期悪化を疑わせる症例,c)高齢者で肺結核とは無関係で合併症を併発し呼吸不全が悪化し人工呼吸管理となった例,d)薬剤の副作用で合併症を併発し呼吸不全になった例,にわけることができた.また気胸,空洞の破裂による膿胸は予後不良因子と考えられ,そしてこれらの症例の栄養学的予後指数は平均で30.6と低く,Body mass indexは19.8と低値で栄養状態は不良であった.肺結核で人工呼吸管理になった症例は全例,合併症を併発しており,呼吸管理のみならず,補液などの全身の管理が必要であった.またほとんどの症例では,入院時過呼吸状態であり,PaCO2は低値でアルカローシスを呈していたが,人工呼吸管理導入時には,CO2の蓄積があり,アシドーシスへ変化していた.これは補液により,肺血管外水分量が増加したことによる可能性がある.
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