日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
14 巻, 3 号
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シンポジウムⅡ
  • 木田 厚瑞, 塩谷 隆信
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 331-332
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 植木 純
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    2003年7月に発売された呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法―は,近年のエビデンス,複数の学会のコンセンサスに基づいた実践的なマニュアルである.関係学会会員への無料配布,教材としての使用(セミナー,専門学校,大学,医療施設など),講演の資料(研究会,シンポジウムなど),関連雑誌,団体への紹介,英語版の作成などによる運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションの普及活動が行われている.運動療法マニュアルを主題としたシンポジウムで行った調査では,看護師にさらに啓発を行う必要性や,講演後に運動療法のイメージが高まり,現在の実施内容やプログラム改善の必要性をより強く認識するなどのシンポジウムの効果が示された.郵送で行った全国アンケート調査でも,呼吸リハビリテーションへの取り組みが変わるなどのインパクトが明らかにされた.現在,3学会による患者教育・栄養指導のマニュアルの作成が着手されており,呼吸リハビリテーションが包括的なプログラムとしてさらにわが国に普及していくことが期待される.

  • 羽白 高, 中野 恭幸, 堀江 稔
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 337-341
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者における健康関連QOLは,包括的尺度や疾患特異的尺度で評価される.呼吸リハビリテーションの効果のアウトカムに健康関連QOL評価が加えられることが多く,主に疾患特異的尺度が使用される.メタアナリシスは,呼吸リハビリテーションが疾患特異的尺度であるChronic Respiratory Disease Questionnaireの3つの領域(Dyspnea, Fatigue, Mastery)で臨床上意味のある差を上回る改善をもたらすことを示した.呼吸リハビリテーションは,COPD患者における呼吸困難,疲労を改善し,また疾患に対する支配感を高めるものと考えられる.

  • 木村 智樹, 谷口 博之, 近藤 康博, 西山 理, 阪本 考司, 小川 智也, 渡辺 文子, 有薗 信一, 寶門 玲美
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 342
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 高橋 仁美, 伊藤 武史, 本間 光信, 塩谷 隆信
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 343-347
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    わが国のCOPD患者はこれまで予想されていた以上に存在することが明らかになり,COPDの医療経済にもたらす負担はきわめて大きく,その対策が求められるところである.

    呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の費用対効果を検討した報告は非常に少ないが,呼吸リハは入院回数,入院日数を減少させ,さらに医療費を節減させる可能性があり,今後日本における多施設間での無作為化比較対照試験が急務と考えられる.

  • 後藤 葉子, 黒澤 一, 上月 正博
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 348-352
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸器疾患患者のADL(activities of daily living)評価には,呼吸困難感,酸素飽和度の変化,動作時の呼吸パターンを含んだADL尺度が必要である.日常生活の中で基本的動作であるADLトレーニングを呼吸リハビリテーションの開始時から重症例も含め取り入れていくべきであり,個々の生活環境を把握した生活機能を的確に評価するとともに,継続可能な指導内容,指導方法を検討することが重要である.

  • 若林 律子
    原稿種別: シンポジウム
    2005 年 14 巻 3 号 p. 353-356
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーションの実態は,わが国では欧米諸国と比べて著しく異なっていることが指摘されている.チーム医療としての呼吸リハビリテーションが確立されておらず,また,包括的なプログラムとなっていないことが問題であった.最近になり,わが国でも呼吸リハビリテーションのステートメントが発表され,運動療法マニュアルの出版に至った.コメディカルの関心も著しく高まり,スタッフの不足,スタッフの知識・情報不足などの施設での障壁因子は改善の方向にある.呼吸リハビリテーションの内容項目は「ハード」と「ソフト」に分類され,両者に障壁因子が発生しうる.わが国では,呼吸リハビリテーションの対象者の多くは高齢者であり,呼吸リハビリテーションを維持していくうえでは,ゴールが設定しにくく,障壁因子が途中で発生することも少なくない.本稿では導入から在宅において呼吸リハビリテーションの維持に関して障壁となる因子を解明し,わが国独自の呼吸リハビリテーションのあり方を検討した.

ワークショップⅠ
ワークショップⅡ
  • 植木 純, 千住 秀明
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 381
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 滝澤 真季子, 奥出 有香子, 植木 純
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 382-388
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    包括的な呼吸ケアを実践するためには,医療担当者と患者の双方向性の理解の深化,重症化の予防も含めた疾患への取り組み,すなわち disease management の促進が重要である.教育は,まず疾患についての正しい知識の修得から始まる.そのうえで,運動習慣の獲得や食生活,感染予防など健康増進に向けたライフスタイルの改善と自己管理能力を高めていく.アドヒアランス(納得して自分の意思で行う)の向上に向けたアプローチも必要不可欠である.患者教育は,呼吸リハビリテーションの導入時において包括的なプログラムとして提供することが最も効率的な教育方法となる.学際的医療チームには,個別的な治療方針を共有し,それぞれの患者に必要な事柄,注意点を個別に具体的にわかりやすく示し,実践していくことが求められる.現在,日本呼吸管理学会が中心となり,呼吸リハビリテーションマニュアル―患者教育,栄養指導―の作成が進行中にある.コンセンサスや実践的な方法が示され,呼吸ケアの質が向上すると同時に,患者教育に関する有用性のエビデンスが得られることが期待される.

  • 高橋 裕子, 東山 明子, 三浦 秀史
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 389
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • ―自己管理の知識が行動変容に与える影響について―
    北川 知佳, 田所 杏平, 田中 貴子, 中ノ瀬 八重, 千住 秀明
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 390-394
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーションにおける患者教育について検討することを目的に,知識と行動のアンケートを実施,それらの関連性と正答率,実施率の推移を調査した.知識と行動は有意な相関が認められたが,各項目では差があり評価の必要性を感じた.約1年間での正答率,実施率は維持されていた.患者教育は欠かせないものであり,今後教育の評価や知識が行動変容を促す方法を含めた患者教育のマニュアル作りが必要である.

  • 福岡 篤彦, 吉川 雅則, 玉置 伸二, 牧之段 潔, 友田 恒一, 山内 基雄, 寺西 融, 児山 紀子, 米田 和之, 木村 弘, 池島 ...
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 395-403
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    COPDの非薬物療法の中軸として,包括的呼吸リハビリテーションがある.運動療法はその中心に位置するが,運動療法のみで栄養管理がおろそかになると,運動療法の効果が得られないのみならず,状態が悪化する恐れがあることが報告されている.しかし栄養管理に関して,gold standard といえるものはまだ確立していない.現在ガイドラインその他で示されている栄養管理について詳述した.栄養管理・栄養指導法の確立が急務である.

ワークショップⅢ
  • 松岡 健, 一和多 俊男
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 404-405
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 横場 正典, 阿部 直
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 406-409
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸筋は吸息筋と呼息筋に分けられ,代表的な吸息筋には横隔膜や傍胸骨肋間筋,外肋間筋があげられ,そのほかにも頸部補助吸息筋群が含まれる.呼息筋には腹筋群,特に腹横筋や内腹斜筋,また内肋間筋があげられる.呼吸筋は横紋筋であり,筋力はアクチンとミオシンの距離,すなわち筋長によって変化する(長さ-張力関係).骨格筋では静止時の自然長の付近で最大張力が発生するが,これは呼吸筋では安静呼気位(FRC位)付近に該当する.慢性肺気腫患者では肺気量が増加して横隔膜が平低化しており,横隔膜の筋長は短縮して筋収縮力は小さくなる.また,ドーム状の形態をしている横隔膜にはLaplaceの法則が適応されるので,慢性肺気腫では横隔膜によって発生Pdiが小さくなる.以上の2つの理由により,肺気腫などのCOPD患者では重症になると横隔膜が発生する力が低下し,呼吸筋疲労を呈しやすくなる.

  • 沓澤 智子, 塩谷 寿美恵, 灰田 宗孝
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 410-414
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸器疾患患者の反復掌握運動中の,前腕屈筋群の筋肉エネルギー代謝を31P-核磁気共鳴スペクトロスコピー(31P-MRS)で測定した.患者群では,運動終了時の筋肉内pHの低下とクレアチン燐酸の低下が認められ,嫌気的解糖の活性化が推測された.筋肉エネルギー代謝と低酸素血症,またはアミノ酸代謝との関係を検討した結果を示した.

  • 一和多 俊男
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 415-419
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    本邦においては,病院へ通院するCOPD患者は70歳以上の高齢者が多く,閉塞性換気障害による労作時の呼吸困難と,骨格筋機能低下による骨格筋疲労などによって日常生活活動(ADL)が制限されている.骨格筋疲労は運動早期の乳酸産生亢進などが原因となって生じるが,乳酸は活動筋への酸素供給障害により無酸素性代謝が亢進して産生されると解釈されてきた.しかし,必ずしも乳酸産生は酸素供給に依存せず,COPD患者おいてはdeconditioningなどにより生じる骨格機能障害のために乳酸産生が亢進すると考えられるようになってきた.今回,COPDの骨格筋機能障害について,下肢骨格筋のエネルギー代謝面から検討した結果を加えて報告する.

  • 大石 修司, 伊藤 昌之, 畑尾 英一, 須藤 晃彦, 岸 厚次, 柳生 久永, 中村 博幸, 松岡 健
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 420-423
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    運動と酸化ストレスの関係を基礎的および臨床的に検討した.ラットの持久力トレーニングでは横隔膜を含む骨格筋の参加能力の改善とともに,抗酸化能力も改善し,酸化ストレスに対する防御を増強する.COPD患者の呼吸リハビリテーションでは,呼吸機能の改善なしに,運動耐容能だけでなく抗酸化防御能の改善がみられ,骨格筋のトレーニング効果によるものと考えられた.今後,運動耐容能も抗酸化防御能も改善する効果的な運動療法プログラムの確立が期待される.

  • 高橋 哲也
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 424-428
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    近年,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の運動療法は,末梢骨格筋機能の障害に対するアプローチに重点が置かれるようになってきている.COPD患者に対する運動療法は,患者ごとに個別化されたプログラムが作成され実施される必要がある.今回の検討からもCOPD患者の骨格筋トレーニングの処方ではトレーニングの特異性を考慮し,患者ごとに重要でかつ困難に感じている日常生活動作(動作の種類,動作範囲,動作速度のすべて)を模擬するようなプログラムを作成すべきと考えられた.

ワークショップⅣ
  • 長坂 行雄, 輪湖 史子
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 429
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー
  • 松本 強, 玉城 仁, 喜舎場 朝雄
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 430-435
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    救急病院における終末期肺疾患(end-stage lung disease)呼吸管理の実態を報告した.11項目の具体的医療介入による『DNR (do not resuscitate) シート』は無益な医療行為の回避に有用であった.癌性疾患と比較して非癌性疾患では終末期判定が不明瞭であり,DNR指示率は低かった.今後,非癌性肺疾患の終末期の医療について,事前の患者・家族と医療者側の話し合いが必要である.

  • 林田 知子
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 436-441
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸不全患者(慢性閉塞性肺疾患患者)に対し,短期呼吸リハビリテーションの指導を行い,身体能力,QOL,精神面の改善度を比較検討した.肺機能検査,動脈血液ガス分析,歩行能力検査では明らかな改善はみられなかった.しかし,呼吸筋力では改善傾向が認められ,アンケート調査ではQOLの改善が認められた.これらのことから,短期呼吸リハビリテーションは有効であり,今後クリニカルパスとして取り入れ可能であると予測された.

  • ―訪問看護の現状と課題―
    小野 薫, 谷口 博之, 近藤 康博, 西山 理, 木村 智樹
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 442-447
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    在宅NPPV療法では,患者が自ら機器の操作,管理を行うため,高い自己管理能力が求められる.患者がコンプライアンスを維持するためには訪問看護による継続的な看護介入が必要と考える.

    訪問看護では,患者の生活の場に立ち入ることにより,より個別的な生活に密着した問題解決方法が実践できる.また個別的なかかわりは,患者との距離を近づけ精神的支援を可能とする.これらのことから訪問看護は,チーム医療の一端として患者の在宅療養に密接にかかわり介入していくことで,在宅療養が困難と思われる患者であっても継続を可能にできることもある.しかし患者の高齢化で生活全般にわたり支援が必要なケースや,老人保健施設への入所困難など,訪問看護ではカバーできない問題もあり今後の課題と考える.

  • ―NPPV装着の適応を中心に―
    小澤 聡子, 宮沢 直幹, 小倉 高志, 綿貫 祐司, 鈴木 友晴, 高橋 宏
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 448-453
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    当センターで1998年10月から2004年3月までに在宅NPPVを導入した慢性呼吸不全患者82例を対象として,患者背景,PaCO2,導入後の生存率を検討した.在宅NPPVは結核後遺症,後側彎症に対する導入が主であり,両疾患は予後,効果ともに良好であった.また,呼吸不全が進行し,終末期となったCOPD,気管支拡張症,間質性肺炎にもNPPV療法が有効であった症例を認め,それら5症例を報告する.

  • 藤川 晃成
    原稿種別: ワークショップ
    2005 年 14 巻 3 号 p. 454-457
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    当院における呼吸器疾患末期の対応の現状と緩和医療について検討した.対象は当院呼吸器内科に入院し死亡した2年間の201名.疾患の内訳,悪性疾患と非悪性疾患における人工呼吸管理(MV),蘇生禁止(DNR),鎮静・鎮痛剤持続皮下注射(CSI)および終末期鎮静(ターミナル・セデーション)の実施数を比較検討した.非悪性疾患死亡者のDNR指示率は,悪性疾患と同様に高率であった.慢性呼吸器疾患死亡者のMV/NPPVを受けた数は少なかった.慢性呼吸不全患者の病状の進行とMVに対する患者意識調査では患者の意識はさまざまであり,医療者と患者間との事前の密なコミュニケーションの重要性をうかがわせた.

原著
  • 會田 信子, 廣澤 正則, 吉野 克樹
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 458-462
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    呼吸器疾患のない60歳以上の女性68名の年齢と脊柱彎曲レベルによる呼吸機能の相違を明らかにした.H80VB(80歳以上脊柱彎曲レベル20度以上)の%肺活量と最大吸気筋力が有意に低く,換気様式では奇異換気様式の割合が多かった(χ2検定,p=0.033).1秒率では有意差がなく,これらは肺内因子によるものとは考えにくく,運動療法などのリハビリテーションによって改善の見込みが期待できることが示唆された.

  • 福田 正悟, 山口 大介, 佐藤 公彦, 藤井 光子, 吉田 環
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 463-468
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    当院での包括的呼吸リハビリテーションは,平成10年から開始し,また音楽療法士による音楽療法を平成11年から取り入れて5年間が経過した.第10回日本呼吸管理学会において1年間継続の成績を報告しているが,今回は4年間の長期効果を体重増加群,不変群,減少群の3群間で検討した.その結果,長期的に全群でクワイヤホーンを吹ける長さ,音量が改善し,体重増加群では肺機能が有意に改善,6分間歩行距離が改善する傾向を示した.また呼吸リハビリの脱落率は音楽療法を取り入れていない平成10年度と比較し,取り入れた平成11年から平成15年までのほうが低く,有効な手段と考えられた.

  • 石橋 靖子, 佐竹 將宏, 塩谷 隆信, 佐々木 誠, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 渡邊 暢, 藤井 清佳, 河 ...
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 469-473
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    吸気筋トレーニングによる吸気筋力の増強が期待される低負荷量を調べるために,健常成人を対象に,最大吸気口腔内圧の20%,15%,10%負荷にて1回15分間,1日2回,4週間にわたって吸気筋トレーニングを行った.結果,いずれのトレーニングでも,呼吸筋力は有意な増強を示したが,肺機能検査値には変化がみられなかった.本研究では,健常成人による低負荷量吸気筋トレーニングの効果がみられたことから,今後,臨床的な応用が示唆された.

  • 柳井 志賀子, 緒方 志穂, 杉松 美香, 竹下 エミ子, 吉永 健
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 474-477
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    人工呼吸管理を必要とする患者は口腔内のセルフケアが困難であるため,看護師が1日3回口腔ケアを行っていた.しかし手順などが統一されておらず,清潔保持ができていない印象があった.このことから,口腔ケアの方法を統一した上で,今後の対策を明らかにすることを目的として現状および清潔保持ができない要因について調査を行った.それにより,口腔内の清潔が保持できない一つの要因として,手順どおりの確実なケアの実施回数と患者の鎮静深度が関係していた.また,口腔内の清潔保持のためには,患者の協力が得られる静穏状態に鎮静深度を保ち,1日1回の口腔ケアを確実に行う必要性が明らかになった.

  • 檜垣 多恵, 木原 令夫, 薮井 美津枝, 高橋 ヨシ子, 庄田 隆子, 小泉 恵子, 山田 浩之, 河野 泰郎
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 478-481
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    吸入ステロイド薬が気管支喘息治療の第一選択薬であることは周知の事実である.プロピオン酸フルチカゾン(FP)には二つのデバイスがあり,平成10年にディスクヘラー(DH)が,また平成14年にはディスカス(DK)が発売された.DKはDHに比べ吸入器の抵抗を少なくした設計のため,弱い吸入速度でも吸入が可能となった.今回,両者を用いて3通りの吸入速度(弱い:30 L/min, 普通:60 L/min, 強い:90 L/min)による器具内の薬剤の残量,うがい液の回収量および口腔内付着量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定し,その値から推定肺内到達率を計算した.結果,DHでは弱いで8%,普通で18%,強いで22%であり,DKではそれぞれ31%,23%,31%と,弱い吸入でもDHに比べて推定肺内到達率は高いことがわかった.DKは吸入指導を簡略化しても臨床的に十分な効果が出やすく,本来の喘息指導に多くの時間をかけることが可能であると考えられた.

  • 竹川 幸恵, 小島 志信, 榎本 かおり
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 482-486
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    非侵襲的陽圧換気(Non-invasive Positive Pressure Ventilation ; NPPV)療法を受けている慢性呼吸不全患者の気管切開下人工呼吸療法に対する意思決定プロセスを明らかにすることを目的に,質的研究を行った.NPPV患者は,《生きることへの限界》と《NPPV療法と生きる中で獲得した満足感》を中核とし,《気管切開後の生活のイメージ》,《介護してくれている家族への思い》.《残された日々への希望》が影響を与えながら【気管切開をして生きる意味】を問い,気管切開下人工呼吸療法に対する意思決定を行っていることが明らかとなった.

  • 高見澤 明美, 長沢 正樹, 田村 克彦, 神田 慎太郎, 岡田 光代, 久保 惠嗣
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 487-490
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    当院に通院中の腹膜透析患者23例に終夜睡眠ポリグラフィーを施行した.その87%に睡眠呼吸障害(SDB)を認めたが,SDBの有無に関して,年齢,性別,腹膜透析歴,原疾患,ESSでは有意差を認めず,BMIで有意差が認められた.しかし,SDB患者の平均BMIは24.6%と肥満者の範疇には入らず,また,SDBの合併と自覚症状の有無に関しても関係は認められなかったことから,合併症防止,適切な治療の面からも睡眠時無呼吸症候群に対するスクリーニング検査を施行する必要性があると考えられる.

  • 佐藤 英夫, 岩島 明, 河辺 昌哲, 中山 秀章, 吉澤 弘久, 下条 文武, 鈴木 榮一
    原稿種別: 原著
    2005 年 14 巻 3 号 p. 491-495
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    睡眠時無呼吸症候群(以下SAS)の胃食道逆流症(以下GERD)合併頻度を,QUEST問診票を用いて検討した.QUESTは4点以上をGERD合併ありと判断した.PSG(Polysomnography)検査を実施した84例中の73例にAHI(Apnea Hypopnea Index)≧5 (/hr) のSASを認めた.QUEST 4点以上が25例(34.2%)あり,GERD合併の有無で2群に分けたときAHI,脳波上の短時間覚醒指数(以下Arousal Index),BMIなどに有意差はなかった.AHI≧20かつQUEST≧4点の17例中,11例がCPAP治療を開始した.CPAP治療を開始した4週間後のQUEST得点は7例で無症状(0点)となった.残る4例はプロトンポンプ阻害薬(PPI)の内服を追加して,症状の消失が得られた.SASによる胸腔腹腔内圧較差開大をCPAP治療が改善して,胃酸逆流を抑制する機序が関与すると考える.SASには高頻度にGERDが合併することから積極的な問診と治療追加が望まれる.

症例報告
  • 石井 光昭
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 14 巻 3 号 p. 496-499
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    第5頸椎脱臼骨折による頸髄損傷者の急性期における腹部コルセットとabdominal thrust(咳嗽補助手段)の有用性を検証することを目的として,努力性肺活量(FVC)と咳嗽時ピークフロー(PCEF: Peak cough expiratory flow)の推移を調査した.FVC,PCEFともに受傷後30日までは急速に改善し,その後は緩徐に回復した.FVCは座位では背臥位に比べ平均 520 m<i>l</i> 低下したが,腹部コルセットの使用により平均 190 m<i>l</i> の低下にとどまった.PCEFはabdominal thrust により平均 37 L/min(40%)増加した.FVCの増加とPCEFの改善には有意な相関を認めた.

  • 濱田 麻紀子, 奥田 康之, 辻 浩司, 上田 暢男
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 14 巻 3 号 p. 500-502
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2017/11/10
    ジャーナル フリー

    高位頸髄損傷患者は,横隔膜麻痺を伴った場合,人工呼吸器からの離脱が困難とされている.また頸部呼吸補助筋群のみ使用の場合,離脱時間は数時間から日中離脱が限度とされている.今回,C3損傷で横隔膜麻痺を伴い四肢麻痺を呈していた症例に対し,受傷後早期より人工呼吸器よりの離脱を目的とした呼吸理学療法を実施した.第195病日に日中離脱可能,第235病日に胸部X線所見にて横隔膜回復が確認され,第306病日に終日離脱可能となった.高位頸髄損傷においても,長期的な横隔膜麻痺回復および肺活量の変化に注意し,離脱の可能性を模索することが大切であると思われた.

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