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―Pulmonary Functional Status and Dyspnea Questionnaire Modified (PFSDQ-M)による予備的検討―
牛場 直子, 里宇 明元, 藤原 俊之, 花山 耕三, 田沼 明, 辻 哲也, 川城 𠀋夫, 千野 直一
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
240-245
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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慢性呼吸器疾患では呼吸困難等によりADLが障害されるが,適切なADL尺度は未確立である.そこで包括的尺度(Functional Independence Measure: FIM),手段的ADL尺度(Frenchay Activities Index: FAI),疾患特異的尺度(Pulmonary Functional Status and Dyspnea Questionnaire Modified: PFSDQ-M)を比較した.FIMでは天井効果がみられたが,FAIとPFSDQ-Mは障害状況をよく反映していた.
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冨田 和秀, 居村 茂幸, 阪井 康友, 門間 正彦, 大瀬 寛高
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
246-250
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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本研究は,腹臥位における横隔膜運動の基礎的知見を得ることを目的としたものである.dynamic MRIを用いて,健常男性の5名を対象とし,横隔膜運動の変化と肺断面積の変化を解析した.研究では,背臥位および腹臥位の両姿勢で,おのおの30秒間の安静呼吸を撮像し,両姿勢における横隔膜の腹側部,中央部,背側部の動きを比較した結果,まず安静呼吸における横隔膜運動は,いずれの肢位ともに背側部での動きが優位であった.また,腹臥位では背臥位と比較し,腹側部での横隔膜運動は同程度であったが,中央部・背側部は減少する傾向にあった.肺断面積拡張率も,背臥位より腹臥位で減少傾向を示した.
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安藤 守秀, 森 厚, 岡澤 光芝, 榊原 博樹
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
251-255
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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肺結核後遺症(Tbc)患者における6分間歩行試験の意義を検討するためTbc患者40例(年齢71歳,% FEV1 42.5%)と年齢,% FEV1の等しいCOPD患者40例を対象に6分間歩行距離を比較した.その結果,歩行距離はTbc群380 m,COPD群383 mと等しく,また両群とも% FEV1,症状・ADLスコアと有意の相関を示し,% FEV1 との回帰直線は同等の切片と傾きを示した.以上よりTbc患者でも6分間歩行距離はCOPDの場合と同様の意義があるものと考えられた.
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佐竹 將宏, 塩谷 隆信, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 清川 憲孝, 敷中 葉月, 土橋 真由美, 笠井 千景, 佐々木 誠, 河谷 正仁
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
256-262
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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健常高齢者を対象に6分間歩行試験(6MWT)とシャトル歩行試験(ISWT)を行い,それぞれの特徴を分析した.6MWT中には,酸素摂取量は約2分で急増し,その後プラトーを示したことから,持久力評価により適しており,ISWTでは,最大二酸化炭素排出量,最大心拍数は高値を,経皮的酸素飽和度は低値を示したことから,心肺機能の限界の評価に適していると思われた.以上から,6MWTとISWTは相補的なフィールド歩行試験であるとみなされた.
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皆方 伸, 塩谷 隆信, 高見 彰淑, 佐竹 將宏, 佐々木 誠, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 河谷 正仁
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
263-268
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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呼気筋トレーニング(EMT),吸気筋トレーニング(IMT)に用いる負荷圧の代謝に及ぼす影響について若年健常者を対象に呼吸筋訓練器を用いて検討した.その結果,EMT時,安静時と比較して,METsは30% PEmaxで約1.3倍,40% PEmaxで約1.4倍,収縮期血圧は40% PEmaxで約1.1倍,ダブルプロダクトは約1.3倍に有意に増加した.IMT時,安静時と比較して,METsは40% PEmaxで約1.2倍に有意に増加した.以上の結果から,若年健常者では40% PEmax,40% PImaxまでの呼吸筋トレーニングは呼吸・循環系に対してそれほど大きな負荷にならないと考えられた.
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松尾 善美, 井上 悟, 南 正人, 太田 三徳, 松田 暉
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
269-273
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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大阪大学医学部附属病院に肺移植評価・移植で入院した患者のプロフィールや理学療法内容を後方視的に調査した.理学療法介入は術前四肢の筋力トレーニングが最頻であり,背景疾病に応じた選択が必要であった.術後は離床や継続的な全身持久力トレーニング,さらに肺・運動器合併症の治療に対応していた.理学療法は,肺移植待機期間には廃用を改善し,術後には早期離床と肺合併症の予防と治療,術前より引き続く廃用の改善および個々の患者のニードにあった運動水準まで新しい呼吸循環システムへ順応させることが理学療法の役割であると示唆された.
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―HAD改善群と非改善群の比較―
藤井 清佳, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 渡邊 暢, 加賀谷 斉, 伊藤 伸朗, 伊藤 武史, 鹿島 正行, 本 ...
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
274-280
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease ; COPD)患者に対し包括的呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)を3ヵ月以上施行し,Hospital Anxiety and Depression scale (HAD) を用い,抑うつ・不安感が改善した群(改善群)と改善しなかった群(非改善群)に分け,それぞれの群の各種評価項目の成績について比較検討した.呼吸リハ実施前と3ヵ月後のt検定による比較では,改善群のみで残気量,残気率,Borg scale,およびChronic Respiratory Disease Quetionnaire (CRQ) のDyspnea(呼吸困難感),Fatigue(疲労感),Mastery(疾病克服感)に改善がみられた.また,改善,非改善のデータをそれぞれ因子分析を行ったうえで,HADと関連する変数を定量的に探し出して重回帰分析を行った.結果,改善群では,残気量とquality of life (QOL) がHADに影響を及ぼしていることが示唆された.
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後藤 葉子, 黒澤 一, 黒川 良望, 飛田 渉, 上月 正博
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
281-285
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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Lung Volume Reduction Surgery (LVRS) を施行した重症肺気腫患者2症例に対し,術後60ヵ月の長期的な影響を呼吸機能・運動機能・健康関連QOL(health-related quality of life ; HRQL)および精神心理機能について検討した.肺機能は術後60ヵ月にはピーク時に比べ低下する傾向にあるが,HRQLおよび精神心理機能はなお良好な状態が維持されていた.重症肺気腫患者ではLVRS術後,疾病の進行とともに再び肺機能が低下し始めても質の高い生活をできるだけ長く維持する方策の検討が重要である.
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石田 朝美, 首藤 千春, 津野 里美, 藤田 七恵, 中俣 正美
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
286-291
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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1週間ずつ加湿水ありなしで,計2週間酸素吸入を行った患者の自覚症状に与える影響を調査した.酸素流量が3L/分以上になると,鼻症状などが多くなったが,16例中15例は加湿水ありなしおのおの1週間ずつ調査可能で,加湿の有無は自覚症状には大差はなかった.加湿水の有無が先か後かによる違いや,室内の湿度の影響についても,患者の自覚症状に関係しなかった.不要な加湿の廃止は労力やコスト削減にも貢献した.
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江原 尚美, 福島 喜代康, 金子 幸弘, 梶野 洋, 奥野 一裕, 河野 茂
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
292-295
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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睡眠呼吸障害は,生活習慣病と密接に関連している.終夜睡眠ポリグラフで診断した睡眠呼吸障害100例(男88例,女12例)を臨床的に検討した.昼間の眠気の自己評価(ESS)と無呼吸低呼吸指数には有意な相関は認められず,自覚症状に乏しいAHIが高値を呈する睡眠呼吸障害症例もみられた.肥満,高血圧,耐糖能異常,高TG血症の合併はAHIが高値の症例ほど高頻度であった.睡眠呼吸障害を呈する症例では,ESSによる自覚症状,いびきや無呼吸など他覚的所見,そして合併症の有無の検討が必要である.
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中川 加奈子, 沓澤 智子, 灰田 宗孝
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
296-301
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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人工呼吸管理中の成人患者8名(年齢73.4±13.0歳)に開放式気管内吸引を施行し,吸引中の脳の酸素化状態がどのように変化するのか,近赤外分光法を用いて測定し,SpO2の変化と比較検討した.吸引中にSpO2は1.9±1.6%(0~5%)低下した.しかし,すべての患者において酸素化ヘモグロビンは相対的に増加し,脳(前頭葉)の酸素化状態は保たれていた.これは,吸引刺激により脳血液量や脳血流の速度が増したためと考えられた.
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―看護師用チェックリストによる検討―
鈴木 晃代, 加藤 里美, 安西 由美子, 宇野 光子, 奥田 わか子, 近藤 康博, 谷口 博之
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
302-305
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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公立陶生病院呼吸器・アレルギー内科病棟において非侵襲的陽圧換気法(NPPV)を施行した急性呼吸不全100症例を対象に,急性期看護用チェックリストによる合併症の検討を行った.合併症としては,主にマスク装着の不快感,腹部膨満,鼻根部発赤を認めた.腹部膨満感および鼻根部発赤の有無で設定圧に差を認めなかった.鼻根部発赤群におけるNPPV装着期間は,非発赤群と比べ有意に長かった(10.8±8.7日vs 6.1±6.9日,P=0.0098).血清アルブミン濃度はNPPV導入前後で鼻根部発赤群(前 3.8 g/d<i>l</i>,後 3.2 g/d<i>l</i>),非発赤群(前 3.7 g/d<i>l</i>, 後 3.5 g/d<i>l</i>)いずれも有意に低下したが,発赤群では非発赤群に比べ低下の程度が大きかった(P=0.0059).
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城戸 貴志, 岩永 知秋, 高田 昇平, 町田 和彦, 中村 武博, 吉本 美華, 金子 弘史, 大南 諭史, 岡部 由紀子, 矢寺 和博, ...
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
306-309
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
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呼吸不全急性期(急性呼吸不全および慢性呼吸不全の急性増悪)にnoninvasive positive pressure ventilation (NIPPV) を使用した際の,インターフェイス(マスク)による鼻根部皮膚損傷の危険因子に関して検討した.その結果,低いBMI,浮腫を有すること,ADLが低いこと,1日のNIPPVの使用時間が長いことが危険因子として重要であると思われた.
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竹川 幸恵, 土居 洋子
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
310-315
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation: 以下NPPV)を受けている慢性呼吸不全患者の内的体験を明らかにすることを目的に質的研究を行った.NPPV療法を受けている患者は,アンビバレントな認知,感情を抱きながらも,さまざまな出来事に対して背を向けるのではなく,NPPV療法と向き合い,“今”を大切に生きていた.看護職者として,苦痛の早期緩和,重要他者との関係性構築の促進,自尊感情および気力の維持・向上を支援することの重要性が示唆された.
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―在宅酸素療法開始時期の位置付け―
有田 健一, 秋田 慎, 三戸 晶子, 塩見 桂史, 駄賀 晴子, 大橋 信之
原稿種別: 原著
2004 年 14 巻 2 号 p.
316-320
発行日: 2004/12/28
公開日: 2017/11/10
ジャーナル
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高度慢性呼吸不全患者の日常は終末期と並行しているという認識に立って,69名の外来経過観察中の在宅酸素療法患者にアンケート調査を行った.①患者はしばしば病気の将来を考え,安楽に自宅で過ごすことを希望した.②63.6%の患者は「死」を覚悟したが,呼吸困難度や病気の進行度が高度であると自覚した者に「死」を覚悟する者が多かった.③80.3%まの患者は「生かされている」という感覚につながる経験を有した.④この経験からアンケート調査時までの経過期間とHOT継続期間とは有意な相関関係にあった.医療従事者が慢性呼吸不全の終末期を認識し,患者の医療に対する自己決定権を援助し始める時期としてHOT開始時期をあてることは妥当であると思われた.ただ一部の肺気腫患者では終末期の判断を慎重にすべきである.
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