日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
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13 巻, 2 号
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教育講演Ⅰ
  • ―CPAPとBilevel PAP の効果―
    陳 和夫
    原稿種別: 教育講演
    2003 年 13 巻 2 号 p. 287-290
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    睡眠呼吸障害には,睡眠時無呼吸とrapid eye movement (REM) 睡眠関連低換気がある.睡眠時無呼吸には心不全,脳疾患時にみられる中枢性無呼吸(チェーンストークス呼吸)と,通常激しい鼾を伴う閉塞性無呼吸がある.閉塞性無呼吸の場合,病態は吸気時に生じる上気道の狭窄,閉塞にあり,上気道を持続的に開存させるCPAPは治療の基本となる.REM睡眠期を中心にみられる睡眠中の低換気に対して,上気道確保のみでは十分な換気を得ることが困難な場合,吸気筋にかわって吸気圧と呼気圧の差で換気を補助するBilevel PAP が適応となる.

教育講演Ⅱ
  • ―維持,継続プログラムを中心に―
    塩谷 隆信, 佐竹 將宏, 高橋 仁美
    原稿種別: 教育講演
    2003 年 13 巻 2 号 p. 291-297
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    在宅ケアは,患者に可能なかぎりベストの生活スタイルを提供することを目的に行われ,この在宅ケアの中心となるものが在宅呼吸リハビリテーション(在宅呼吸リハ)である.在宅呼吸リハは,理学療法士あるいは看護師を中心とした多職種が関与するプログラムに基づき施行されるもので,健康関連QOLおよび運動耐容能を有意に向上させる.在宅呼吸リハは継続して実施することでその効果があがるが,在宅における継続実施率は,呼吸訓練,ストレッチ体操,呼吸筋訓練,歩行訓練,上下肢筋訓練ともに低い現状にある.在宅呼吸リハの実施率の向上のためには,運動強度を低く実施頻度を多くした low-intensity high-frequency 運動療法プログラムが理想的と考えられる.しかしながら,プログラムの内容および有効性については今後の検証が必要である.在宅呼吸リハは,患者の自宅という便利で快適な環境で医療サービスを提供でき,さらに医療費の削減につながることから今後の普及が大いに期待される.在宅呼吸リハは,生活スタイル改善の持続的プロセスであり,それは,患者がプログラムに参加した時点から始まり,フォローアップを通じて継続していかなければならない.

パネルディスカッションⅡ
  • ―横隔膜呼吸と酸素加湿―
    宮本 顕二, 勝野 久美子
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 298-299
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー
  • 松尾 善美, 山本 洋史, 米田 稔彦, 三木 明徳
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 300-306
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    腹式呼吸(横隔膜呼吸)により,1回換気量の増加,呼吸数・酸素換気当量・死腔換気率の減少,さらにPaO2 上昇やPaCO2 減少が報告されている.呼吸補助筋の収縮抑制と胸腹部運動の同期性を伴った意識下での呼吸コントロールが成功したときに,腹式呼吸は,換気効率を改善し,呼吸困難感を緩和する可能性がある.しかし,安定期COPD患者では,必ずしも完全な腹式呼吸パターン習得がその目標にはならない.

  • 神津 玲, 朝井 政治, 俵 祐一, 中村 美加栄, 中野 豊, 柳瀬 賢次
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 307-310
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する横隔膜呼吸法は,自覚症状軽減に役立てる目的で呼吸練習の一手段として適用されてきた.しかし,本呼吸法にはさまざまな問題点があり,臨床現場での混乱も少なくない.横隔膜呼吸によって換気パターンの変化は認められるが,呼吸仕事量や呼吸困難感を軽減しないこと,実施そのものが不可能な場合があることなどから,すべてのCOPD患者に対してルーチンに指導することは推奨できない.

  • ―賛成の立場から―
    中村 清一
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 311-314
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸不全患者に,無加湿の状態で8時間酸素を(0.5~3 L/分)継続的に吸入させると鼻腔粘液線毛クリアランス(NMCC)は障害された.呼吸同調型酸素供給調節器をとおした経鼻酸素吸入ではNMCCの変化はなかった.

    健康成人に,圧縮空気ボンベから経鼻カヌラで 3 L/分の加湿空気吸入ではNMCCの変化はなかった.乾燥空気吸入では全例,鼻痛で中止し,NMCCは有意に障害された.持続的に乾燥気を吸入するとNMCCが障害される.これらを考慮した酸素投与が必要である.

  • 伊藤 史, 阿部 友美, 加藤 奈保子, 寺江 憲子, 宮川 純子, 西村 正治, 宮本 顕二
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 315-319
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    低流量酸素吸入において,欧米では酸素を加湿していない.一方,わが国では多くの施設で流量に関係なく常に酸素を加湿している.そこで,入院患者を対象に酸素加湿の有無が自覚症状(鼻の乾燥感,鼻の痛み,鼻水の量,喉や口の渇き,頭痛,痰の硬さの6項目)に及ぼす影響を検討した.対象は臨床的に安定している呼吸器疾患患者10名,酸素流量は鼻カニュラで0.5~3 L/分,平均 1.8±0.3 (SE) L/分であった.酸素加湿の有無が患者にわからないようにした加湿装置を作製し,1週間を加湿ありと加湿なしの期間に分け,その間の自覚症状を比較した.酸素加湿ありとなしの期間,病室の温度と湿度に差はなく,また,6項目の自覚症状で有意差を認めなかった.以上より,低流量酸素吸入(2 ないし 3 L/分以下)において,鼻の悪い人や自覚症状の強い患者を除いて,あえて酸素を加湿する根拠はない.

  • ―病棟での酸素加湿を中心として―
    巽 浩一郎, 松原 宙, 滝口 裕一, 田辺 信宏, 黒須 克志, 笠原 靖紀, 栗山 喬之
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 320-323
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    低流量酸素吸入時には,加湿は必要ないかもしれない.そこで,酸素吸入時の加湿が,自覚症状にどのような影響を与えているかに関して,入院中の呼吸器疾患症例を対象として検討した.加湿を外すことによる短期的および長期的影響を,対面式のアンケートにて調査した.原則的には低流量酸素吸入時の酸素加湿は必要ないが,加湿を中止することにより自覚症状の悪化を認める症例に関しては,慎重な対応が必要と考えられた.

  • 塩田 哲広, 斎藤 好久, 金岡 正樹
    原稿種別: パネルディスカッション
    2003 年 13 巻 2 号 p. 324-326
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    酸素加湿をやめてみて病棟看護師40名および在宅酸素療法中の患者66名のアンケート調査を行った.病棟で加湿を中止しても自覚症状の悪化はなく,看護師全員が中止してよかったと回答した.理由の主なものは加湿器の音や結露がなくなったことと看護業務の改善であった.一方在宅酸素療養中の患者は加湿を止めると約25%に自覚症状の悪化を認めたが2 <i>l</i>/分以下とそれ以上の群で有意差がみられた.2 <i>l</i>/分以下の酸素吸入には加湿はいらない.

ランチョンセミナーⅢ
  • 一ノ瀬 正和
    原稿種別: ランチョンセミナー
    2003 年 13 巻 2 号 p. 327-331
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    安定期COPDの薬物療法の基本は気管支拡張薬の投与である.COPD患者は気管支喘息に比べ気道の可逆性(気管支拡張薬に対する反応性)は小さいが,1秒量でみて約3分の1は優位の改善を示す.また,1秒量で改善がわずかであっても,細気管支領域の拡張による肺気量位の低下から運動耐容能は増加するので,COPD患者に対して積極的に気管支拡張薬投与を行うべきである.COPD患者は気管支拡張薬のなかでも抗コリン薬に最もよく反応するが,中等度以上の重症度の場合には多剤併用が効果・副作用のバランスからいって望ましい.

ランチョンセミナーⅧ
原著
  • ―呼吸器科禁煙外来における成績―
    上村 なつ, 中村 清一, 川上 雅彦
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 340-343
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    当院の禁煙外来を受診した呼吸器疾患患者の特徴,禁煙効果を検討した.呼吸器疾患患者群(RP)59人,健常者群(HP)178人,その他の疾患患者群(OP)81人を検討対象とした.RP群は他の2群に比し,受診時年齢,外来受診回数が高く,呼気CO濃度は低値を示した.各群での禁煙の効果判定に有意差はみられなかった.RP群では,禁煙動機として健康を害したり,医師に言われて禁煙を試みる人が多く,禁煙できない理由として喫煙が健康にそれほど悪影響を与えないと考える人がHP群より多かった.初診時アンケートの禁煙動機や禁煙できない理由からRPでは外来時の積極的な禁煙啓蒙の必要性をうかがわせた.

  • 安藤 守秀, 森 厚, 江崎 寛, 白木 硬, 上村 博幸, 岡澤 光芝, 榊原 博樹
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 344-350
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    呼吸リハビリテーションの長期効果を検討するため導入プログラムを終えた呼吸器疾患症例58例を2年間の継続プログラムに組み入れ,継続率と臨床諸指標の推移を追跡した.プログラムの完遂率は64%で,肺機能,呼吸困難度,活動能力は徐々に導入リハビリ前のレベルに戻る傾向を認めたが6分間歩行距離は保たれていた.呼吸リハビリは長期に一定の継続率を確保でき,また継続例については運動耐容能を保持することが示唆された.

  • 敷中 葉月, 高橋 仁美, 菅原 慶勇, 笠井 千景, 清川 憲孝, 土橋 真由美, 澤田石 智子, 加賀谷 斉, 本間 光信, 鹿島 正行 ...
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 351-355
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者25例を対象に,外来通院で包括的呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)を6ヵ月間施行し,前後に身体機能(呼吸機能・運動耐容能),QOLおよび心理面(抑うつ・不安感)を評価し,呼吸リハの効果を抑うつ・不安の側面から検討した.呼吸リハ施行後,呼吸機能の一部,運動耐容能およびQOLの改善とともに抑うつ・不安感は有意に改善した.抑うつ・不安感の軽減と身体機能の改善は直接的な関係が認められなかったが,疲労感との関与が示唆された.

  • ―年代別効果の検討―
    菅原 慶勇, 高橋 仁美, 清川 憲孝, 笠井 千景, 渡邊 暢, 藤井 清佳, 澤田石 智子, 加賀谷 斉, 伊藤 伸朗, 鹿島 正行, ...
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 356-364
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    外来呼吸リハビリテーション(外来呼吸リハ)を18ヵ月以上継続しているCOPD患者を60歳代,70歳代,80歳代の3群に分け,年代ごとの改善率の比較と各年代における長期効果について検討した.年代ごとの改善率の比較を行った結果,80歳代で Borg scale が外来呼吸リハ施行後6ヵ月に60歳代と70歳代よりも有意に増加(p<0.05)した以外,3群間で呼吸機能,胸郭拡張差,呼吸筋力,6MDおよびHRQoLの改善率に差を認めなかった.各年代における長期効果では,各年代とも呼吸機能,胸郭拡張差,呼吸筋力,6MDおよびHRQoLを長期にわたり改善し,その効果を維持することができた.COPD患者に対する外来呼吸リハは年代を問わず有益であると考えられ,改善効果を維持するためには継続する必要性があると推察された.

  • 與座 嘉康, 北川 知佳, 田中 貴子, 中ノ瀬 八重, 田所 杏平, 本田 純久, 千住 秀明
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 365-372
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    慢性呼吸器疾患患者における上肢の日常生活活動評価表の作成を目的に,慢性呼吸器疾患患者112例に対し,21項目の質問紙調査を行った.作成手順として,削除基準に達した10項目を削減し,残った11項目について信頼性と妥当性の検討を行った.α係数は0.94であり,6分間歩行試験,千住らのADLスコア,Fletcher-Hugh-Jones の息切れ分類とも関連が認められ,信頼性・妥当性共に良好であった.

  • 南谷 昌弘, 安間 文彦, 小長谷 正明
    原稿種別: 原著
    2003 年 13 巻 2 号 p. 373-376
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    チェーン・ストークス呼吸を合併したうっ血性心不全患者5例(心エコー上左室駆出率<30%)を対象に,1年間の持続気道陽圧の効果を検討した.5 cm H2O の持続気道陽圧により,チェーン・ストークス呼吸は消失し,無呼吸・低呼吸指数は減少した.左室駆出率も治療3ヵ月までは改善した.持続気道陽圧は,うっ血性心不全患者のチェーン・ストークス呼吸,睡眠の質および心機能を改善し,その非薬物療法として有用と思われた.

症例報告
  • 辻村 康彦, 荻原 圭三, 平松 哲夫, 松本 修一
    原稿種別: 症例報告
    2003 年 13 巻 2 号 p. 377-381
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    強度の呼吸困難により長期臥床を強いられ,離床,ADL向上に難渋し,酸素投与のみでは効果的な運動療法の実施が困難である症例に対し,酸素投与に加え,バッテリーを搭載し,自由な移動を可能としたNPPVを併用し運動療法を施行した.その結果,酸素投与のみでは実施困難であった運動療法の遂行が可能となり,離床,ADL向上がスムーズに進むなど十分な短期効果が得られた.さらにNPPV併用なしでの歩行獲得にも成功した.今後,適応基準の問題など課題も残されているが,NPPVの併用による運動療法は,呼吸機能障害が高度となり,酸素投与のみでは運動療法施行が困難な患者に対し,著明な呼吸困難を感じさせることなく運動療法を施行できる新しい方策と思われた.

  • 緒方 賢一, 諸岡 三之, 渡邉 謙介, 原 由美, 升岡 圭治
    原稿種別: 症例報告
    2003 年 13 巻 2 号 p. 382-384
    発行日: 2003/12/20
    公開日: 2018/04/10
    ジャーナル フリー

    症例は74歳の男性.重症肺炎で入院し,食餌中に突然呼吸停止をきたした.経口挿管後人工呼吸器に装着して,呼吸状態は改善したが,胸部X線写真で頸部に金属製と思われる異物を認めた.下咽頭に金属の付いた突起物を発見し,把持鉗子で取り出して部分入れ歯と判明した.義歯は気管・気管支異物の11.5%,食道異物の9.7%を占め,異物の主要原因となる.食事中の急性呼吸不全では部分入れ歯の咽頭嵌頓を考慮することが必要である.

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