人工呼吸回路専用のMDI用スペーサー(Aero VentTM)を試用する機会を得たのでその臨床的効果と有用性について検討した.慢性呼吸不全に対して人工呼吸中の気管支喘息要素を有する硅肺患者においてβ刺激剤投与時に試用した結果,呼吸回路を外して投与する従来法に比べて有意な気道内圧の低下が観察された.本器具を用いることでより確実な吸入療法が可能になるものと考えられた.
慢性気道感染症を除く,気管ボタン装着例について,下気道感染のあるときとないときの,気管ボタン部,喀痰および気道内吸引物の細菌検査を行い気管ボタンの安全性を検討した.
気管ボタン部にみられる細菌は,下気道感染のあるときはその起因菌を反映し,下気道感染のないときの細菌は,局所消毒を行っていれば,下気道感染の原因にはなりにくく,気管ボタンが,肺炎などの重篤な下気道感染の原因になることはまれと思われた.
在宅酸素療法(HOT)における液体酸素の普及の程度とその有用性,問題点について検討した.HOT継続中の40例中26例(65%)が設置型液体酸素を使用し,この内15例(37.5%)が携帯用液体酸素システムを使用していた.これら15例中12例(80%)は就業,家事従事など広いADLの範囲を維持していた.自然蒸発,移充填,住居により配送困難などの問題はあるが,液体酸素はHOT患者のADLの範囲の維持・拡大に有用で,ひいてはQOLの改善も期待できる.
在宅人工呼吸器装着患者の管理を容易にするため,パソコン通信を用いた管理を試みた.結果,パソコンそのもののむずかしさ,患者のプライバシーの保護など,今後の課題を残すことになったものの,パソコン通信を用いることによって従来の管理方法における問題点は解決し,低コストで患者管理ができることがわかった.今後発展すれば,患者のノーマライゼーションにも寄与し,将来的に多くの患者の管理・把握も可能であると思われた.
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