皮膚
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40 巻, 6 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 須磨 升美, 猿喰 浩子, 井上 千津子, 片桐 修一
    1998 年 40 巻 6 号 p. 541-542
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 植村 振作
    1998 年 40 巻 6 号 p. 543-548
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    家屋内で無規制のまま大量に使用されているダニ, シロアリ等の害虫駆除剤による汚染の程度を明らかにし, 健康被害例を示した。症状は多岐にわたっており, 薬剤による特異的な症状はない。自他覚可能な曝露だけでなく, 無意識のうちの曝露が健康被害をより深刻・複雑化し, 診断を困難にしている。従来, いわゆる不定愁訴とされてきたものの中に, 日常生活での室内空気化学汚染物質への曝露が原因となる例がかなりの割合で存在する可能性を指摘した。その一部分としての新築症候群と室内空気汚染物資との関係についての体系的な調査が医療機関ないしは医療関係者において実施されることの必要性を述べた。
  • 当科における脂腺母斑136例の検討
    南 祥一郎, 喜多野 征夫
    1998 年 40 巻 6 号 p. 549-555
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    当科において病理組織学的に脂腺母斑および脂腺母斑から発生した二次性腫瘍と考えた136例について検討を行った。その結果, 脂腺母斑における二次性腫瘍の発生は136例中18例 (13.2%) であり, 年齢が高くなるに従ってその発生率は上昇し, 50歳以上では80%であった。発生した二次性腫瘍は基底細胞上皮腫, 乳頭状汗管嚢胞腺腫各々4例, 脂腺癌, 毛芽腫, 脂腺上皮腫各々3例であった。良性腫瘍は比較的若年者に発生し, 基底細胞上皮腫を含めた悪性腫瘍は50歳以上に高率に認められた。また, 脂腺母斑に特徴的とされる表皮の肥厚, 脂腺の増大, 異所性アポクリン腺の存在などの病理組織学的所見が消失する40歳代あるいは50歳代から, 二次性腫瘍の発生率が上昇していた。
  • 大畑 千佳, 調 裕次, 高木 圭一, 川津 智是
    1998 年 40 巻 6 号 p. 556-561
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大阪逓信病院皮膚科で1989年1月から1998年8月までの約10年間に男性1人, 女性14人の帯状疱疹再発例を経験した。本邦報告例と比較, 検討した結果, 帯状疱疹再発例は全帯状疱疹の2%弱に生じること, 女性に多く, 膠原病患者の比率が高いこと, 膠原病, 中でもSLE患者は, 比較的若年で初回の帯状疱疹罹患を生じ, 短期間で3回以上繰り返す傾向があること, 膠原病以外の患者では, 加齢が影響する例も少なくないことがわかった。
  • 東 奈津子, 山本 敦子, 格谷 敦子, 石井 正光
    1998 年 40 巻 6 号 p. 562-566
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    24歳, 女性。運動中に蕁麻疹の出現を認める事が数回あり, 経過中に意識消失発作が2回ある。小麦製品摂取後の運動中に発症していることからfood-dependent exercise-induced anaphylaxis (FDEIA) を考えた。小麦のRAST (-), スクラッチテスト (-), 皮内反応 (-) であったが, 誘発試験の結果, 小麦+運動負荷にて症状の出現とヒスタミン値の上昇を認め, 自験例を小麦によるFDEIAと診断した。また, disodium cromoglicate (DSCG) 内服が予防に有効と思われた。
  • 森 紀子, 出口 英樹, 段野 貴一郎
    1998 年 40 巻 6 号 p. 567-570
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    増強波長を認めた日光蕁麻疹の22歳男性例を報告した。作用波長は400-500nmの可視光線領域であった。血清へのin vitro照射で光抗原の存在が確認された。作用波長照射直後に550nm以上の光線を追加照射すると膨疹誘発が増強した。照射順序を逆にした場合は増強されなかった。血清光アレルゲンの検出検査では陽性を示した。抑制波長は見つからなかった。自験例では, 増強波長は光抗原の産生段階またはそれ以後の段階に働く可能性がある。
  • 皮膚病理所見を中心として
    植田 初江, 稲永 隆, 本多 光弥, 須貝 哲郎
    1998 年 40 巻 6 号 p. 571-575
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    気管支喘息の長い病歴のある45歳男性。突然の下肢の腫脹, 疼痛を訴えて来院した。下腿には紫斑を認め, 検査の結果, 好酸球増多と高度の尿蛋白および顕微鏡的血尿を認めた。皮膚生検ではフィブリノイド血管炎を呈し, 真皮内の血管壁にlgM, lgG, C1q, フィブリンの沈着を認めた。腎生検では半月体形成性糸球体腎炎の像を呈し, 最終的にChurg-Strauss症候群と診断した。また, 抗好中球細胞質抗体ANCA (antineutrophil cytoplasmic antibody against myeloperoxidase) の上昇を認めた。プレドニゾロンの投与により好酸球数は3日間で下降し, 新しい出血斑の出現も減少したが, ANCAが正常値に復するのと腎機能が正常化するのに3ヵ月を必要とした。いわゆるANCA関連性血管炎として報告した。
  • 松本 二郎, 夏秋 優, 喜多野 征夫, 北川 恵子
    1998 年 40 巻 6 号 p. 576-581
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    クロロマイセチン®軟膏による皮膚潰瘍の2例 (48歳女性と46歳男性) を報告した。両症例とも約1ヵ月間, 外傷に対して同剤を外用していたところ局所が潰瘍化してきた。同剤の中止により潰瘍は治癒した。貼布試験の結果, いずれの症例もクロロマイセチン® 軟膏で強陽性所見を認めた。また, 成分貼布試験では, いずれの症例も蒸留水を溶媒とした2%クロラムフェニコールで陽性で, 白色ワセリンを基剤とした場合はラウリル硫酸ナトリウムを1%添加した2%クロラムフェニコールで陽性所見を得た。これらの結果から, 両症例とも, クロラムフェニコールを原因とした接触皮膚炎から潰瘍を生じたものと考えた。
  • 稲宮 知美, 谷口 龍生, 月野 暁彦, 谷垣 武彦
    1998 年 40 巻 6 号 p. 582-585
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    71歳, 女性。約8年前に鼻唇溝部や鼻孔部に円板状エリテマトーデスを発症した。ステロイド外用にて治療し, 軽快していたが急激に両頬部から頸部にかけてと右上腕に浸潤性紅斑を認めるようになった。皮膚生検にて深在性エリテマトーデスと診断した。患者はうつ病にて入院中であり精神症状の増悪も考え, ステロイドの全身投与はおこなわずに, ステロイド外用にて治療した。約2ヵ月後には顔面の浸潤性紅斑は軽快し, 右上腕部の皮疹は陥凹し萎縮瘢痕化した。
  • 宮島 進, 中島 武之, 岡田 奈津子, 松岡 縁
    1998 年 40 巻 6 号 p. 586-589
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    48歳, 女性の著明な脊柱側弯症をきたしたレックリングハウゼン病の1例を報告した。幼少時からカフェオレ斑を認め, 約5年前より身長の短縮と歩行障害をきたし, また呼吸障害も生じたため, 当科へ紹介となった。X線検査にて脊椎の著明な側弯とそれに伴う胸郭の変形がみられ, 呼吸機能検査では著明な拘束性障害を呈した。また骨生検, 臨床検査では骨軟化症の所見が得られた。レックリングハウゼン病に伴う呼吸障害としては肺実質の線維化や腫瘍の合併の報告はみられるが, 胸郭の変形による著明な拘束性障害を呈することは比較的稀であると思われた。
  • 大貫 雅子, 為政 大幾, 原田 暁, 上津 直子, 堀尾 武
    1998 年 40 巻 6 号 p. 590-594
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    基底細胞癌 (basal cell carcinoma, 以下BCC) の約70%以上は顔面に発生し, その好発部位は下眼瞼, 鼻周囲など, 胎生期顔裂線に一致する。本腫瘍は局所破壊性が強いこともあり, 十分な拡大切除が必要な場合もある。外鼻に生じた症例ではその特徴的な皮膚性状および立体構造ゆえに, 切除後の再建に工夫が必要とされることが多い。Axial frontonasal flapは眼角動脈を茎とする鼻尖部の回転皮弁と眉間のV-Y advancement flapを組み合わせた術式で, 鼻尖, 鼻背付近の皮膚欠損の再建法として用いられるようになってきた。われわれは鼻尖, 鼻背部に生じたBCC4例の切除後の再建にこの術式を用い, 術後再発はみられず, 整容的にも良好な結果を得た。
  • 松本 千穂, 荒木 祥子, 毛利 有希, 大和谷 淑子, 北吉 光, 市野 直樹
    1998 年 40 巻 6 号 p. 595-599
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    61歳男性。20歳頃から, 腰痛に対し灸で自己治療していた。初診の2, 3年前より灸の瘢痕部が隆起してきたため当科を受診した。初診時, 腰背部に直径12cm大の瘢痕萎縮局面を認めた。局面中央に直径28mm大の疣状隆起結節があり, その辺縁の潰瘍, びらん面と, 散在する疣状小結節を認めた。生検より高分化型有棘細胞癌を考え, 瘢痕の紅色の部分より2cm以上離して腸腰筋膜上で切除した。病理組織所見: 腫瘍は外方, 内方に増殖し, 角質増生, 不全角化, 表皮の乳頭腫様増殖像を認めた。増殖している細胞は比較的大型の有棘細胞で, 細胞異型は軽度であった。表皮真皮の境界は明瞭であり, これをverrucous carcinomaと診断した。
  • 橋本 里香, 早川 律子, 加藤 佳美, 杉浦 真理子
    1998 年 40 巻 6 号 p. 600-605
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    難治性乾癬に対するシクロスポリン (以下CYA) の有効性は周知であるが, 副作用の発現が問題となる。今回我々は, 重症乾癬患者10名を対象に, CYA間歇投与法を検討した。寛解導入量によりPASlスコアが85%改善した時点を寛解とし, 寛解後は3mg/kg/day継続投与と間歌投与 (週2日連続休薬) の2群に分けて24週観察し, 治療効果と安全性を検討した。全症例が12週以内に寛解となった。2例は胃腸障害のため中止したが, 重篤な副作用の出現はみなかった。CYA継続投与群と間歌投与群とで皮疹の経過, 副作用の程度と発現頻度に有意差はなく, CYA間歌投与法の有用性が推測された。
  • 市橋 正光, 船坂 陽子, 堀尾 武, 上津 直子, 宮地 良樹, 嶋岡 正利, 上出 良一, 野村 中夫, 早川 律子, 杉浦 真理子, ...
    1998 年 40 巻 6 号 p. 606-618
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1997年3月から1998年3月の13カ月間に7大学皮膚科を訪れた光線過敏症患者53例に対して酸化チタン, 酸化亜鉛を主体とした散乱剤処方のサンスクリーン剤 ((株) ピエールファーブルジャポン社提供, 商品名アベンヌ ® サンブロックEX50) を露光部位に1日数回, 2-4週間塗布し, 紫外線防御による皮膚症状の推移を観察した。53例中10例は評価日や治療内容に変更があり有用性の評価から除外し, 43例において「やや有用」以上の遮光有用率は83.7%(36/43) を示した。副作用は2例に見られたものの, いずれも軽度のかゆみであり, 使用中止により軽快治癒した。また本サンスクリーン剤は健常人に対しても高い安全性を示し, 光線過敏症患者および健常人に連用できる安全性に優れた遮光有用性の高い製剤であると考えられた。
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