61歳男性。20歳頃から, 腰痛に対し灸で自己治療していた。初診の2, 3年前より灸の瘢痕部が隆起してきたため当科を受診した。初診時, 腰背部に直径12cm大の瘢痕萎縮局面を認めた。局面中央に直径28mm大の疣状隆起結節があり, その辺縁の潰瘍, びらん面と, 散在する疣状小結節を認めた。生検より高分化型有棘細胞癌を考え, 瘢痕の紅色の部分より2cm以上離して腸腰筋膜上で切除した。病理組織所見: 腫瘍は外方, 内方に増殖し, 角質増生, 不全角化, 表皮の乳頭腫様増殖像を認めた。増殖している細胞は比較的大型の有棘細胞で, 細胞異型は軽度であった。表皮真皮の境界は明瞭であり, これをverrucous carcinomaと診断した。
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