家兎の頸リンパ本幹結紮によるリンパうっ滞実験を行い, その管壁の変化を経時的に観察し, 以下の様な結果を得た。
1) 管壁は結紮術後1週間までは, 間葉系細胞の反応により7-8倍に肥厚し, その中に側副路としてのリンパ管が新生された。
2) その後, 管壁の肥厚は減少し3-4倍の厚さとなり, 線維性肥厚や筋性肥厚の所見を示した。
3) 電顕的には, 線維性肥厚管壁では内皮細胞内フィラメントの増加と連続したbasal laminaがみられ, 筋性肥厚管壁では内皮細胞内フィラメントの増加と断続性の肥厚したbasal laminaがみられた。
以上, 頸リンパ本幹閉塞は, 結果的に, その管壁に肥厚性変化と側副路の形成を惹起することが明かとなった。このことは, 臨床的にみられるリンパ管腫に於けるリンパ管の形態像の解明を裏付けるものと考える。
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