著者らは環境温度を日内変動させた場合, 子豚の成長におよぼす影響についての一連の研究を行っており, 特に高温環境を中心にその影響を検討してきた。本報告は高温一定環境が子豚の成長におよぼす影響について知る目的で行った。試験区は, 21℃区, 27℃区, および33℃区の3区を設定し, 母豚の分娩に合わせて2回の試験を行った。供試子豚は中ヨークシャー種×大ヨークシャー種の雌子豚6頭, 中ヨークシャー種雄17頭を用いた。2回共に各温度区の平均体重が等しくなるように配分した。各試験は, 供試子豚の内1頭が25kgに達した時点で終了した。試験期間中の飼料および水の摂取は自由とした。測定項目は, 1日当たり平均増体量, 1日当たり平均飼料摂取量, 飼料効率, 体温とした。体温以外の項目については, 試験開始時の各子豚の体重が異なるので, 共分散分析により補正した。1日当たり平均増体量は, 21℃区, 27℃区に対して33℃区が有意に低い成績を示した。1日当たりの平均飼料摂取量ならびに飼料効率は, 33℃区が21℃区に比べて有意に低い成績を示したが, 27℃区はどちらの区に対しても有意の差は認あられなかった。体温についてはほとんど差がみられなかった。このことから, 高温環境は体温にほとんど影響が見られなかったが, 増体量および飼料摂取量に影響がみられ, さらに33℃になると, その影響が顕著に表れ, 飼料効率の低下がみられた。今後はエネルギー代謝の影響も考えられることから, この点についても検討する必要があると考えられる。
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