乾燥ミカンジュース粕を配合したアミノ酸添加低タンパク質 (低CP) 飼料を肥育後期豚 (80-105kg) に給与した場合の発育, 背脂肪厚, 肉色および窒素排せつ量の低減効果について検討した。飼料は標準CP飼料 (標準CP, CP 15.6%), アミノ酸添加低CP飼料 (低CP, CP 11.9%), ミカンジュース粕を10%および20%配合したアミノ酸添加低CP飼料 (低ミカン10%, CP 11.7%および低ミカン20%, CP 11.5%) を調製し, 給与した。飼養条件は, 群飼, 不断給餌, 自由飲水とした。試験期間中に, 酸不溶性灰分を指標物質とする消化試験を実施して糞中への窒素排せつ量を推定するとともに, 日本飼養標準・豚にもとづき尿中への窒素排せつ量を算出した。
試験の結果, 1日増体量は標準CP区, 低CP区, 低ミカン10%区および低ミカン20%区でそれぞれ923, 959, 960, および674gとなり, 低ミカン20%区で有意に低かった (p<0.05)。背脂肪厚および肉色には差は認められなかった。糞中窒素排せつ量は標準CP区, 低CP区, 低ミカン10%区および低ミカン20%区でそれぞれ14.8, 15.8, 18.1および18.0g, 尿中への窒素排せつ量はそれぞれ54.8, 38.2, 26.3および21.1g, 総窒素排せつ量はそれぞれ69.6, 53.7, 44.3および39.2gであり, 両ミカン区の糞中窒素排せつ量は標準CP区に比べてやや増加したが, 尿中および総窒素排せつ量は大きく低下した。以上のことから, 豚へミカンジュース粕を10%配合したアミノ酸添加低CP飼料を給与した場合に, 標準CP区と比較して発育成績, 背脂肪厚および肉色は同等で, 尿中および総窒素排せつ量が大幅に低減できることが明らかとなった。
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