塩ビ管で作成した簡易型MAP回収装置(反応容積200l)を養豚場の回分式活性汚泥浄化施設に設置し,ふん尿分離豚舎汚水からのリン回収を試みた。曝気強度45m
3/m
3・時,HRT 1hr, 自家調整した約30%のMgCl
2溶液を汚水量に対して0.1%添加する条件で運転したところ,反応前後の汚水性状から水溶性リン酸態リンの結晶化率は60~69%となった。また反応槽内に浸漬したステンレス製の網カゴの表面に付着させて回収したMAP重量は,投入汚水量あたり12.8~41.0g/m
3であった。なお回収したMAPはリン純度96~98%であり,銅や亜鉛と言った重金属類の含有量は化成肥料と同等かやや少なかった。夏季の42日間のリン収支を試算したところ,結晶化した水溶性リン酸態リン量の内,11%がMAPとして回収できたが,残りは反応後の汚水とともに装置の外に排出されていた。
以上のことより,塩ビ管で作成した簡易型MAP回収装置は回分式活性汚泥処理施設への適用が可能であるとともに,豚舎からのふん尿分離汚水中の水溶性リン酸態リンを結晶化し,リン純度96%以上のMAP回収が可能であることが確認された。
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