日本調理科学会誌
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43 巻, 1 号
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総説
報文
  • 柘植 光代, 金親 あつ美, 藤井 恵子, 大越 ひろ
    2010 年 43 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
    食品の調理・加工法に及ぼすマイクロバブルの影響を明らかにするため,マイクロバブルを用いて豆乳を起泡して,起泡性と泡沫の安定性を評価した。起泡性は起泡力と泡沫表面高を,また安定性は排液率と排液速度を測定して評価した。マイクロバブルの発生時間が長い場合は起泡力が高かった。泡沫表面高を高くするにはMB発生時間を長くすることが有効であるが,粘性率が高い試料の場合は発生時間の延長効果は小さかった。マイクロバブルの発生時間が長いと泡沫の排液率は低く,排液速度は遅くなることから泡沫の安定性が保たれた。起泡力と排液開始初期の排液率は負の相関を示した。以上の結果より,豆乳の起泡において高い起泡性と泡沫の安定性を得るにはマイクロバブルの発生時間を長くすることが有効であった。
  • 井川 佳子, 行友 圭子, 本澤 真弓
    2010 年 43 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
    3種の糖アルコールとスクロースを用いて,4レベルの糖濃度(50%,100%,150%,200%)を添加したハードメレンゲを調製した。我々は調製過程におけるメレンゲの性質,即ち,焼成前後のメレンゲの物性,保存中のかたさ変化,ハードメレンゲの示差走査熱量測定,と高湿度下における変化などを研究した。
    焼成前の糖濃度の高いラクチトールメレンゲは,最も高い圧縮応力を示した。ラクチトールメレンゲは周囲から湿気を吸収し,容易に軟化した。
    焼成後のソルビトールメレンゲはゆっくりと硬化し,最終的に非常にかたいメレンゲになった。DSC測定の結果,ソルビトールメレンゲ中には,元のソルビトールとは異なるタイプの結晶が生じていることが分かった。
    キシリトールメレンゲは適度のかたさをもち,スクロースメレンゲと同様,高湿度下の保存で少し影響を受けた。結論として,キシリトールはスクロースに次いでハードメレンゲに適した糖であった。
ノート
  • 山田 潤, 赤堀 雄介, 松田 秀喜, 長谷川 吉朗, 前田 俊道, 原田 和樹
    2010 年 43 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
    鰹だしの活性酸素消去活性について検証した。さらに鰹だしをポーラスポリマー樹脂により分離した画分,及びAns,His,Crnの消去活性についても検討を行った。活性酸素としてスーパーオキシドアニオン,ヒドロキシルラジカル,一重項酸素,ペルオキシラジカルを用いた。鰹だしと樹脂非吸着画分はすべての活性酸素に対して消去活性を示した。また,Crnはスーパーオキシドアニオンに強い消去活性を示し,反応遮断型として作用するものと考えられる。Ans,Hisはヒドロキシルラジカル,一重項酸素,ペルオキシラジカルにそれぞれ強い消去活性を示した。
資料
  • ―製粉法による粒度の面から―
    堀 光代, 長野 宏子, 阿久澤 さゆり, 下山田 真, 吉田 一昭
    2010 年 43 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
    岐阜県産小麦粉(中国152号)の製パン性を製粉方法による粒度の面から検討した。ロール製粉機による製粉(中国152号(I)),テストミルによる製粉(中国152号(II))の2種類で製粉し,これらの小麦粉粒度,色差,製パン性等を比較した。
    小麦粉の平均粒度は,中国152号(I)95.5μm,同(II)56.9μmであった。粒度分布タイプも異なり,中国152号(I)にふすまの混入が示唆された。小麦粉の色差は「感知できるほど」の差がみられた。
    製パン結果では,比容積は中国152号(II)が(I)より高い結果であった。パンの色差は,小麦粉の色差結果より差が大きかった。パンのクリープ試験結果では,中国152号(II)は1CWに近く,中国152号(I)と(II)には顕著な差がみられた。
    パンの品質評価は,中国152号(I)の焼き色と色相の2項目が低かった。官能評価では中国152号(I)は(II)と比較して香り以外のすべての項目で低い評価であった。
  • 日本調理科学会近畿支部 揚げる・炒める分科会
    2010 年 43 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 2010年
    公開日: 2014/12/05
    ジャーナル フリー
    風味点数3に達した油の特性を劣化指標や官能評価から明らかにすることを試みた。じゃがいも,鶏ささみ,豚ヒレを用いて,「素揚げ」と「衣揚げ」を行い,フライ油の色,酸価(AV),アニシジン価(An.V),カルボニル価(CV),粘度の分析と官能評価を行った。
    各分析項目間の相関を調べたところ,AVと色,An.VとCV,An.Vと粘度上昇率,CVと粘度上昇率との間に相関が得られた。さらに各分析項目と官能評価項目との間の相関を調べると,CV,An.V,粘度上昇率と「油臭さ」との間に相関が認められた。一方,AVと色は,An.V,CV,粘度上昇率および官能評価の「油臭さ」のいずれとも相関は認められなかった。したがって,風味点数3の油は判定した官能評価項目の中では,「油臭さ」が指標となっており,その特性は,An.V,CV,粘度によって影響を受けることが示唆された。
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