日本調理科学会誌
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最新号
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2023年度日本調理科学会学会賞受賞記念論文
2023年度日本調理科学会奨励賞受賞記念論文
ノート
  • 中嶋 悟, 有田 真香
    原稿種別: ノート
    2024 年 57 巻 2 号 p. 89-99
    発行日: 2024/04/05
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり

     家庭でヨーグルトを作る際の温度と時間スケールの定量化の第一段階として,牛乳の乳酸発酵過程を減衰全反射赤外分光法(ATR-IR法)で32.5~50℃で20秒ごとに2時間連続測定を行った。各官能基の吸収帯面積をアミドIII(タンパク質)の吸収帯面積で割って吸収帯面積比の時間変化を調べた。C-O/アミドIII吸収帯面積比の減少と,C=O/アミドIII吸収帯面積比の増加は,いずれも1次反応で近似でき,得られた1次反応速度定数kの温度依存性から,糖の減少の活性化エネルギーEa=38 kJ.mol-1と頻度因子A=1.2×103 s-1,酸の増加のEa=31 kJ.mol-1とA=7.0×101 s-1が得られた。これらの乳酸発酵における糖の減少と酸の増加速度は,先行研究のヨーグルトのゲル化速度よりも遅く,ヨーグルト形成過程の時間スケールを支配している可能性があり,ヨーグルト形成時間スケールの定量化の第一歩となると期待される。

  • ―ゼリー加工時の加熱が抗酸化活性に及ぼす影響―
    菅野 友美, 三宅 義明
    原稿種別: ノート
    2024 年 57 巻 2 号 p. 100-106
    発行日: 2024/04/05
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり

     数種のハチミツの抗酸化活性とミネラル含量および色調を測定し,抗酸化活性との関連を検討するとともに,ハチミツゼリーを調製し,加工によるラジカル消去活性の影響を検討した。ハチミツの抗酸化活性はハチミツの種類により異なった。供試したハチミツ中でソバハチミツが最も高い抗酸化活性を示した。加熱処理したハチミツゼリーの抗酸化活性は,加熱前のハチミツに比べて有意に低下した。ハチミツの色調はハチミツの種類により異なった。抗酸化活性とL*値との間に有意な負の相関が認められた。ハチミツ中のミネラル(Ca,Cu,Fe)含量はハチミツの種類により異なることがわかった。抗酸化活性とCa含量およびCu含量との間に有意な正の相関が認められた。

  • 狐野 大誠, 石川 伸一
    原稿種別: ノート
    2024 年 57 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2024/04/05
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり

     重力が基礎的な調理現象に及ぼす影響を調べるため,クリノスタットを用いた模擬的な微小重力(1/1,000 G)および過重力(5 G)環境下において,米への水の浸漬,パンの膨化およびヨーグルトの発酵に関する実験を行った。米は吸水後の水分,パンは焼成後の比容積,ヨーグルトはpH,糖度および酸度を測定した。その結果,うるち米およびもち米では重力の違いによる水分の差はみられなかったが,玄米では1/1,000 G条件下の水分が 5 Gと比較して有意に高い結果となった。パンの比容積は,重力間に違いはみられなかった。1/1,000 Gの条件下のヨーグルトは,1 Gや 5 Gと比較して時間経過に伴うpH低下が緩やかであった。糖度は8時間後の1/1,000 G試料は 1 Gや 5 Gと比較して有意に高かった。酸度は8および24時間後の1/1,000 G試料は 1 Gと 5 Gと比較し有意に低い値であった。これらの結果から,重力変化が特にヨーグルトの発酵に影響を及ぼす可能性が示唆された。

資料
  • 作田 はるみ, 坂本 薫, 片寄 眞木子, 田中 紀子, 富永 しのぶ, 中谷 梢, 原 知子, 本多 佐知子
    原稿種別: 資料
    2024 年 57 巻 2 号 p. 113-125
    発行日: 2024/04/05
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり

     兵庫県の地形は山地,盆地,平野,沿岸,島と多様であり,「日本の縮図」といわれている。また,歴史的には,兵庫県は旧5国(摂津,丹波,播磨,但馬,淡路)から成り立っている。そのため兵庫県の食文化は,日本海・瀬戸内海の海産物と山や里の豊富な食材を生かしてさまざまに形成されており,これらの多様で豊かな食文化を継承することは重要である。そこで,伝統的な家庭料理や郷土料理の伝承方法の一つとして学校給食に着眼し,地域の産物を使用した家庭料理や郷土料理が学校給食の献立にどのように取り入れられているかについて調べた。その結果,学校給食で提供するための工夫や児童生徒の嗜好に合わせるための改変を加えながら郷土料理が提供されていることがわかった。学校給食に郷土料理を取り入れるための課題は,価格が高くなることであったが,郷土料理の提供は,食文化を伝えるよい機会,地産地消を推進するよい機会となっていると考えられた。

  • 綾部 園子, 平尾 和子, 名倉 秀子, 升井 洋至, 大野 智子, 安田 智子, 柳沢 幸江, 福留 奈美, 中澤 弥子, 新澤 祥惠, ...
    原稿種別: 資料
    2024 年 57 巻 2 号 p. 126-137
    発行日: 2024/04/05
    公開日: 2024/04/12
    ジャーナル 認証あり

     全国の大学・短大などの学生を対象に,調理器具や調理器具,家庭料理状況などについてアンケートを実施し,ウェブブラウザを用いて回答を収集した。調査は2022年9月から2023年2月に実施し,有効回答数は7,153件(有効回答率49.1%)だった。

     その結果,使用割合の高い調理器具は電子レンジ,炊飯器,フライパン,ピーラーであり,使用割合が低かったのは蒸籠,かつお節削り器,中華鍋であった。「おもに家で作る」料理は,卵焼き,ご飯,野菜の煮物,味噌汁が8割以上であった。一方,煮豆や赤飯は2割未満で,外食や調理済み食品を利用することが多かった。調味料・香辛料類では,めんつゆ,和風だしの使用率は80%を超えた。料理に関する最な情報源は,インターネットのレシピサイト,動画,学校での調理学実習であった。

     電子レンジやフライパンは種々の調理法に使用され,めんつゆや和風だしなどの調味料・香辛料も多用され,例えば青菜のごま和えのような伝統的な家庭料理は調理法の変化が明らかになった。これらの結果から,家庭料理の調理の簡便化あるいは時短化傾向が示唆された。

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