日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
51 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
総説
報文
  • 柴田 圭子, 高見 朋子, 関 桃子, 渡邉 容子
    2018 年51 巻1 号 p. 7-16
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     純ココア粉末を用いて,薄力粉重量の10%,20%,30%,50%および70%を置換した各スポンジケーキを調製し,C10,C20,C30,C50およびC70とした。
     ケーキバッターの比重およびスポンジケーキの硬さは,ココア粉末置換率の増加に伴って上昇したが,ケーキの比容積および凝集性は逆の傾向を示した。C50およびC70の比容積は他の試料より有意に低値であった。 ケーキの硬さはC30付近から増加する傾向にあり,凝集性はC30から有意に低下した。官能評価の総合的な嗜好性において,比較的評価の高いC20とC30に有意差は見られなかったが,C10,C50およびC70は有意に低く評価された。 C50の小麦粉を小麦でんぷんに置き換えたD50を用いてケーキ体積の抑制原因を検討したところ,主な原因は卵の気泡周囲を取り囲むデンプン量の相対的減少であることがみとめられた。
  • 佐野 杏奈, 菅原 沙織, 露久保 美夏, 香西 みどり
    2018 年51 巻1 号 p. 17-25
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     押麦(60%搗精)と丸麦(85%および60%搗精)を米と混炊し,各々の単独炊飯と比較した。大麦単独炊飯において丸麦は昇温速度を遅くすると飯の還元糖量,グルコース量が増加したが,押麦は顕著な増加はみられなかった。丸麦と米の混炊により還元糖量,グルコース量は単独炊飯から算出した計算値よりも実測値において高い値が得られることが明らかになった。酵素が失活している押麦は混炊により糖量が増加したことから炊飯中に,米の酵素の作用を受けたことが推察された。飯の物性は大麦と米を混炊することで米飯に比べ粘りが著しく低下した。
ノート
  • 谷澤 容子, 矢吹 実奈子, 内海 麻衣, 松宮 健太郎, 松村 康生, 香西 みどり
    2018 年51 巻1 号 p. 26-36
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     本研究は,種々の農産食品を微細化した粉末の乳化性および起泡性を調べる目的で行った。米,サツマイモ,大豆,ゴボウ,小松菜,生姜,トマト,干し椎茸の市販農産食品を2種類の方法で微細化した。卓上型粉砕機で平均粒子径27 μmから197 μmに微細化(DP),気流式粉砕機で18~34 μmに微細化(FP)した各々の試料4%(w/v)を脱イオン水に添加し7,000 rpm,2 min撹拌し起泡力を測定した。玄米,精白米FP,サツマイモは起泡特性が低く,小松菜葉FP,干し椎茸には起泡力がみられた(p<0.05)。FPにおいては,起泡力は見かけ密度と負の相関がみられた(R=-0.966,p<0.001)。2.0%(w/w)から17.3%(w/w)試料を油相に分散後,同体積量の水相と共に6,000 rpm,2 minホモジナイズ後,乳化安定性を測定した。玄米,精白米,大豆は17.3%(w/w),干し椎茸は9.4%(w/w)と濃度を高くすることで120分まで乳化安定性を保持した。油滴周に玄米,精白米微粒子が分散,一部吸着している様子が顕微鏡観察により確認できた。
  • 石島 恵美子, 安島 清武, 田口 眞一, 櫻井 輔, 田村 誠, 阿部 信一郎
    2018 年51 巻1 号 p. 37-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     “つと豆腐”は茨城県東茨城郡茨城町の郷土料理であり,近年,その喫食機会は著しく減少している。“つと豆腐”の潜在的購買層を把握するため,2016年9月に茨城町内のショッピングモール来店者を対象に試食アンケート調査を行った。“つと豆腐”に対する購入意向は,“つと豆腐”の伝承意識が高く,食に対する健康志向が高い回答者,および“つと豆腐”が「食べやすい」および「子供が喜ぶ」と評価した回答者で最も高かった。購入意向を示した回答者の多くは,“つと豆腐”を日々の食事の食材およびおつまみとして購入することを期待し,購入場所としてスーパーマーケットを希望した。価格受容分析の結果,豆腐一丁(約300 g)から作られた“つと豆腐”の最適価格および無差別価格(妥当価格)はそれぞれ177円および195円と推定された。“つと豆腐”は日常食として現代の消費者に受け入れられる可能性が高いと考えられる。
資料
  • 清水 友里, 谷米(長谷川) 温子, 若林 素子
    2018 年51 巻1 号 p. 42-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/02/23
    ジャーナル フリー
     20代男女の日常的な食事摂取状況の把握を目的として,昼食形態でよく選択される弁当を調査対象とし,学生自ら計画・調理した手作り弁当と市販弁当の栄養調査を行った。ビタミンA,Cおよび葉酸や鉄は,手作り弁当の含有量が市販弁当に比べて1.5から5.7倍多かったものの,エネルギー量は市販弁当の80%以下であり,手作り弁当で各自の推定エネルギー必要量を満たしているものは5%に満たず,特に男性のエネルギー不足が顕著であった。女性では脂質の%エネルギー値が目標値を上回っていた。そこで,弁当のエネルギー量を目的変数とし,回帰木分析を行ったところ,最も寄与する因子は炭水化物量であった。主食を味付け飯に調理することにより,弁当の容量に対する詰める割合が増加し,炭水化物量が増加する傾向が示された。また,回帰木分析は変数間の関係を把握しやすいため,栄養評価において,回帰木分析は有効なツールとなり得ることが示唆された。
講座
教材研究
クッキングルーム
トピックス&オピニオン
feedback
Top