日本調理科学会誌
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49 巻, 6 号
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総説
報文
  • 山﨑 貴子, 岩森 大, 伊藤 直子
    2016 年 49 巻 6 号 p. 348-354
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/19
    ジャーナル フリー
     食肉は重要なタンパク質源の1つであるが,加熱により硬くなり,咀嚼嚥下機能が低下した高齢者には食べにくい。我々は牛肉をマイタケ抽出液と一緒に真空パックしスチーミングすると効果的に軟化ができることを報告しているが,表面がべたつき食味が低下することが課題であった。本研究では,食味を改善する方法として,マイタケ抽出液の注入による食肉軟化を試みた。また,マイタケ抽出液が調理中に肉のタンパク質にどのように作用したか調べた。
     破断測定および官能評価の結果から,マイタケ抽出液を牛肉に注入する方法は,真空パック法と同程度に牛肉を軟化したが,表面のべたつきは少なかった。SDS-PAGEおよびウエスタンブロッティングの結果,マイタケ抽出液中のプロテアーゼは特にミオシンに強く作用していることが示された。
     以上より,マイタケ抽出液を注入する方法では,高齢者にとって食感が良く食べやすい肉を作成できる可能性が示唆された。
ノート
  • 柴田(石渡) 奈緒美, 川口 恵美, 安藤 祥充, 稲川 幹夫, 星田 博文
    2016 年 49 巻 6 号 p. 355-361
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/19
    ジャーナル フリー
     豆腐の製造工程において副産物として排出される生おからは豊富な栄養価を持つにも関わらず,大量に廃棄されている。そこで本研究は,生おからの効率的な有効利用と朝食欠食問題解決の手段として,生地重量に対して70%の生おからを用い,シリアルに類似した加工食品の開発を目指した。3種類(100℃,120℃および150℃)の設定温度において生地を焼成し,含水率,水分活性,破断応力,色彩,牛乳に浸漬させた際の重量増加率の測定と試料表面の観察を行った。また,作製した試料の品質の検証として,市販されているシリアルの品質を同様に測定し,比較した。その結果,一次加工を施していない生おからを重量に対して70%使用しても,生地を薄くのばし焼成することで,シリアルに類似した加工食品を作製することが可能であった。また,焼成条件は100℃で90~120分が,硬さ以外の品質項目において市販品に近い値を示すことが明らかとなった。
資料
  • 畦 五月
    2016 年 49 巻 6 号 p. 362-370
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/12/19
    ジャーナル フリー
     岡山県南部地方で食用とされているヒラ,サッパ,コノシロの食習慣に注目した。これら三種の魚は分類学上極めて類似し,白身が多く,しかも小骨が多いという特徴を示す。酢の物,すし,焼き物,煮物などの多彩な調理方法で三種は食べられるが,昭和初期から大正時代には,稲作行事や祭りの行事に合わせ使い分けがされている魚であった。その食習慣が形成されている背景を,江戸時代の岡山藩の文献より明らかにした。三種は岡山藩の産物として認定され,幕府に届け出をされた魚であった。後楽園での各種行事の饗応膳にも使用された魚であったが,藩主など身分階級の高い人の膳にはのらない魚であった。この江戸時代からの食習慣は,調理法を伝承しながら,現代も他の魚の食習慣とともに岡山県南部地域に継承され,岡山県独自の食習慣を形成している。
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