日本調理科学会誌
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42 巻, 3 号
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総説
報文
  • 佐藤 幸子, 数野 千恵子, 西島 基弘
    2009 年42 巻3 号 p. 153-158
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    タイムの生葉と自然乾燥葉の香気成分について検討した。また,生葉を冷蔵保存したときのパッケージ方法の違いがもたらす香気成分の相違について検討した。
    生葉の香気成分はGC-MS分析により14成分を同定できた。GC-O分析により生葉と自然乾燥葉の匂い強度の変化を比較すると,自然乾燥葉では,α-pineneとlinaloolおよびborneolが主な香気成分となり,ラベンダー様の甘い香りときのこ臭の特徴的な香りにより構成されていた。
    冷蔵保存は,タイム香気成分の減少をもたらした。生葉を密閉パック及び真空パックして冷蔵保存した場合,パッケージ方法による香気成分構成割合の相違はあまり認められなかった。GC-O分析により,冷蔵保存後の変化を比較すると,青葉香のα-pineneと甘い香りのlinaloolが主要な香りであった。
  • 坂本 真里子, 岡田 千穂, 井上 あゆみ, 吉田 達郎, 小笠原 靖, 赤野 裕文 , 畑江 敬子
    2009 年42 巻3 号 p. 159-166
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    実用調味食塩濃度における3種類のだし(コンソメだし,かつお節だし,鶏がらだし)への食酢の添加が塩味の強さに与える影響を,20歳代女子学生をパネルとする官能評価により検証した。食塩濃度が0.8%と0.7%,および0.9%と0.8%となるよう調製した3種類のだしの塩味の強さをパネルは有意に識別できた。しかし,食塩濃度の低い方に酸度0.005%,0.01%,0.02%となるように米酢または米黒酢を添加した場合には塩味の強さが有意に識別できなくなった。以上の結果から,3種類のだしにおいて食酢の添加により減塩効果が得られることが確認された。食酢の添加による減塩効果は,米酢と米黒酢の間に明確な違いは認められなかった。嗜好においては,コンソメだしと鶏がらだしでは米酢の添加で,かつお節だしで米黒酢の添加でそれぞれ嗜好が損なわれず減塩できたことから,メニューによって望ましい食酢の種類があることが示唆された。
  • 坂本 真里子, 岡田 千穂, 井上 あゆみ, 小笠原 靖, 赤野 裕文, 畑江 敬子
    2009 年42 巻3 号 p. 167-173
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    食酢希釈液と食塩溶液の閾値および食酢と食塩の共存が閾値に及ぼす影響を調べるため,20歳代の女子大生を被験者として官能評価を行い,次の結果を得た。3種の食酢の検知閾値酢酸濃度に有意差は認められなかった。3種の食酢の認知閾値酢酸濃度は,りんご酢と米黒酢,および,りんご酢と米酢の間に有意差が認められ,りんご酢が有意に高かった。米黒酢と米酢の間には有意差が無かった。りんご酢の認知閾値酢酸濃度は酢酸の認知閾値の文献値と同様の値だった。被験者それぞれに各人の検知閾値の1/2濃度の食塩を添加した場合,食酢の検知閾値は有意に低下した。認知閾値に有意な差は見られなかった。被験者それぞれに各人の検知閾値の1/2濃度の食酢を添加した場合,食塩の検知閾値および認知閾値は有意に低下し,少量の酸味物質の共存による塩味の増強作用が閾値のような低濃度でも生じることが分かった。
  • 吉村 美紀, 深江 亮平, 丸山 尚子, 原口 朋子, 西成 勝好
    2009 年42 巻3 号 p. 174-182
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    寒天ゲル(AG)の力学的・熱的特性におよぼす豚皮由来コラーゲンペプチド(CP)の濃度と加熱温度の影響について破断特性,動的粘弾性,示差走査熱量測定(DSC)より検討した。CP水溶液を10℃まで冷却してもG′G″の周波数依存性は液体の挙動を示した。AG-CPゲルの破断歪,破断応力,初期弾性率は添加濃度が20%以上に増えると減少した。AG(5 w/w%)は昇温DSC測定において,78.8℃に吸熱ピーク,降温 DSC測定において32.5℃に発熱ピークを示した。CP(30 w/w%)は,20.2℃付近に吸熱ピーク,10.0℃付近に発熱ピークを示した。AG 5 w/w%-CP 10~40 w/w%では,2つの吸熱ピークを示し,AG 5 w/w%-CP 50 w/w%では,ひとつの吸熱ピークを示した。CPがAGのゲル化を阻害することが推察された。
    加熱温度による影響では,60℃および90℃ではCPの分子量変化は認められなかったが,90℃加熱AG-CPゲルは,60℃ゲルより貯蔵弾性率,破断歪はやや高かった。
  • 喜多 記子, 千田 真規子, 永塚 規衣, 長尾 慶子
    2009 年42 巻3 号 p. 183-187
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    これまでにジャポニカ米の消費拡大を目的に米粉麺の調理適性を検討してきた。今回は物性改善や保存性向上を目的に玄米米粉に副材料としてタマリンドを添加した玄米米粉麺の品質をテクスチャー試験並びに官能評価から検討した。麺のテクスチャー測定より,タマリンド添加麺は麺の保水性が高く,対照の玄米麺に比べ,加熱後の硬さの経時的変化が少なかった。タマリンド添加麺の冷凍保存後の麺の圧縮応力は非冷凍麺と違いが見られなかった。玄米のみで調製した麺よりもタマリンド添加により抗酸化性が高くなった。官能評価より玄米麺とタマリンド添加麺の嗜好性に有意差はなく,タマリンド添加による麺の外観や保存性,機能性の向上が期待できた。
ノート
  • 綾部 園子, 本間 千裕, 長浜 ゆり, 高橋 伸幸
    2009 年42 巻3 号 p. 188-193
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    同じ条件で栽培したF1種のフルーツトマト(甘しずく)と普通のトマト(麗容),および比較のため特殊栽培によるフルーツトマト(アメーラ)の品質と嗜好性について検討した。その結果,甘しずくの糖度は,麗容と同じ栽培方法であったが,アメーラとほぼ同じであった。甘しずくとアメーラは麗容に比べてフルクトースとグルコースの含量が多かった。フルクトース/グルコースは甘しずくはアメーラよりも高く,甘味の質が異なることが示唆された。酸度は甘しずくのゼリー部において有意に高かったが,果肉においては有意の差はなかった。皮付きの破断応力は甘しずくが最も高く,皮を除いた果肉の圧縮応力はアメーラが最も高かった。官能評価の結果,麗容に対し甘しずくとアメーラは有意に好まれた。
  • 堀江 秀樹, 平本 理恵
    2009 年42 巻3 号 p. 194-197
    発行日: 2009年
    公開日: 2015/02/13
    ジャーナル フリー
    野菜の消費拡大のためには,おいしく味わう工夫が重要である。予備試験の結果,ニンジンを蒸し加熱することで甘味が増強する可能性が示された。そこで,蒸し時間を変えたニンジン片について,官能評価と理化学評価を行った。蒸し時間が増すにつれて,官能的には,軟らかさ,ジューシーさと甘味が増加した。蒸すことによる甘味は糖含量によって説明できなかった。それはニンジン片中の糖含量は蒸し加熱によって変化しないからである。30秒間一定の低圧で加圧したときに蒸したニンジン片から滲出するエキスの量を比較した。より長時間蒸したニンジン片から,より多量のエキスが集められた。エキス中の糖類の濃度は約10%であった。容易に滲出するエキスの量が感覚的な甘さやジューシーさに関係するものと考えられる。
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