日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
7 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 山口 晶, 吉田 望, 飛田 善雄
    2007 年 7 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    軟弱粘土地盤の地震時の地盤挙動を調べるためにオンライン試験を行った.対象は粘性土地盤上に岸壁等の構造物が存在する地盤である.実験の結果, 地表面の最大加速度の上限値は地盤の動的なせん断強度とせん断剛性によって推定できることが分かった.また, 粘性土地盤は地震動を繰返し受けた場合, 地表面の最大加速度は大きくなり, 地盤のせん断ひずみの大きさには大きな変化がないことが分かった.地震動終了後に発生する粘性土地盤の沈下によって間隙比が減少し, 見かけの圧密降伏応力が増加することが確認できた.
  • 森 悠介, 鈴木 隆志, 伊津野 和行, 土岐 憲三
    2007 年 7 巻 1 号 p. 14-26
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 柱脚の軸力変動が木造建築物全体の耐震性能に及ぼす影響を検討した.柱が浮き上がることをも考慮した柱脚鉛直バネと, 摩擦による柱脚水平バネとを連成させた解析モデルを作成し地震応答解析を行った.入力地震波は想定花折地震動である.柱脚の浮き上がり柱脚部の水平方向変位に対する抵抗がなくなることを考慮したシミュレーションを行った.その結果, 柱頭の最大応答変位に柱の軸力変動が与える影響は小さいが, 柱の軸力変動を考慮することにより柱脚の残留変位, 柱のせん断力及び横架材の軸力の増加が生じることがわかった.
  • 村田 幸一, 宮島 昌克
    2007 年 7 巻 1 号 p. 27-42
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    水道供給システムでは, 地震が発生した直後, システムに物理的なダメージが無くても急激な流量増加と水圧減少という異常挙動を発生することがある.この現象は一時的であるものの, 発生中は水道供給システムを機能低下させることがある.本論文では, この影響について観測結果を報告するとともに, これらの原因と考えられる受水槽のスロッシングについて, 観測データから因果関係を解明した.さらに, 大阪市で観測された地震波形を用い, 受水槽のスロッシングによる水面最大変位と地震動の振動数特性との関係を分析するとともに, 発生が予想される東南海・南海地震についても, 予測地震動を利用して水道供給システムへの影響を分析した.
  • 震源パラメータのバラツキについて
    山田 雅行, 先名 重樹, 藤原 広行
    2007 年 7 巻 1 号 p. 43-60
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    強震動予測の標準化の試みとして「強震動予測レシピ」が提案されている。こうしたレシピに基づいて強震動予測を行う場合に、震源パラメータの “バラツキ” によって生じる予測結果のバラツキを評価する手法について、森本・富樫断層帯を例に提案を行った。本研究では、強震動予測において重要となる震源パラメータ、伝播経路特性、サイト特性のうち、震源パラメータの偶発的バラツキによる影響について検討を行った。正規分布によって表現するパラメータはLHS を用いて合理的なサンプリングが可能であることを示した。特定サイトのバラツキ評価は強震動予測結果のPGA、PGV、応答スペクトルに対する分布形状 (正規分布) の特性値、面的な予測結果のバラツキ評価は地震動評価指標の対数標準偏差の空間分布図によって把握できることを示した。距離減衰式との比較によって、予測結果のバラツキと実際の地震記録が持つバラツキが調和的な結果となることが期待できるということを示した。
  • 折田 潤, 金久保 利之, 境 有紀
    2007 年 7 巻 1 号 p. 61-78
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    近年のIT技術の進歩により、地震動情報の即時配信が可能となってきている。本研究においては、このリアルタイム地震情報を利用した能動型防災システムについて検討する。本システムの特徴は、構造物個別ではなくある空間的広がりを持った地域全体に高密度な地震動観測網を構築し、情報の伝達速度と地震動の伝播速度の差を利用し、秒単位以下のオーダーで、実質的に地震動の時刻歴の予期を可能にする点にある。この防災システムを擬似的に筑波大学構内の地下にある共同溝に構築し、地震動観測を実施した。観測データを基に、可変剛性構造物にフィードフォワード避共振制御を適用し、その制御効果を確認すると共に、本防災システムの有効性を検証した。
  • 山本 優, 源栄 正人, 大野 晋
    2007 年 7 巻 1 号 p. 79-97
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    地震動を受けるときの構造物の多次元挙動は非常に複雑であり、入力地震動も多次元的な評価を行うことは重要である。地震動の水平2方向のオービット特性は、構造物への入力地震動の多次元性を表す重要な要素であると考えられるが、それがどのような原因で生じるのかについての検討は必ずしも十分とはいえない。これを踏まえ本研究では、地盤が水平2方向連成を有する場合にオービット特性に与える影響について、基本的な検討を行った。
feedback
Top