日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
11 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
論文
  • -地殻内地震を対象として-
    西川 隼人, 宮島 昌克
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_1-1_13
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    本論文では地殻内地震において自治体観測点で消失した地震波形の加速度応答スペクトルを推定するために、従来の研究で用いられている最大加速度比に加え、地震動スペクトルの卓越周期と構造物の固有周期との関係を考慮した応答スペクトル推定手法を提案した。加速度応答スペクトルを推定したところ、最大加速度比、卓越周期と構造物の固有周期との関係をパラメータとした推定式を用いた場合、最大加速度比のみの式に比べて、推定値と観測値の相関が高く、スペクトル形状もおおむね評価することができた。
  • 國生 剛治, 鈴木 拓
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_14-1_31
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    近年我国で発生した強地震の鉛直アレー実測記録を用いて、表層地盤中での地震波動のエネルギーの流れをSH波重複反射理論に基づき計算した。その結果、波動エネルギーは基盤から地表に向かうほど低減する一般的傾向が見られた。これはインピーダンスが大きく異なる層境界で下方に戻されるためで、多くの地点で深度100m程度での上昇波エネルギーのうち3割以下しか地表まで到達しない。さらに、地盤中で失われる内部損失エネルギーと上昇エネルギーの割合は地盤各層の減衰定数と良い相関があることが分かった。また、深度100m程度での水平動の入射エネルギーはマグニチュードと震源距離によるごく単純な計算式により概略評価できることが分かった。
  • 大町 達夫, 井上 修作, 水野 剣一, 山田 雅人
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_32-1_47
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    2008年岩手・宮城内陸地震の際,KiK-net一関西観測点では上下動の最大加速度が4G(Gは重力加速度)に近い驚異的な強震記録が得られた.この加速度時刻歴には自由地盤表面での強震記録とは思えない特徴が認められることから,強震観測点の現地調査や振動台模型実験,数値解析などによって,この驚異的な上下動加速度の成因を調べた.その結果,この強震記録には強大な地震動入力によって地震観測小屋がロッキング振動で浮き上がり,地面と再接触した際の衝撃力の影響が強く反映している可能性が高いことが見出された.またこの影響がなければ,本震時の4Gに近い上下動最大加速度は1.6G程度であることも導かれた.
報告
  • 境 有紀, 新井 健介, 赤松 勝之
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_48-1_71
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    2009 年駿河湾の地震における御前崎市付近を対象として,瓦屋根被害(以下,瓦被害)から地震動強さ分布の推定を行った.まず,瓦被害を航空写真により判別し,瓦被害率分布を作成した.瓦被害は航空写真から明確な判別が可能であった.次に,強震観測点周りの被害調査結果から,瓦被害と相関をもつ地震動強さ指標について検討し,瓦被害は,計測震度と高い相関をもつことがわかった.そこで,計測震度を説明変数とする瓦被害の被害関数を作成し,その逆関数を用いて計測震度分布を推定した.その結果,数百m 離れるだけで計測震度が1 程度異なるところもあり,地震動強さは,地形や微地形分類から推定された一次元表層地盤特性だけでは説明できないほど局所的に大きく変化していることがわかった.以上のことから,航空写真により瓦被害を判定して,数百m メッシュという精度で計測震度分布を推定できることがわかったが,充分な数の瓦屋根建物がなければならないこと,瓦被害のない建物については,瓦屋根建物とそうでない建物の判別が航空写真では難しいなど,いくつか課題も浮き彫りになった.
  • 北島 徹也, 伊津野 和行, 八木 康夫, 大窪 健之
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_72-1_80
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    大学の講義棟は、多人数が同時に滞在する施設であり、曜日や時間帯によって利用状況は変化する。本研究は、市販の避難シミュレーションソフトウェアによって講義棟から外へ避難する状況について検討し、災害時の安全性向上への基礎資料を提供とすることを目的とした。その結果、避難状況は効率ごとに3段階に分けられ、それぞれの時間を短くする対策が必要であることを示した。避難誘導だけでは効果が低い結果となったため、物理的な対策も重要であることが明らかとなった。
  • 横田 崇, 池内 幸司, 矢萩 智裕, 甲斐田 康弘, 鈴木 晴彦
    2011 年 11 巻 1 号 p. 1_81-1_101
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    中央防災会議「東南海、南海地震等に関する専門調査会」1は、各専門調査会において構築した深部地下構造モデルを用い、修正を加えて全国の深部地下構造モデルを構築し、その地下構造モデルより計算される全国の深部地盤の一次固有周期の分布図を「長周期地震動の揺れやすさマップ」として公表した。この深部地盤モデルをもとに、筆者らは、全国の地点における長周期地震動の増幅特性を調査し、深部地盤の一次固有周期が長いほど長周期地震動の増幅が大きくなることを見いだした。そして、長周期地震動の増幅率と深部地盤の一次固有周期との関係を整理し、深部地盤の影響を考慮した距離減衰式を考案した。
feedback
Top