2023年2月6日,トルコ共和国でマグニチュード7を超える地震が2回発生し,強い揺れが断層沿いの都市に深刻な被害をもたらした.トルコ政府の要請を受け,国際協力枠組みセンチネルアジアは同日にイベントを発動し,協力機関による衛星の緊急観測とデータ提供を行った.本研究では,JAXAが緊急観測したALOS-2画像と同条件で撮影されたアーカイブ画像を用いて,被災した都市域の検出を行った.地震前後のALOS-2強度画像から後方散乱係数の差分と相関係数を計算し,それらの組合せ指標zを用いて変化域を抽出した.また,HHとHV偏波の両方を用いて,異なる向きの被災建物の抽出精度の向上を試みた.抽出結果とカフラマンマラシュ大都市圏庁が公開した建物被害マップを比較し,精度を評価した.
大地震時における建物の高度な継続使用を図るため,免震建物のセミアクティブ制御に関する研究が行われている.しかしながら,セミアクティブ制御では,断層近傍のパルス性地震動の特徴を有する地震波に対しては応答低減が困難であった.そこで本研究では,これらパルス性地震動に対して,免震建物にアクティブ制御力を与えるアクティブ免震手法の有効性を検証することを目的とする.振動台実験を行い,上部構造応答を非制御のケースと比較した.また,実験結果を数値解析によってモデル化して実験結果を検証し,その結果,アクティブ免震手法を用いた場合には,地震波の特性や免震建物の周期によらず,全てのケースで絶対変位,絶対加速度を同程度に低減でき,パルス性地震動に対しても制御の有効性が確認された.
まず,非比例な複素減衰を有する多質点系モデルの固有値と固有ベクトルを求める方法を示す.これらの固有値と固有ベクトルは複素数で,質点の数の前進波とこれらと共役な後退波の組からなる.続いて,固有ベクトルの直交性から,各質点の地震時の伝達関数は,前進波の各次の複素モードの伝達関数の重ね合わせで表され,共役対称であることが導かれる.同様に,実固有ベクトルの直交性を利用して,各次の実モードの伝達関数の重ね合わせによる,近似的な伝達関数が導かれる.最後に,簡単なモデルを用いて数値計算を行い,上記の複素固有値解析法と,複素モードの重ね合わせに基づく伝達関数の妥当性を示すとともに,実モードの重ね合わせに基づく伝達関数の近似性を考察する.