日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
22 巻, 1 号
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論文
  • 大西 耕造, 隈元 崇, 森 今日子
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1_1-1_15
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    地震ハザード評価における「震源を予め特定しにくい地震」の発生頻度は,地震発生の特徴が類似すると考えられる地域内の地震活動から評価するため,地震地体構造区分やそれに基づく地震活動のモデル化の影響を受ける.この時,評価方法の不確かさが大きいことから,地震調査研究推進本部地震調査委員会が公表している全国地震動予測地図では,発生頻度の設定のために3つの方法を平均している.また,地震地体構造区分の境界設定には任意性が残る.そこで,本研究では,地震地体構造に関連する8つのパラメータに対し,主成分分析およびクラスター分析を組み合わせた統計学的な観点に基づく定量的な地震地体構造区分を試みた.分析結果は変動地形学・地震学,測地学,地質学・構造地質学という3つの観点の地殻構造特性から地震地体構造を区分したと解釈できる.本研究の区分方法は定量的な地震地体構造の違いを地震ハザード評価に反映する一方法として有用であると考えられる.

  • 翠川 三郎, 三浦 弘之, 山田 眞
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1_16-1_35
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    1923年関東地震の際に東京・本郷でユーイング円盤記録式強震計により得られた記象から,波形の欠落部分等の補修および地震計の計器特性補正を行い,地動を復元することを試みた.その際,地震計の特性についても検討した.記録円盤の回転時間などの地震計の特性に確定的でない部分があり,復元記録には不確定性が含まれているが,復元記録の速度応答スペクトル(h = 0.05)のピークは,SW-NE成分では周期10秒弱に,SE-NW成分では周期4~5秒および10秒強にみられる.周期2~10秒でのスペクトル振幅は,SW-NE成分で30~80 cm/s程度,SE-NW成分で60~100 cm/s程度の値を示し,Morioka(1980)や横田ら(1979)による既往の復元記録に比べて大きい.復元記録は同地点での他の地震記録のスペクトル特性や関東地震の体験談にみられる揺れの経時変化と整合的だった.

  • 久保 久彦, 㓛刀 卓
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1_36-1_49
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    本研究はリアルタイム震度の立ち上がり部分の時系列を簡易的に予測・再現するための手法を提案するものである.まず立ち上がり部分の特徴的な時間としてP波到達からリアルタイム震度最大値の95%に達するまでの時間に着目し,それを震源距離やモーメントマグニチュード,震源深さ,30 m平均S波速度,S波速度1400 m/s層の上端深さと紐づけた予測式を,計41地震の強震記録に基づく回帰分析によって作成した.さらに立ち上がり部分の時系列形状を再現するために,P波到達からリアルタイム震度最大値に達するまでの時系列を対数関数で表現した近似関数を考案した.これら2つを組み合わせることで,任意の地点でのリアルタイム震度の立ち上がり部分を簡易的に予測・再現することが可能となる.この提案手法を実記録で検証し,その有効性および限界を調べた.

報告
  • 黒岡 あゆ子, 秦 康範
    2022 年 22 巻 1 号 p. 1_50-1_66
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    液状化を原因とする負傷や死亡,もしくは津波から逃げ遅れが生じた事例が,過去の震災で実際に存在している.東北地方太平洋沖地震以降,学校防災において津波に関する対策は大きく進んだ.しかし,液状化に関連した対策はどの程度行われており,液状化に対応した記述がどの程度あるのかは明らかになっていない.そこで本研究では,文部科学省ならびに各都道府県教育委員会が制作している防災マニュアル・パンフレットの調査を行い,学校教育において液状化に対応したマニュアル・パンフレットがどの程度作成されているのかを明らかにすることを目的とする.調査の結果,以下の3点が明らかになった.①防災マニュアルは近年発生した災害の影響を大きく受けており,直近の震災で大きな被害のあった内容が充実している.そのため,防災教育の資料が充実している地域においても,液状化関する記載は少なく,液状化については重視されていない②東北地方太平洋沖地震で液状化による甚大な被害を受けた千葉県が作成した資料は47都道府県でもっとも液状化に関する記載が充実していた.③液状化について具体的な記載があったのは千葉県,東京都,愛知県の3都県のみで全国的に液状化について具体的な記載をしている地域は少ない.

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