日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
5 巻, 3 号
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  • 栗田 哲史, 安中 正, 高橋 聡, 嶋田 昌義, 末広 俊夫
    2005 年 5 巻 3 号 p. 1-11
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    山地形のような不整形地盤では、地震動の増幅特性が地形の影響を受けることが知られている。不整形地盤に入射した波と内部で反射した波の干渉により、伝達する地震波は複雑な様相を示す。この様な山地形の地震動特性を明らかにするために、横須賀市内の山地において、アレー観測を行ってきている。観測記録はデータベース化され、震動特性の分析に活用されている。本研究では、この山地形を対象として観測記録の分析及び3次元有限要素法による数値シミュレーションを実施した。観測記録を良く説明できる適切な解析モデルを作成し、山地形の増幅特性を評価することを目的としている。検討の結果、山地形を忠実にモデル化することによって観測記録を良く説明できるシミュレーションが可能となった。更に同モデルを用いて、山地形に地震波が入射した時に地震動がどの様な特性を示すのかを解析的に評価した。
  • 地震規模と震源距離がそれぞれ等しい強震記録ペアの分析
    池浦 友則, 野田 静男
    2005 年 5 巻 3 号 p. 12-30
    発行日: 2005年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    同一観測条件における地震動の再現性という観点から、マグニチュードと震源距離がそれぞれ等しい2地震を同一地点で観測した加速度記録ペアをもとに地震動応答スペクトルの自然対数についてばらつきの標準偏差を調べた。検討にあたっては、観測地震動におけるスペクトル振幅のばらつきを、観測方向成分によるばらつきと地震によるばらつきの2種類のばらつきの和であらわされるものと仮定し、これらを独立な確率要素とする'random effects model'(Brillinger and Preisler, 1984) を用いて周期毎にばらつきの標準偏差を求めた。東北地方南部太平洋側~関東南部の12地点における275組の加速度記録ペア (M=3.6~6.7、X=16~198km) を用いた解析によれば、観測方向成分によるばらつき、地震によるばらつき、全体のばらつきの標準偏差は短周期領域でそれぞれ0.23, 0.43, 0.49であった。しかしながら、震源地が異なるかあるいは深さが20km以上違う17のデータペアを除いて再評価したところ、観測方向成分によるばらつきの標準偏差は変わらず地震によるばらつきと全体のばらつきの標準偏差のみそれぞれ0.38, 0.44となった。震源地を限定することにより全体のばらつきの標準偏差が0.05程度減少したことになる。また、これらの結果を中村・八代 (2000) が評価した震央からの方位によるばらつきの標準偏差と比較して、地震によるばらつきの標準偏差を破壊伝播方向によるばらつきの標準偏差と方位によらない震源放射のばらつきの標準偏差に分解したところ、両者は短周期領域でそれぞれ0.20, 0.32と見積もられた。短周期地震動については震源における地震波励起特性の違いがばらつきの最大要因となっているものと考えられる。
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