日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
14 巻, 1 号
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論文
  • 前川 利雄, 保井 美敏, 久田 嘉章
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_1-1_13
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    東海地震を例題とし、震源モデルにより算定される長周期震動に及ぼす断層内の破壊開始点の不確定性の影響を検討した。断層面内に破壊開始点が一様に分布するものとしたサンプルサイズ30,000のモンテカルロシミュレーションを行い、破壊開始点の変動に伴う長周期震動の統計量を求めた。数値実験の結果から、速度応答スペクトルの長周期領域における最大値の統計分布は、極値Ⅲ型分布により良く表されること、さらにその統計分布には上限が存在し得ることを極値統計理論を用いて示した。
  • Ahmad ABO-EL-EZZ
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_14-1_24
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    Nonlinear static procedures (NSPs) are widely used for the seismic displacement prediction of existing buildings. These procedures have become increasingly important with the emergence of performance-based engineering as a technique for seismic evaluation and design where the expected performance is better correlated to displacement response. This paper presents an evaluation study of current NSPs for seismic performance assessment of masonry buildings. The evaluation is conducted through comparison of displacement predictions from current NSPs with the values recorded from shake table tests of a masonry building model. The investigated NSPs are: the improved Displacement Coefficient Method (DCM) defined in FEMA440 and implemented in the ASCE-41 and the improved Capacity Spectrum Method defined in FEMA-440. The predicted displacements are used for probabilistic damage assessment using fragility curves that describes the probability of being or exceeding a specific damage state given displacement response. The results showed that NSPs predicted high probability of extensive damage state which is in good agreement with the observed damage from testing. This paper also presents a discussion of the sources of variability in the predicted displacement and damage prediction using the investigated NSPs and emphasis the importance of the consideration of uncertainties in seismic performance assessment using fragility curves.
  • 程 春, 川口 健一
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_25-1_33
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    2011311日に発生した東北地方太平洋沖地震では長時間にわたる地震動下で多数の鉄骨造建物が大きな応答を示した。本研究では、この地震において鉄骨造建物が示した挙動の実態を知る目的で、幾つかの公開されている鉄骨造建物の地震動記録を調査し、さらに、テレビ映像から新宿副都心超高層ビルの応答を解析し、今回の地震動による既存の鉄骨造建物の地震挙動について考察した結果について報告する。
  • 佐伯 琢磨, 清野 純史
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_34-1_43
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    東日本大震災は,かつてない広い範囲で甚大な被害をもたらし,ガソリンなどの燃料をはじめとする災害からの復旧・復興に欠かせない物資の供給が停滞した.本研究では,システムダイナミクスの問題解決手法を適用し,これらの問題の原因やボトルネックを探り,今後発生が予想される南海トラフ巨大地震などの広域災害において,懸念される同種の問題発生を軽減することを目的とする.
  • 脇田 健裕, 脇田 英治
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_44-1_55
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    建築物の動的解析・耐震設計において構造物の減衰特性を評価・把握することは重要であるが、その指標として本論文では無次元化減衰係数Coに着目し、それを用いた建築物の減衰性能評価法について論じている。構造仕様等の実験条件を幅広く変動させて模型振動実験を行い、そのデータを用いて無次元化減衰係数Coが減衰性能の絶対評価指標としてどの程度のレベル・範囲まで機能するのか、また、建築物の構造解析や耐震設計におけるCoを用いた建築物の減衰性能評価法について検討を行った。結果として、Coの持つ普遍的な特性や適用性・適用法が明らかとなった。
  • 山口 亮, 翠川 三郎
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_56-1_70
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    近接する地点間で観測された地震動指標の比から地盤増幅率を求め、地盤の平均S波速度と最大速度から求められる疑似有効ひずみとの関係を検討し、地盤の非線形挙動に伴う地盤増幅率の変化を抽出した。その結果、疑似有効ひずみが3×10 -4 を超えると地盤増幅率が低下しはじめ、特に周期0.15から0.2秒の帯域が大きく低下することを確認した。さらに、疑似有効ひずみをパラメータとして、地盤の非線形性による加速度応答スペクトル、最大加速度および最大速度の地盤増幅率の低下をモデル化した。この結果が既往の非線形性のモデルと整合的であることを示した。
  • 他谷 周一, 翠川 三郎
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_71-1_84
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
     鉄道構造物の地震被害事例をもとに、震度と被害率の関係を示す被害関数を構造種別ごとに作成する方法を検討した。鉄道構造物を「素地・低盛土」「盛土」「切土」「橋りょう」「トンネル」の5種類に分類し、それぞれの総延長及び位置座標を得る方法と、鉄道構造物被害データをもとに被害形態・被害程度を分類・整理する手順等を検討した。2004年新 潟県中越地震及び2007年新潟県中越沖地震を検討対象として、実際に各構造種別の震度別被害率を算出した。その結果、構造種別ごとに被害が発生する下限の震度や各震度での被害率が異なり、鉄道構造物の中では盛土が最も被害が発生しやすい構造種別であることを定量的に示した。
  • 國生 剛治
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_85-1_96
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    砂地盤の液状化現象では、支持力の減少と同時に地震波エネルギーが伝達しにくくなることによる「免震効果」あるいは「ベースアイソレーション効果」が表れることが経験的に知られている。免震効果によって構造物へ入射する波動エネルギーが減少すれば、上部構造物の地震慣性力による被害は軽減することにつながるが、そのメカニズムを理論的に検討する試みは稀であった。ここでは均質砂層を対象とした単純なモデルにより、液状化にともなうS波速度Vsの低下と内部減衰定数Dの変化が地震波動エネルギーの地表への伝達率に与える影響を検討した。その結果、免震メカニズムは主に液状化層中のVsの大幅な低下により、非液状化・液状化層境界でエネルギー伝達率が低減する効果と、液状化層中で地震波の波長が短くなり内部減衰による距離減衰が増大する効果に分けられ、液状化層が厚い場合ほど距離減衰が増大する効果の方が大きくなることを示した。
  • 大矢 陽介, 野津 厚, 吉田 望, 小濱 英司, 菅野 高弘
    2014 年 14 巻 1 号 p. 1_97-1_116
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/06
    ジャーナル フリー
    従来曖昧であった地震応答解析の精度評価法としてレーダーチャートを用いて、いくつかの地震動指標で評価することを提案した。実証として、1993年釧路沖地震、1995年兵庫県南部地震の際に得られた鉛直アレー観測記録を、有効応力解析、全応力解析、等価線形化法の3つの手法で解析した。その結果を7つの地震動指標(最大加速度、最大速度、SI値、震度用加速度、PSI値、伝達関数の卓越振動数、最大せん断ひずみ)を用いレーダーチャートで表現した。この結果、有効応力解析が全応力解析と等価線形化法より多くの指標で精度が高いことが可視的に示された。ただし、指標により精度が異なり、指標によっては他の方法の精度も高いことが分かった。つぎに、同じサイトで地震動を変化させ、解析手法の適用限界を検討した。この結果、地震動指標により精度の評価が異なることが分かり、等価線形化法や全応力解析が適用可能なひずみレベルの範囲については、解析目的に応じた議論が必要なことを示した。
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