日本地震工学会論文集
Online ISSN : 1884-6246
ISSN-L : 1884-6246
4 巻 , 4 号
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  • 國生 剛治, 本山 隆一, 万谷 昌吾, 本山 寛
    2004 年 4 巻 4 号 p. 1-20
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    工学的に重視されるSH波の鉛直伝播を前提とし、1995年兵庫県南部地震の鉛直アレーの実測記録を用いて表層地盤中での地震波動のエネルギーの流れを計算した。さらにその結果を理論的に解釈するために、重複反射計算によってモデル地盤でのエネルギーの流れと損失量を分析した。その結果、地表でのエネルギーは表層地盤の共振効果の発揮程度、表層地盤と基盤のインピーダンス比、表層地盤の減衰定数や層構成などに依存することが分かった。また、波動エネルギーは基盤から地表に向かうほど低減する一般的傾向が見られること、軟弱地盤で共振によるエネルギー集中効果が起きる場合でも、大地震時には表層での減衰による損失エネルギーが大きくなり、軟弱地盤に被害が集中しやすいとの従来の一般的認識とは整合しない可能性があることも分かった。しかし、波動エネルギーは構造物に発生するひずみに直接結びついているため、エネルギーを共通尺度として設計地震動を定義することにより合理的な性能設計が可能となることを示した。
  • 諸井 孝文, 武村 雅之
    2004 年 4 巻 4 号 p. 21-45
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    関東地震の死者・行方不明者数は資料によって異なり, 総数14 万余名と言われることもあるがその根拠はよくわかっていない。また一般に, 人的被害の大半は東京市や横浜市などの大規模火災によるものとの認識がある。関東地震による住家被害については被害資料の再評価に基づく統一的なデータベースが作成されており, それによれば住家の全潰は歴代の地震災害の中でも最高位の数にのぼる。従って住家倒潰も火災と同様に関東地震における人的被害の大きな要因であったと考えた方が合理的であろう。本稿では住家被害数の再評価と同様に被害資料の相互比較によって死者数を整理した。用いた資料は震災予防調査会報告にある松澤のデータや内務省社会局が刊行した大正震災志に載せられたデータなどである。これらのデータを相互に比較し, 市区町村単位の死者数を評価した。次に住家の全潰率や焼失率と死者発生率の関係を検討し, 死者数を住家全潰, 火災, 流失・埋没などの被害要因別に分離した。その結果, 関東地震による死者・行方不明者は総数105385 名と評価された。そのうち火災による死者は91781 名と巨大であるが, 住家全潰も11086 名の死者を発生させている。また流失・埋没および工場等の被害に伴う死者もそれぞれ1 千名を超える。このように, 関東地震はあらゆる要因による人的被害が, 過去に起きた最大級の地震と同等もしくはそれ以上の規模で発生した地震であることがわかった。
  • 地質学的調査による地震の分類と強震観測記録に基づく上限レベルの検討
    加藤 研一, 宮腰 勝義, 武村 雅之, 井上 大榮, 上田 圭一, 壇 一男
    2004 年 4 巻 4 号 p. 46-86
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    内陸地殻内で発生する地震を対象として、既存の活断層図等の文献による調査、空中写真判読によるリニアメント調査、現地における地表踏査等の詳細な地質学的調査によっても、震源位置と地震規模を前もって特定できない地震を「震源を事前に特定できない地震」と定義し、その地震動レベルを震源近傍の硬質地盤上の強震記録を用いて設定した。検討対象は、日本およびカリフォルニアで発生した計41 の内陸地殻内地震である。地質学的調査による地震の分類を行い、9 地震12 地点の計15 記録 (30 水平成分) の強震記録を、震源を事前に特定できない地震の上限レベルの検討に用いた。Vs=700m/s 相当の岩盤上における水平方向の地震動の上限レベルとして、最大加速度値450 cm/s/s、加速度応答値1200cm/s/s、速度応答値100 cm/s が得られた。
  • 京葉臨海地域におけるS波速度構造と表面波の波動特性
    福元 俊一, 山中 浩明, 翠川 三郎, 入江 紀嘉
    2004 年 4 巻 4 号 p. 87-106
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    やや長周期地震動の波動特性を精度良く理解するために不可欠なS 波速度構造を求めることを目的として, 京葉臨海地帯の地震観測サイトにおいて微動のアレー観測を実施した. 微動の上下動成分のアレー観測によって周期約4.5秒までの位相速度を求め, 遺伝的アルゴリズムによる逆解析によって, 深い地盤のS波速度構造を求めた. このサイトで得られた地震記録のうちで表面波の卓越する記録を用いて, 非定常スペクトル解析やセンブランス解析を行い, 波動の伝播速度を算出した. この値が, 微動アレー観測より推定したS波速度構造から計算される理論値で説明できることを確認した. さらに異なる伝播経路からやってくる複数の表面波の存在を指摘した.
  • 山添 正稔, 加藤 研一, 山田 有孝, 武村 雅之
    2004 年 4 巻 4 号 p. 107-125
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    KiK-net伯太および日野地点で得られた、鳥取県西部地震の本震前の地震観測記録に基づいて両地点の線形時における地盤構造を推定した。推定された地盤構造を初期地盤モデルとし、本震時の地表観測記録を用いて、特性曲線法により表層地盤の非線形性を考慮した本震時の地中観測記録のシミュレーション解析を行った。得られた解析波形から、鳥取県西部地震時の基盤地震動を評価した。水平方向の最大加速度は伯太で約300cm/s2、日野で330~490 cm/s2、最大速度は伯太で23~29cm/s、日野で29~57cm/sとなった。擬似速度応答スペクトルの最大振幅は、伯太で40~50cm/s、日野で90~120cm/sとなった。これらの結果は、既往の距離減衰式により評価される地震動レベルと概ね整合するレベルであることが確認された。
  • 川瀬 博, 松尾 秀典
    2004 年 4 巻 4 号 p. 126-145
    発行日: 2004年
    公開日: 2010/08/12
    ジャーナル フリー
    強震動予測には地震動特性、特にそれに大きな影響を与えるサイト特性の適切な評価が不可欠である。短周期域に着目した経験的予測の場合にはサイト特性を特長づける地盤の平均速度と増幅特性との関係が重要となる。また理論的予測では地下構造そのものの評価が必要である。そこで本論文ではK-NET、KiK-net、JMA 震度計観測網の強震観測データに基づき、まずスペクトル分離手法によってサイト特性を分離抽出し、さらにそのサイト増幅率に適合するような地下構造を同定した。次に最大加速度、最大速度、および計測震度を求めるための換算加速度A0 に最も影響を与えると思われる振動数帯域を見出し、得られた地盤構造から求められる平均S 波速度との対応関係を求めた。その結果最大速度やA0 のサイト係数は、物理的な期待とは異なり、地表から10m までの平均S 波速度と最も相関がよいことがわかった。
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