人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
15 巻, 1 号
選択された号の論文の131件中101~131を表示しています
  • 児玉 亮, 坂井 士, 津田 圭四郎, 井島 宏, 前田 肇
    1986 年 15 巻 1 号 p. 343-346
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    コラーゲンとムコ多糖で表面修節した不織布人工血管(2~2.5mmφ)を作製し, その血液適合性をin vivoとin vitroで調べた。多層被覆により表面に安定なハイドロゲル層が形成された。コラーゲンはジアルデヒト澱粉で架橋した。1週間以内の短期間では表面に薄いそしてなめらかな凝内膜層が見られた。人工血管の表面構造は開存を決定する上で有孔性よりも重要であると思われる。しかしながら, 特に吻口部附近にみられるパヌス形成は2ケ月以上の長期間の使用の場合,小口径人工血管にとって問題となる。人工血管内への生体組織成長の制御ができれば, 薄い, 安定した内皮組織の形成が可能となる。
  • 佐久間 まこと, 安田 慶秀, 田辺 達三, 山本 克之
    1986 年 15 巻 1 号 p. 347-350
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高精度の超音波微小変位計測装置を用いて各種代用血管の弾性特性をin vitroおよびin vivoにおいて測定した。弾性特性のパラメーターとしてコンプライアンス(Cp)を用い, 変位計測装置から求めた圧差ΔPにおける管径D, 管径変化ΔDよりCp=2ΔD/D/ΔPにて算出した。Cpは圧依存性であり内圧の上昇にともない低下したが, 平均圧100mmHgにおけるCpはDardik Biograft 11.8×10-7cm2/dyne, 自家静脈5.4, double velour knitted Dacron 4.0, EPTFE2.8とEPTFEは弾性に乏しく, Biograftは極めて柔軟な代用血管であり, ヒト大腿動脈に匹適するCpを有した。自家静脈は低圧領域では柔軟であるが, 高圧領域では比較的弾性に乏しく, Knitted Dacronに近い特性を示した。いずれの代用血管も移植によりCpは低下したが, EPTFEは移植による変化が少く, Knitted Dacronは移植による低化が著明であった。これは移植後の器質化の進展による影響と考えられた。
  • 松本 博志, 宮脇 富士夫, 吉良 一明, 近藤 健介, 高松 俊昭
    1986 年 15 巻 1 号 p. 351-354
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    冠状動脈バイパス, 大動脈―肺動脈シャント, blood accessなどに使用することを目的にセグメント化ポリウレタンを素材に直径3mmの小口径人口血管を作成した. 今回は素材の複合化を試み, stress-strain曲線を生体血管と同一傾向のものも作成し評価に加えた. 雑種成犬の大腿動脈を使用しての開存性評価では単一素材のもので移植後1年で80%開存するものもあったが, 管壁の一部に動脈瘤様拡張をきたしたものもみとめられた. また素材の複合化を試みた人工血管では3ケ月以上での開存率は0%で, stress-strain曲線が生体血管では動脈硬化病変の動脈に近似していることが開存率を低下させているものと考えられ, と同時に, これまでの研究成果からみて長期開存のえられる素材が同一のNo-12, N-20であることからも化学構造の抗血栓性が極めて大きく作用しているものと考えられた.
  • 三井 利夫
    1986 年 15 巻 1 号 p. 355
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―吸収性単糸polydioxanonについて―
    佐藤 綾子, 久保 良彦, 笹嶋 唯博, 稲葉 雅史, 小窪 正樹, 吉田 博希, 和泉 裕一, 森本 典雄, 境 普子, 鮫島 夏樹
    1986 年 15 巻 1 号 p. 356-359
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新しい縫合材料、単糸合成吸収性縫合糸polydioxanon (PDS)を用いて小口径血智吻合を行い、縫合糸の役割や吻合部位に及ぼす影響についてぐわしく検討した。雑犬30頭の腹部大動脈に自家外頸静脈グラフトを一端をPDS糸、他端は対照としてpolypropylene (PP)糸を用いて置換移植した。PDS糸はflexibilityがあり単糸構造の為組織通過時の組織損傷も少なぐ、この為初期炎症反応も最少であった。糸が吸収されると糸のしめつけによる組織の圧迫虚血が消失するのでこの部分の硝子様変性が起こらず、吻合部は非常に平滑で良好な形状となった。PDS糸の抗張力はpolyglycolic acid糸と比べて緩徐に低下し、2ヵ月後でも10数%残存するので組織治癒の遅延がある様な場合でも安全に使用できると思われた。臨床では大腿動脈以下の血行再建6例9吻合に吸収性縫合糸を使用したが、いずれも良好に経過している。PDSは小口径血行再建で自家血管を使用する場合に限り現在では最良の縫合材料であると考えられた。
  • 宮脇 富士夫, 松本 博志, 井手 博文, 古田 直樹, 浅野 献一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 360-363
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    冠動脈バイパス手術など小口径動脈の縫合に有用と考えられる弾性糸を開発し, その力学的特性と経時的な光顕所見を検討した。応力・ひずみ曲線では, 他の非弾性糸と全く異表なるパターンを示し, このパターンは生体の動脈壁と同一のものであった。緩和試験では, ポリプロピレン糸と比較してはるかに緩和が少なく, 40gの繰り返し負荷試験でも殆んど伸びの変形を呈さなかったことから, 張力負荷に対する経時的耐久性に優れ, 吻合部の血圧変化にも充分追従でき, しかも変形の無いことが予想された。光顕所見では, 異物反応は2週間後および2ケ月後もともに殆んど認あられなかった。糸の周囲の線維化は, 2週間後では殆んど認められず, 2ケ月後でわずかに認められたが, ポリプロピレン糸よりも少なかった。以上の結果からも小口径動脈の縫合糸としてこの弾性糸は最適と考えられた。
  • ―smooth surfaceとrough surface人工血管の比較―
    小窪 正樹, 久保 良彦, 笹嶋 唯博, 稲葉 雅史, 石川 雅彦, 鮫島 夏樹
    1986 年 15 巻 1 号 p. 364-366
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径代用血管の端側吻合部における内膜肥厚発生機序について, 血行動態の面から材料別に検討した. 雑犬30頭に腹部大動脈(端々)―腸骨動脈(端側)Bypassを行なやBiograft®22, EPTFE 3, Dacron 5例を移植した. 末梢端側吻合角度を30°, 90°, 150°とする事により吻合部Toe及びHeel方向への血流配分が異なる条件を得, 各々I群, II群, III群とした. 吻合部内膜肥厚は中枢側流量配分の過大なI群の4例及びII群1例にみられたがIII群にはみられなかった. 又, 血管造影では移植後20ヶ月で初めてToeに狭窄を認めた例があり, Boundary Layer Separationが吻合部内膜肥厚と密接に関係している事が明, らかになった. さらに長期観察が必須と思われた. 走査電顕では内膜肥厚を発生したToeの内皮細胞は配列が疎で細胞間に間隙がみられた. Rough Surface Materialは抗血栓性が不良なため早期血栓閉塞率が高く, 小口径代用血管として低血流量域には不適と考えられた.
  • ―graft連結部の長期変化
    境 普子, 久保 良彦, 笹嶋 唯博, 小窪 正樹, 稲葉 雅史, 森本 典雄, 佐藤 綾子, 中山 一雄, 吉田 博希, 石川 雅彦, 西 ...
    1986 年 15 巻 1 号 p. 367-370
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小口径代用血管に用いられるcomposite graftの晩期閉塞原因の1つに連結部の内膜肥厚がある。この成因の追求と成績改善のため移植実験を行った。内径6mm, 長さ3cmの保存ヒト臍帯静脈を2本連結したcomposite graftを作製し、雑犬の腎動脈下腹部大動脈に移植し、連結部を2cmのシリコンチューブで被覆し非被覆群と比較した。6ヵ月~12ヵ月後に摘出し連結部の長期変化を観察した。6ヵ月後では、外膜側から縫合糸周囲やgraft間隙を介し細胞が浸潤し、連結部に付着したフィブリンを器質化するのが認められた。12ヵ月後では内膜肥厚は明確となり、EVG染色により起源は線維芽細胞と考えられた。連結部を被覆すると12ヵ月後まで内面は薄いフィブリン層で被われて平滑に保たれ、内膜肥厚は認められなかった。連結部では付着したフィブリンが外膜よりの線維芽細胞により次々に器質化し内膜肥厚となる可能性があるため、連結部被覆はこれを防ぐ意味で有意義である。
  • 二宮 淳一, 庄司 佑, 山手 昇, 松島 伸治, 児玉 行弘, 鈴木 辰生
    1986 年 15 巻 1 号 p. 371-374
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    vein graftとして2サイズのPTIFEを成犬20頭の無名静脈-右房(右心耳)間に吻合し術後最長1年間生存した13頭につき, 移植graftの開存率, 狭窄度及び病理学的検討を行った。その結果, 開存率は62%で, 高度吻合部狭窄を2例に認めた。両サイズに差は認められなかった。感染所見が46%に認められたがbacteriaの外膜側からgraft内への進入は両サイズのgraftとも過半数で阻止されていた。吻合部の過形成は過半数に軽度~中等度に認められ, かつ中央側で血栓形成初期像と考えられる所見が認められた。またgraft内への間葉系細胞の進入は1例を除き程度の差はあれ認められた。内皮細胞の形成は46%に認められた。なお1例でgraft内面に軟骨細胞を認めたが, その発生機序は今後の精査を必要とした。以上より本graftは症例を選べば静脈graftとして, 使用できるものと考えられる。
  • 井島 宏, 児玉 亮, 井街 宏, 筒井 達夫, 三井 利夫, 堀 原一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 375-378
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    静脈血行再建術に人工血管を用いた場合には, 大口径静脈におけるEPTFEの分節的使用以外は成功率が低い。しかし, これに一時的末梢側動静脈瘻を併設し, 約6ケ月以上後に動静脈瘻を閉鎖する著者らの術式は, 開存率を向上させた。動物実験においても, 動静脈瘻併設群の静脈置換術後の人工血管は, 材質を問わず96.2%と極めて高い開存率を得ることができた。
    また, 開存人工血管の内腔を観察してみると, 仮性内膜が平滑で, かつ内皮細胞様細胞のきれいな配列を最もよく形成する人工血管は, 市販のhigh-porosity knitted Dacron graftであった。
    以上より, 仮性内膜形成状態の最良である人工血管を選択することが晩期閉塞率を減少させ得るとする動脈での経験からは, 静脈でもそのようにすべきで, 静脈用人工血管としてもhigh-porousな親血栓性材料を用いる方がよいのではないかと考えられた。
  • 庄司 佑
    1986 年 15 巻 1 号 p. 379
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 術前計測と臨床応用
    遠藤 真弘, 土田 弘毅, 西田 博, 清野 隆吉, 福地 晋治, 橋本 明政, 小柳 仁
    1986 年 15 巻 1 号 p. 380-383
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来, AAE, ARに対する手術法としてBentall法あるいはCabrol法がある。手術をより簡便化する方法としてShiley社より主軸人工血管とBjörk弁を一本化せるComposite graftの工夫がある。我々はさらに簡便化を目的に(1)主軸血管に人工弁を一体化する。(2)主軸血管の遠位側にRinged graftを一体化する。(3)冠動脈用側枝を主軸血管に一体化する。
    術前に造影, CT, エコーを参考に人工弁のサイズ, 主軸血管のサイズ, 遠位部のRinged graftのサイズ, 全体の長さを計測した。
    10例に臨床応用し, 1例を不整脈で失った以外は順調に経過し, 大動脈遮断時間は150分以下が9例, 120分以下が4例と比較的短時間にすみ, 術中出血は1000ml以下が8例, 800ml以下が5例と少なかった。術後造影を施行し得た例に吻合部Leakもなく良好な結果を得た。
  • 小出 司郎策, 金渕 一雄, 稲村 俊一, 福田 崇典, 鈴木 一郎, 小川 純一, 井上 宏司, 川田 志明, 正津 晃
    1986 年 15 巻 1 号 p. 384-388
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Gore Texグラフトは比較的細い動脈再建で評価が高く, 現在多くの施設で使用されているが, 本グラフトを大動脈置換に用いた報告は少ない。われわれは, 過去3年1カ月の間に, 本グラフトによる腹部大動脈置換を9例に行い, 同一術者が同一手技, 同一適応で行った, 56例の非破裂性腹部大動脈瘤のwoven dacronグラフト置換群との間で, 手術侵襲や再建した下腸間膜動脈(IMA)の開存率について, 比較・検討した。その結果, Gore Tex群ではdacron群に比べ, その平均吻合数が多いのにも拘らず, 手術侵襲には有意の差を認めなかった。
    また, 再建IMAでは, Gore Tex群が7例中7例で開存しており, dacron群の12例中3例開存に比べ, 有意に良好な開存率を示した。
    観察期間が末だ3年1カ月と短期間で, さらに長期の慎重な観察が必要ではあるが, 分枝再建を要する腹部または胸部大動脈瘤や慢性大動脈閉塞では, 本グラフトによる大動脈置換は有用な方法と考える。
  • 井原 勝彦, 佐藤 重夫, 高野 弘志, 奥田 彰洋, 黒由 修, 宮川 周士
    1986 年 15 巻 1 号 p. 389-391
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    閉塞性動脈硬化症に対する血行再建術としての大腿動脈膝窩動脈バイパス手術(以下F-Pバイパス)に用いる代用血管としては一般に自己大伏在静脈が最も多く用いられている。我々はF-Pバイパスの代用血管として昭和56年よりGoretex Graftを用いており、今日まで8症例に手術を施行した。手術前の下肢血行障害の重症度はFontaine分類の2度4例、4度4例であり、F-Pバイパスに加えて鎖骨下動脈大腿動脈バイパス手術の追加を必要としたものは3例であった。病院死は1例であり術中心筋梗塞を発症し術後3ケ月で失った。
    術後12ケ月から46ケ月の平均24ケ月間の追跡期間中、血行が改善しているにもかかわらず間欠性跛行を残した1例の他はいずれも、間欠性跛行、潰瘍、自発痛等の症状を残しているものはなく、全例にGraftの開存が確認された。今回のGoretex Graftを用いたF-Pバイパスの良好な遠隔成績はGoretex Graftが代用血管として自己大伏在静脈に代わりうるものとして大きな意義をもつものと思われる。
  • 橋本 宇史, 白方 秀二, 北浦 一弘, 門脇 政治, 神吉 豊, 佐藤 伸一, 和田 行雄, 佐々木 義孝, 大賀 興一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 392-396
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1979年1月1日以降, 教室で施行したGore-Tex graft移植症例82例の手術成績に検討を加え報告する。対象とした疾患はASO68例, TAO3例, 腹部大動脈瘤6例, 胸部大動脈瘤2例, 異型大動脈縮窄症1例, Aortitis 1例, 感染性大腿動脈瘤1例であった。
    Graftそのものに起因した死亡は1例で胸部大動脈瘤に用いたGore-Tex patchの縫合部針穴出血で失った。手術直接死は8例, 遠隔期死亡は3例であった。Anatomical bypass術の行われたものが61例, extraanato-mical bypass術は19例であった。Graftの早期閉塞はASO2例, TAO2例で晩期閉塞はASOに3例, TAOに1例認めた。血栓性閉塞をきたしたASOの5例中4例は血栓摘除のみにより遠隔期開存を得ているExtraanato-mical bypassにおいても5年以上の長期開存例を経験したことから, 今後はさらにGore-Tex graft移植症例の適応を拡大してもよいのではないかと考えている。
  • 原口 周一, 中山 陽城, 山名 一有, 浦口 憲一郎, 木下 寿彦, 名嘉 真透, 今村 明, 大庭 聡, 古賀 道弘
    1986 年 15 巻 1 号 p. 397-400
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去15年間に腹部大動脈瘤94例, 腹部大動脈閉塞症27例に人工血管移植を施行した。又腹部大動脈閉塞症22例, Iliac occlusion, Ilio~femoral occlusion症例33例にExtra anatomical bypass術を施行した。他の下肢末梢動脈閉塞性疾患22例には人工血管によるAnatomical bypassを施行した。合併症を生じた人工血管の種類及び手術法をみると, 閉塞例ではExtra anatomical bypassによるものが90%であった。種類ではWoven dacronとKnitted(velour)dacronがそれぞれ7例と8例であった。感染4例, 吻合部動脈瘤4例, 仮性動脈瘤1例, 人工血管周囲水腫1例であった。合併症を来たした人工血管の病理はWoven dacronによる閉塞例の仮性内膜は硝子化したFibrinをみる。Capillary新生及び巨細胞も非常に少ない。Knitted double velour dacronによる脚閉塞例ではCapillary新生は著明であった。術后11年の中尾テトロン管ではCapillary新生は少なくせんい間にアテローム形成をみた。Gore-texの閉塞例は仮性内膜は非常に薄く, Graft内に細胞成分は全く認めなかった。
  • 今関 隆雄, 東海林 豊, 大貫 雅裕, 十九浦 敏男
    1986 年 15 巻 1 号 p. 401-404
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    3年8カ月の間に行われた血行再建術55例, 80本の人工血管について検討した。Y-graft 24本F-F17本, F-P28本, F-T2本, others 9本であった. 材質別にはGoretex 34本, Cooley 41本, ヒト臍帯静脈(HUCV)5本であった. Y-graftでは, Cooley(16mm, 18mm)が24本中1本の閉塞も認められず, F-FでもCooley 8mmが12本中閉塞なしと, 良好であった。F-Pでは6mmのリング付きGoretexが24本中1本閉塞(4%)と良好であった. F-Tに用いたHUCVには, その肉厚なために, 自家静脈とのinterposeの際の端々吻合に問題があり, 2本中1本が閉塞した。慢性腎不全症例へのHUCVによる腎動脈再建は良好な経過をとり, 腎不全から脱却した.
  • 正津 晃
    1986 年 15 巻 1 号 p. 405
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 安達 盛次, 福田 幸人, 野田 裕幸, 中谷 武嗣, 田中 隆, 岩田 博夫, 梅津 光生, 松田 武久, 高野 久輝, 阿久津 哲造
    1986 年 15 巻 1 号 p. 406-409
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PFC-Eを人工心肺充填剤として体外循環に使用後, これを血中より除去する方法につき検討した。体外循環によるPFC投与量が20.4±3.3kgB. W. であった体重10.0±1.6kgのBeagle犬5頭において, IBM-2997のみにてPFC除去を行なった結果, 術後血中PFC濃度は42±1.1g/dl, 対照群と比較するとその22%に低減されていた。術後実験犬はすべて長期生存している。次にIBM-2997と併用して膜型血漿分離器(Filter)応用の可能性をIn Vitroにて検討した。遠心分離法によるPFC除去率は処理血液中のPFG濃度が20g/dl以上の時に高くなる事はすでに報告したが, 今回FilterによるPFC-Eの濾過実験の結果では, PFCはFilter内に捕捉され目詰まりを起こすようでPFG-Eの濃度の上昇は極めて少なく, PFC濃縮用にFilterを用い得る可能性は少ないと思われた。しかし, 遠心分離法により分離回収された血漿中のPFCをさらに除去する目的でならばFilterは応用可能と思われた。
  • 野元 成郎, 井上 恒一, 渡辺 俊明, 横川 秀男, 堀内 誠, 高場 利博, 石井 淳一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 410-413
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年, 心臓手術において心停止中の好気性代謝を維持する目的でblood cardioplegiaを使用する施設が多くなってきた。しかしながら低温灌流では, 血液が毛細血管内にSludgingを起し, 灌流障害を惹起する可能性のあることは否定し得ない。われわれはisolated working rat heartを用いて、FDA-20%を心筋保護液として使用し良好な心筋保護効果を認めた。
    実験は4℃, 30分の虚血条件で施行し, 実験群はSt. Thomas液群, F1群, F1-K群, F1-St. T群の4群とし、各群の酸素分圧, K, Mg, プロカイン濃度はTable 2に示した通りである。本実験上心筋保護効果の判定基準とした大動脈流量回復率はF1-St. T群で最良であり, ついでSt. T群, F1-K群, ついでF1群であった。心停止を得るまでの時間はSt. T群が最も短く, F1-St. T群, F1-K群, F1群の順であった。
    FDA-20%は心筋保護液として利用することが可能であるが, 使用に際しては迅速な心停止を得ることが必要である。
  • 佐原 達也, 永田 昌久, 小林 正治, 塩井 健介, 土岡 弘通
    1986 年 15 巻 1 号 p. 414-417
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    高い酸素運搬能を有する代用血液, Fluosol-DA(FDA)を心筋保護液として用い, 動物実験にて心機能に関し, blood cardioplegiaと比較検討した。雑種成犬15頭を用い, 体外循環(ECC)下に大動脈基部よりFDLA+GIK(F群, 8頭), Blood+GIK(B群, 7頭)各50mlを20分間隔で間歇投与し, 120分の心停止を行なった。ECC離脱後, 心機能の指標として, 左房圧(LAP), 左室圧(LVP), 大動脈圧(AoP), Swan-Ganz catheterを用い, 心拍出量(CO)を測り, 心係数(CI), 拍出係数(SVI), 左室仕事係数(LVSWI)を算出した。その後, 送血路より容量負荷を行ない, 左室機能曲線を求めた。ECC直後の各パラメータは, 両群間に有意差を認めなかったが, F群に高い傾向を示し, 左室機能曲線上F群はB群より有意に良好な心機能を示した。FDAは, 心筋保護液として有用と思われた。
  • 薄場 彰, 本多 正久, 遠藤 幸男, 三浦 純一, 菅原 健太郎, 井上 仁, 元木 良一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 418-421
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    教室ではPTCA(percutaneus transluminal coronary angioplasty)バルーン膨張時, 血流遮断による心筋障害防止のため, カテーテル先端より酸素化したFDAで心筋を灌流保存する方法を考案した。その基礎実験として, 雑種成犬を用い左冠動脈回施枝より酸素化されたFDAを30ml/minで注入し, 30分間灌流し, 血行動態, 組織像, 血中酵素等につき検索し以下の結果を得た。1)灌流による心機能低下はなかった。2)血行動態的にはoverhydrationのパターンを示した。3)組織学的に心筋のダメージはなかった。4)灌流中血中諸酵素は上昇しなかった。以上よりFDAは心筋へ必要な酸素を供給し, 充分な心筋保護効果を有していた。従って臨床応用可能と思われた。
  • 元木 良一
    1986 年 15 巻 1 号 p. 422
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 上田 実, 丹羽 大治, 江幡 晃治, 嶋 隆義, 金田 敏郎, 宮田 暉夫
    1986 年 15 巻 1 号 p. 423-426
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは動物より採取したわずかな粘膜細胞を生体外で増殖させ組織として構成した後, 再び生体に移植する細胞組込み型人工粘膜の開発に成功した。
    われわれの開発した人工粘膜は, その作製法によって2種類のtypeに分かれるが, いずれもコラーゲン基質内に口腔粘膜構成細胞を組込んだものである。
    Type 1では, はじめにコラーゲンゲルと線維芽細胞で粘膜固有層モデルを作りその表層に上皮細胞を重層させ人工粘膜を作製する。
    一方, type 2ではあらかじめコラーゲン薄膜とスポンジ状コラーゲンよりなる二重膜を作製しその表層に上皮細胞をシート状に培養する。
    本論文ではこれらの人工粘膜の作製法と移植実験の概要を述べるとともに, 将来の臨床応用の可能性に言及する。
  • 稲垣 豊, 天野 泉
    1986 年 15 巻 1 号 p. 427-432
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    植込み式腹腔―大静脈シャントポンプ(腹水ポンプ)の欠点を改良する為に新たに体外式腹水ポンプを開発した。腹腔と静脈に留置したダクロンメッシュ付catheter(d-catheter)の間にone way valve付flush bulbを接続する。体外式腹水ポンプはflush bulbを圧迫する事により腹水を静脈へ送液出来るとともに, d-catheterとflush bulbの接続部をはずす事により腹水を採取し, 濃縮静注が可能である。腹水ポンプは〔1〕腹腔catheterがfibrinにより閉塞〔2〕one way valveにfibrin塊がはまり込む〔3〕静脈catheterが血栓で閉塞の3つの原因により機能不良に陥った。植込み式腹水ポンプにおいては, いずれの原因でも手術的に取り出し新しいポンプと交換しなければならないが, 体外式腹水ポンプにおいては〔1〕〔2〕〔3〕とも非手術的に改善する事が可能であった。特に〔3〕の原因が多いので非手術的に静脈に挿入出来るd-FSL catheterを開発した。体外式腹水ポンプを3例の腎不全を伴う肝硬変の患者に留置し, 2~5ケ月間感染を起こす事なく使用出来た。
  • 室井 利仁, 田村 真紀夫, 中根 尭, 酒井 清孝
    1986 年 15 巻 1 号 p. 433-436
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    疎水性膜の両側に温度差の異なる液体を流し、その蒸気圧差を利用して溶媒を蒸気の形で透過させるサーモパーベーパレーション法は、現在海水の淡水化、食品工業、排水処理等広い分野で注目を集めている。本研究においては疎水性膜によるサーモパーベーパレーション法を用いて、牛血液からSolute-free waterの除去を行ったところ、牛血漿―水系・牛血液―水系の定圧透過実験において安定した水透過流束が得られた。また、その透過水の純度が高く、牛血漿中のNa+, K+, Cl-は99%以上阻止された。
  • 稲垣 豊, 天野 泉, 吉田 俊彦, 寺町 教詞
    1986 年 15 巻 1 号 p. 437-442
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者に合併した上部大量消化管出血の9例を選び冷却した透析液を用いて持続胃冷却を行った。この内8例にdouble lumenのNG tubeを用いたが4例の十二指腸出血はいずれも完全止血効果が得られ1例のみ再発した。一方胃出血の4例の内完全止血は2例のみで, 全例に再発した。又胃出血においては3例にNG tubeの入れ換えを必要とし, 1例は大量のclotの為に続行が不可能となった。持続胃冷却は十二指腸出血には効果があるが, 胃出血においては出血巣付近のclotを洗い流す事がよくないと推察された。よって冷却とともに圧迫止血を行いclotをはがさない様にするsilicone rubber製の3 lumen, single balloon catheterを試作し, 1例の胃出血に臨床応用したところ著明な止血効果があった。
  • 中沢 速和, 阿岸 鉄三, 奥村 俊子, 渕之上 昌平, 寺岡 慧, 高橋 公太, 東間 紘, 太田 和夫
    1986 年 15 巻 1 号 p. 443-446
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    外科的切除不能な進行癌患者10例に対して完全埋め込み式vascular access daviceよりの制癌剤選択的大量投与, 副作用軽減のための活性炭によるDirect Hemoperfusion, RF波による局所温熱療法の併用を用い, その臨床効果について検討した。併用療法は10例に対して計14回施行された。抗腫瘍効果の判定は小山・斉藤班の基準に基き行い, PR5例, MR3例, NC1例, PD1例で奏効率80%であった。また腫瘍マーカーの減少が8例中7例(87.5%)に認められた。
    implantable vascular access deviceを用いることにより制癌剤の選択的投与が容易となり, またMMC1.0mg/kg, ADM2.0mg/kgの大量投与にもかかわらず, 重篤な副作用が認められず, 活性炭による吸着療法が副作用の軽減に有効であったと考えられる。
    今回, われわれの試みた併用療法は進行癌に対する有効な治療法の1つと考えられる。
  • 辻 隆之, 戸川 達男, 青木 秀希, 請川 洋, 秦 美治
    1986 年 15 巻 1 号 p. 447-450
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハイドロキシアパタイトち密体で作成した皮膚ボタン(直径12mm, 厚さ2mmの円盤状の台の中心より直径25mm, 高さ8mmの円柱を垂直に設け, 頂点を5mmのポタン様にした構造で, ボタン様の部分のみを体表に露出する)をヒト前腕皮下に植え込んだところ, 感染を全く起こさず, 浸出液もなく, 皮膚とボタンとは癒着した。5ケ月間以上にわたり痛みや異和感は全くなく, 生活には支障なく入浴, 水泳も可能である。現在は消毒などの処置は何らせずに露出して放置している。
    本材料は生体計測や制御のための皮膚インターフェースとして臨床的に用いることができ, 人工臓器への応用が可能と考えられた。
  • 辻 隆之
    1986 年 15 巻 1 号 p. 451
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 浅野 献一, 小柳 仁, 中林 宣男, 赤松 功也
    1986 年 15 巻 1 号 p. 452-455
    発行日: 1986/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top