体重約40gの若い純系ラツト (ウイスター系) に, 5%, 10%, 20%蔗糖液を飲水として与えて24日間飼育して実験し, 次の結果を得た。
1.蔗糖液の投与は, ラツトの1日飲水量を著しく増加し, 固型完全食の摂取を明らかに減少させるにもかかわらず,
2.ラツトの体重増加は促進される傾向にあり, また
3.肝重量も増大する。しかし, 4.肝の水分量は対照水道水群との間に差がない。
5.蔗糖液群のラツhは寒さにも拘わらず活発に活動しているのに対して, 水道水群のラツトは体を寄せ合つて動かない時間が多い。
6.各種組織の組織学的検査で, 異常と認められる所見はないのみならず,
7.骨の成長は蔗糖液投与により促進される傾向が強く, 少くとも有害に作用するという所見はない。
以上の成績から, 冬季寒冷期に蔗糖液を与えることは, 若いラツトの成長に好影響を及ぼすと認めてよい。組織特に肝の重量増加及び恐らくは体重の増加も, 水分の蓄積にもとづくものではなく, 主として体蛋白分解の抑制にもとつくものと考えられる。この抑制の機転は, 蔗糖液摂取による持続的高血糖が副腎皮質機能を抑制することによるものと思われる。
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