作業量の問題, 就中その月別周年推移の状況は農作業と疲労との関係についての研究においてその基礎としてきわめて大切であるので, ます第3報においては主要作物についてその作業量の算出法を考案し, これに引き続き本報においては主要作物労働をとりあげた。これらのことは主要作物以上に困難を伴う問題で殆ど不可能に近い点すらあつたので, 本報においては主要作物外労働の種類とそれらの月別周年推移の調査を標準農家大野氏だけに限定し, これらによつて対象地区の状況を推測してみた。
その結果本報において取扱つた主要作物外労働量は一般に小農閑期の8月9月, 大農閑期の12月1月2月に上昇があり農繁期には反つて下降している状況がみられた。それにもかかわらず主要作物と主要作物外労働量の総和である総労働量の月別推移においては, 主要作物の影響が強くでて春秋の農繁期と大農閑期の別が明かに示された。このような事実は気候の推移が急激である日本において, 殼作に偏した小農式経営法を行つている以上どうしてもある程度避けられない宿命的な問題を含んでいるものと思われ, 将来農村の疲労の問題を究明しようとする場合これらの事実をつねに考慮しなければならない。
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