伊豆半島下田地区の中学3年生及び15才以上の社会人の, 身長, 体重, 上肢長, 上腕囲 (伸展時) , 前腕囲, 手頸囲, 皮下脂肪厚の計測を行うと共に上腕屈筋力, 握力を測定し, さらにX線的に骨質部の上腕に対する割合を計算, 筋直径を算出し, これらを性別, 年令別, 労働負担程度別に整理検討した結果次の結論を得た。
1) 高年者群は, 身長は低いが, 上肢長は若年群と殆んど変らない。
2) 手頸囲, 上腕囲の上肢長に対する割合は男子よりも女子が大きく, 前腕囲の上肢長に対する割合は, 20才未満群は女子が, 20才以上群では男子が優越している。
3) 上肢周径囲の上肢長に対する割合の年令との関係をみると, 男女とも2峯性の曲線をえがき, 第1の山は男女とも15~19才の附近に, 第2の山は男子では30~39才, 女子では40才~59才附近にみられる。
4) 体重1kgあたりの握力の強さを比較したが, 中学3年生 (14才) が最大で, 15才以降の者は年令増に伴なつて益々下降する。その下降の程度は, 日常労働量と関係があり, 重労働者ほど下降がゆるやかで, 比較的高年まである程度の握力水準を維持し, 労働負担量に拘わらず40才代からは握力が急速に低下する。
5) 握力と前腕囲との相関関係は, 中学3年生だけについてみれば, 男女ともに順相関が認められるが, 30~49才の社会人について調査したものでは相関がみられない。皮下脂肪厚分を修正してもその関係は殆んど不変である。
6) 上腕囲から皮下脂肪厚分, 骨分を修正して得た筋面積と, 腕力との間には, 上腕囲と腕力との間におけると同様に, 何等の相関も説明出来ない。
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