体力科学
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13 巻, 1 号
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  • 佐藤 良子, 石河 利寛, 山川 純
    1964 年 13 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 1964/03/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    二年間にわたる各大学ボート選手の定期的体力測定の結果を「体力の推移」という観点から考察し, 以下のことを得た。
    1.一流ボート選手の体力は, 大半の項目において一般人はもとより他の競技の選手よりもはるかにすぐれている。
    2.ボート選手としてのトレーニング開始以前即ち新人の体力は, 一般人や他の競技の新人と余り差がない。その後のトレーニングによつて大差が生ずる。
    3.経験年数の多いものの方が体力がすぐれている。これは種々のトレーニングによるものである。
    4.トレーニングに伴う体力の増加は, 新人のその後の一年間が特に著しく, その後も更に増加するが最初の一年間程大きくない。
    5.経験2年以上になると, 体力の増加がやや飽和点に達したような傾向を示すものがある。従つて, 最初の一年に基礎的体力の充実のためのトレーニングに重点をおくことが有意義であらう。
    6.ボート選手の大半は大学入学後初めて訓練を開始している。従つて, トレーニングに伴う著しい体力増加は成人のトレーニングとしてその可能範囲を示す一例ともみられる。
    7.1961年より各大学が共通して漕艇練習に陸上での補強トレーニングを併行させるようになつたことが体力増強に大きく影響し, その実施の前後には明らかに差が認められる。
    8.体力が飽和点に達したような傾向がみられる経験2年以上の選手のその後の体力の推移において, 11~12月及び3月の測定に成績の低下もしくは停滞をみるものが多い。特に上肢筋力がすぐにおちやすい。これはシーズンオフ或いは学期末試験などに伴うトレーニングの軽減や中絶に因することが大きいとみられる。シーズンオフの冬季にこそ陸上での補強トレーニングを有効に活用すべきであろう。
  • 重量挙における体力測定の意義
    小野 三嗣
    1964 年 13 巻 1 号 p. 19-29
    発行日: 1964/03/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    日本及び外国の重量挙選手の各層並びに, これらと同一年令層に属する日本人大学生を対照群として, 種々の体力測定を行つた結果を, 前報までに取りまとめた重量挙選手調査報告と対比検討した結果, 大要次の如き結論をた。
    (1) ストレングスとしての筋力と, 重量挙記録とは必ずしも正相関を示さないが, これは筋肉トレーニングの効果が, 直ちにストレングスの上昇という一次元的な関係を示さず, 他の本質的に異つた若干の要素の複合発達により, 運動能力的な筋力の発達を支持しているからであると思われる。
    (2) 四肢驅幹部の周囲値は, 初期筋肉トレーニングの段階では, 筋力発生にとつては無用と思われる組織の消耗喪失を来す結果減少の傾向を示すが, ある時点を過ぎると筋肉組織の増加による, 周囲値の漸増が認められるのであつて, しかもこの時期における周囲値は, 重量挙記録と比較的高度の正相関を持つている。
    (3) ウエイトトレーニングに重点を置いた現トレーニング方式では, 筋持久力の増加はあまりおこらない。
    (4) 等尺性の状態で発揮する最大張力即ちストレングスの大きさと, 張力発生の加速度とは正相関が証明出来ない。
    (5) 実験的努責では, 立ちくらみの原因となると考えられている循環系の変化を惹起させることが出来なかつた゜
    (6) 現在選手が行つている程度の, ラソニソグ, サーキツトトレーニングなどでは, ハーパードステツプテスト点は増加しない。
    (7) 垂直跳の成績は比較的良く記録の消長をあらわしているように考えられる。
  • 小野 三嗣, 荻野 光男, 本間 達二
    1964 年 13 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 1964/03/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    医科大学学部学生12名に, 背筋力計を全力で牽引する等尺性トレーニングを1日3回宛行わせた結果, 大要次のような成績を得た。
    1) 毎回約9秒間の最大力牽引を, 毎日行つた群の最大筋力は漸増の傾向を辿り, 15日間トレーニング後, 5日間の休息日を置いた6日目の最大筋力測定時の成績は, トレーニング期間中の最大値よりも大きかつた。
    この群は更に, 休止後の背筋力上昇特に著明な者と, それほどではない者の2群にわけることが出来るが, この2群の間には持続時間, 平均筋力, 作業量の推移に若干の傾向差がみられるだけでなく, 筋痛部位にも明かな相違があつた。
    2) 毎回約4秒間の最大力牽引を, 毎日行つた群では, トレーニング開始後第6日目頃より最大筋力の漸増が認められたが, 毎日の最大筋力曲線の起伏は, 9秒牽引群より少く, また15日牽引5日休息後の最大筋力値は, 連日トレーニング最終日より低下していた。
    3) 9秒牽引を隔日又は2日置きに行つた班では, 最大筋力値の経過に著しい変動を与え得なかつた。
  • 小野 三嗣, 荻野 光男, 本間 達二
    1964 年 13 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1964/03/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    特別には運動などを行つていない, 医科大学の男子学生について, 能動握力と受動握力及び肩帯固定力を測定し, 次の結果を得た。
    1) 能動握力と受動握力とは, その被験全例について, 相関係数を求めると0.52となるが, 約5%の極端なものを除外すると相関係数は0.42に低下する。
    2) 受動握力と肩帯固定力との相関係数は, 0.67で, 比較的強い正相関を示す。
    3) 力を一定にして浅指屈筋の遠位端, 筋腹中央, 近位端附近の皮膚表面から誘導した筋電図では, 能動的な場合も, 受動的な場合も殆んど差異を認めなかつた。
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