日本及び外国の重量挙選手の各層並びに, これらと同一年令層に属する日本人大学生を対照群として, 種々の体力測定を行つた結果を, 前報までに取りまとめた重量挙選手調査報告と対比検討した結果, 大要次の如き結論をた。
(1) ストレングスとしての筋力と, 重量挙記録とは必ずしも正相関を示さないが, これは筋肉トレーニングの効果が, 直ちにストレングスの上昇という一次元的な関係を示さず, 他の本質的に異つた若干の要素の複合発達により, 運動能力的な筋力の発達を支持しているからであると思われる。
(2) 四肢驅幹部の周囲値は, 初期筋肉トレーニングの段階では, 筋力発生にとつては無用と思われる組織の消耗喪失を来す結果減少の傾向を示すが, ある時点を過ぎると筋肉組織の増加による, 周囲値の漸増が認められるのであつて, しかもこの時期における周囲値は, 重量挙記録と比較的高度の正相関を持つている。
(3) ウエイトトレーニングに重点を置いた現トレーニング方式では, 筋持久力の増加はあまりおこらない。
(4) 等尺性の状態で発揮する最大張力即ちストレングスの大きさと, 張力発生の加速度とは正相関が証明出来ない。
(5) 実験的努責では, 立ちくらみの原因となると考えられている循環系の変化を惹起させることが出来なかつた゜
(6) 現在選手が行つている程度の, ラソニソグ, サーキツトトレーニングなどでは, ハーパードステツプテスト点は増加しない。
(7) 垂直跳の成績は比較的良く記録の消長をあらわしているように考えられる。
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