体力科学
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19 巻, 1-2 号
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  • 長谷部 昭久, 大山 義之, 笹尾 昶, 中原 一雄, 菊地 久美子, 中島 雅美
    1970 年19 巻1-2 号 p. 1a-5
    発行日: 1970/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    After studying the Step Test (hereinafter referred to as ST), one of the method of measuring the endurance of whole part of body, another method of measuring the endurance against the load of upper limbs is considered necessary for those physically handicapped person and or those who reqires a consideration for local development, as in the ST the loaded parts of the movement is limitted only to lower limbs.
    Following the method of ST, a method of measuring the endurance of upper limbs is worked out as shown belows;
    A method of measuring the endurance of upper limbs;
    Arm Test (hereinafter referred to as AT) (A tentative idea)
    Kinetic load method;
    for male: floor push-up type.
    To bend and stretch successively for 30 times with two seconds each. (When stretching arms from bended position, to give a word every one second to prevent from using reactive power.)
    To make him sit and count his pulse at following three different times;
    P1: 30 sec.-45 sec. after
    P2: 1 mm. -1 min. 15 sec. after
    P3: 1 min. 30 sec. -1 min. 45 sec. after
    (However, the time to start measuring is quickened as well as measuring time is shortened because of quick recovery of pulse after the excersise.)
    Exponential Equation:
    AT=60 (loaded times/sec.) /P1+P2+P3×100
    (ST method is applied also in this case, but calculated based on basic calculation formula, as the marks obtained was one half of that of ST.)
    The auther applied this test together with ST to several groups to find out that the sum of the marks of AT and ST as well as ratio differs in each group. In other word, the sum of the endurance of both upper and lower limbs is taked for as the endurance of the whole body and the ratio of these as the difference of the endurance between the upper and lower limbs.
    We will study further on as to the appropriateness of this measuring method and calculation formula of the marks to find out method of measuring the endurance of upper limbs, and at the same time will study the method of evaluating the endurance of whole body.
  • 第1編重量挙競技における心搏週期の変動経過について
    木村 勝
    1970 年19 巻1-2 号 p. 6-17
    発行日: 1970/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    心電図の短波無線搬送装置を使用し, 重量挙競技中の心電図を記録した。被験者が楽に挙げ得る軽い重量と, 挙げ得る最も重い重量の2種類のパーベルを用いて, それぞれ, プレス, スナッチ, ジャークの3種目について実験を行ない, 競技による心搏週期の変動経過について考察し, 次の成績を得た。
    1) 重量挙げ開始前には, 被検者の全例に心搏週期の急短縮が認められ, 一部にはその後再び急延長するものもあった。
    2) 重量挙げの心搏週期の変動経過は, バーベルをにぎり始めた直後の心搏週期の変動により, 次の3型に分類できる。
    第1型: 直後心搏週期の急短縮するもの,
    第2型: 直後心搏週期の延長するもの,
    第3型: 直後心搏週期に動揺なく, 徐々に短縮するもの。
    これらの違いは, 胸廓の変形, 胸腔内圧の変化, 下肢よりの反射, スタートの合図からバーベルをにぎり始めるまでの時間, 呼吸とのタイミング関係等の影響によるものと考えられる。
    3) バーベルをにぎり始める直前, およびにぎり始めてからの心搏週期の短縮および延長, ならびに動揺的短縮は, 陸上競技の短距離疾走時の心搏週期の変動経過と類似している。
    4) バーベル挙上後, 心搏週期には多くの例で0.01~0.28秒の延長がみられた。
    5) 競技中には, 心搏週期の急激な動揺はほとんど認められなかったが, これは重量挙が位置の移動を余り伴なわない静的な運動であり, 主として上肢が運動するため運動筋よりの反射効果も少ないためであろうと推察される。
    6) 競技中の心搏週期の短縮の程度は, プレスで最も少なく, 次いでスナッチで, ジャークの場合に最も強いが, これは負荷の強弱および挙上時間の差, 下肢の反動等によって, ジャークの場合に心臓に加わる負荷が最も大きいためと考えられる。
    7) 競技終了後, 若干例をのぞき, 心搏週期の短縮は数秒間持続する。
    この論文の要旨は昭和39年6月第18回日本体力医学会総会 (新潟) において口演発表した。
    終りに臨み, 岡芳包教授の御指導と御校閲に深甚なる感謝を捧げると共に, 宇都山登講師及び野田幸作博士の御助言と御支援, ならびに終始実験に御協力いただいた徳島県立徳島工業高等学校藤原八郎教諭をはじめ重量挙部選手諸君に厚く感謝の意を表する。
  • 第2編50m, 100m及び400m水泳中の心搏週期の変動経過について
    木村 勝
    1970 年19 巻1-2 号 p. 18-35
    発行日: 1970/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    著者らの考案した心電図水中無線搬送記録装置を使用して, 50m, 100m, 400m水泳で, 自由型, 平泳, 背泳, バタフライの4種目につき, 国体選手および医学部学生など合計24名を被検者として, 25mプールを使用して, 水泳中の心電図を記録した。この心電図記録から水泳中の心搏週期の変動経過図を作り, 心搏週期の変動経過について考察して, 次の結論を得た。
    1) 水泳中の心搏週期の変動経過は, 初期の階段状下降 (短縮) とか, 第2次下降, 第3次下降, steady stateの出現, および経過中の微細動揺の出現などに若干の時間的な差はあるが, ほとんど陸上競技の中・長距離疾走における変動経過と類似している。
    2) 水泳中の心搏週期の変動経過は, スタート前後の心搏週期の変動経過によって, 次の4型に分類し得る。
    第1型: スタート後, 心搏週期はゆるやかに階段状に短縮し, ほとんど動揺のないもの。
    第2型: 水泳開始前に心搏週期が0.5秒程度に短縮しているにもかかわらず, 急激な下降動揺が出現するもの。
    第3型: スタート直後一時心搏週期が延長し, 1~2回著明に動揺した後, ゆるやかな短縮に移行するもの。
    第4型: スタート前から動揺著しく, スタート後5秒位でこれが著減し, ゆるやかな短縮に移行するもの。
    3) 水泳開始直後, 心搏週期の急下降 (急短縮) , および下降 (短縮) 動揺の出現には, 運動初期の負荷の強さや開始前の心搏週期の大きさが関係する。
    4) 水泳競技での心搏週期の初期下降 (初期短縮) は, 陸上競技の疾走時ほど急激ではないが, これはおそらく, 水中で立位からスタートしたため, 運動初期の負荷があまり強くなかったためであろう。
    5) 50m, 100m, 400m水泳ともに, 心搏週期は第2次下降後, 一定の水準を10~20秒間保つが, この時期は, 運動初期に筋からの反射により起る抑制神経の抑制の解除によってアンバランスになった循環機能動態が, 心臓反射および促進神経の興奮によって調整され安定した状態となっだ時期であろう。
    6) 自由型水泳では, 他の種目のときに比べて, スタート直後の心搏週期の急下降終点の値が最も著明に短縮しており, 一定水準の持続時間も短かく, steady stateに達する時間, およびそのときの心搏週期も最も短かい。このことから心臓への負荷が最も強いのは種目としては自由型であることが判った。
    7) 水泳中に0.01~0.04秒の心搏週期の微細動揺が出現するが, これは呼吸性の変動であろう。
    8) 100m, 400m水泳で, ターン時に心搏週期が一時延長するが, ターンをくりかえした後にはこの延長度は低減する。
    9) 国体選手と医学部選手の間に, トレーニング効果の差が非常によく現われており, 特に循環機能調節能力, および回復能力においてトレーニング効果が著明であった。
    10) 水泳は全身の激しい運動であるにかかわらず, 心搏週期の短縮が陸上競技疾走のときほど強くないのは, 水中運動であるために, 身体推進のための筋力発揮様式や水の抵抗, 浮力などの関係で, 運動が陸上のときほど激しくなく, 加うるに体温上昇率の低下, 胸腔内圧の上昇, 水圧なども影響するのであろう。
    この論文の要旨は昭和36年10月第15回日本体力医学会総会 (秋田) , 昭和37年10月第16回日本体力医学会総会 (岡山) , 昭和38年10月第17回日本体力医学会総会 (山口) において口演発表した。
    終りに臨み, 岡芳包教授の御指導と御校閲に深甚なる感謝を捧げるとともに, 宇都山登講師, 野田幸作博士の御助言と御鞭撻, ならびにこの研究に対して御協力を与えられた第17回国体徳島県水泳選手, および徳島大学医学部水泳部員の各位に厚く感謝の意を表する。
  • 倉田 博, 馬詰 良樹, 柳本 昭人, 森下 芳郎, 山本 直道
    1970 年19 巻1-2 号 p. 36-46
    発行日: 1970/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    500gから0.5gまでの目標に対して, 指尖部で発揮した筋力を連続的に記録しながら, 目でこれを追い10分間調節し続けた場合の目標からの誤差を調べ, 2, 3の条件を変えてこの調節に対する要因を検討した。
    1) 目標筋力と誤差との関係は, 40~50gに谷ができ, それ以上の目標でほぼWeberの法則のように振舞う区間を有する。
    2) 指を弛緩させた腕位で調節すると, 50g以下に目標筋力が減少するにつれて誤差も減少する。
    3) 局所皮膚感覚刺激の強さを減少した条件下では50g以下の目標筋力で誤差が増大し, また, 閉眼すると目標から大幅に外れ, 更に局所感覚強度減少・閉眼併用では小目標で目標から外れが顕著になる。
    4) 小目標で夕刻に一時誤差が減少し, 大目標では朝から夜にかけて徐々に増大する日内変動を認める。
    5) 10分間の時間経過では, 測定した目標の範囲では2~3分目に誤差が最小になり, その後の時間経過では目標が大きい程誤差の増大は著しい。
    擱筆に当り, 終始御懇篤なる御指導, 御校閲を賜わった名取教授に深甚の謝意を表し, また, 実験に種々示唆を与えられた五十島助教授並びに坪田講師に深謝する。
  • 名取 礼二, 五十島 長太郎, 坪田 修三, 馬詰 良樹, 倉田 博, 柳本 昭人, 森下 芳郎, 山本 直道, 石井 令三
    1970 年19 巻1-2 号 p. 47-54
    発行日: 1970/06/01
    公開日: 2010/09/30
    ジャーナル フリー
    1) 下肢筋群の活動の敏捷性の一つの指標として, 一定距離を飛びのく逃避動作の反応時間を測り, 上肢の敏捷性と比較した。
    2) 二つの押し板 (圧変化で電路が開閉される) を用い, 合図によって手を一の板から一定距離の他方の板へ移す動作の反応時間を測ると動作開始時間は単純反応時に近く, 年令との相関は高くない。他方の板を押すまでの時間は中高年になると多少遅くなる傾向を示す。
    3) 手の移動の反応時は繰り返し測った場合に動作開始の反応時も, 動作終了の時間もそのばらつきは単純反応時のそれに近いが, 両者の差, すなわち手を移動させる時間のばらつきは小さい。
    4) 右方一歩横飛びにおいて, まず片足を動かし, ついで他足を動かす場合は動作開始の反応時は単純反応時より長く, 両足揃えて横に飛ぶ場合のそれより長い。年令, 性別にみると, 動作開始, 動作終了の反応時ともに高年令になるに従って遅くなり, また女子が男子より遅い。この関係は両足揃えて飛ぶ場合より, はじめ片足を移動させる場合の方が明瞭になる。
    飛びのき反応時を繰り返し測つたものを時間の度数分布曲線で示すと, ほぼ正規分布に近い形を示す。手の移動の反応時と飛びのきの反応時との間の相関はあまり高くない。
    5) 右方一歩飛びの着地の位置のずれは横飛び動作の時間の長短とは関係がない。しかし, 位置のずれのばらつきと反応時のばらつきとは極めて高い相関 (r=+0.96) を示す。
    6) 左方一歩飛びの反応時は右方一歩飛びのそれと大差なく, 前飛びは両足を揃えて飛ぶ場合を除いてはじめの踏み板に体重が残る時間が長い。後方飛びは横飛びと大差ない。
    7) 二歩飛びのきの年令的差違は一歩飛びのきのそれに近い。
    8) 以上より, 下肢筋群の活動の敏捷性の指標として一歩横飛びを利用できることが示され, また, 実用的には第二の踏み板を片足が踏むまでの時間を測ることが有用である。
    この報告は文部省科学研究費による総合研究日本人の体力づくりの環境生理学的研究 (研究班長白井伊三郎教授) の分担研究としておこなったものである。
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