加齢ラットにおけるtriglycerideの増加を, 心筋, 肝臓, 血清, 骨格筋 (人腿直筋, 前〓骨筋, 長指伸筋, 足底筋, ヒラメ筋) , 副睾丸脂肪組織について量的並びに質的に検討し, 相互関係を追究した。
1) 各組織のtriglyceride含有量の変動はおよそ14ケ月齢以後のラットに認められた。
2) 心筋, 前〓骨筋, 長指伸筋のtriglyceride含有量は1, 3.5, 14, 21ケ月齢ラットではほとんど変動が認められなかった。
3) 肝臓triglycerideは21ケ月齢ラットで著しく低下し, 統計学的有意差 (P<0.05) が認められた。
4) 大腿直筋, 足底筋, ヒラメ筋のtriglyceride含有量は14ケ月齢あたりから徐々に増加し, 21ケ月齢ラットでは統計学的に有意 (P<0.05) な増加となった。
5) 14ケ月齢並びに21ケ月齢ラットの各組織のtriglyceride構成脂肪酸分画を比較すると, 21ケ月齢ラットではC
18, C
18-1, C
18-2の増加が認められ, 血清中遊離脂肪酸分画への反映は認められなかった。また, triglyceride含有量の増加が認められた骨格筋 (大腿直筋, ヒラメ筋) でも同様の変化が認められた。
以上の結果から, 加齢ラットにおけるtriglycerideの変動はそれぞれの組織により異なり, triglycerideの増減が著しい組織ではその構成脂肪酸にも質的な差が生じることが示唆された。
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