本研究は, 中高年ランナーに対して自転車エルゴメーター作業を負荷することにより, LTおよびall-out時でのVo
2, HR, SBP, DBPを測定し, これらの加齢変化やトレーニング内容などとの関係について検討した.
その結果は, 次のように要約できる.
1.身長, 体重, %fat, 体格指数は, 年代間で有意な差は認められず, すべての年代のランナーは類似の痩身体型であった.週当りの走行距離時間, 頻度などは個人差が大きいが, 平均値でみると年代間に有意な差は認められなかった.ランナーとしての経験年数も年代間に有意な差は認めちれなかった.しかし, 加齢に伴い走パフォーマンスは著明に低下した.
2.年齢とVo
2@LTとの間には有意な相関 (r=-0.686) がみられた.しかし, %Vo
2max@LTは, 各年代でほぼ同値であり, 年齢との間に一定の関係は認められなかった.
3.年齢とHR@LTとの間には有意な相関がみられたが, %HRmax@LTは%Vo2max@LTと同様に年齢とは無関係であった.
4.SBP@LT, DBP@LTについては年代間に有意な差は認められず, 年齢との関係は明らかでなかった.
5.加齢による変化は, Vo
2@LT (0.5m
l/kg/min/yr) よりもVo
2max (0.7m
l/kg/min/yr) の方が大きかった.
6.Vo
2maxの加齢による変化は, 既報の一般人やランナーと比べて大きかった.しかし, 各年代でのVo
2maxは, 一般人に比べ平均で50~60%高く, 例えば70歳代ランナーのVo
2maxは一般人の40歳代に相当した.
7.Vo
2maxとトレーニングの経験年数との間には有意な関係はみられなかったが, ランナーとしてのトレーニング開始年齢とVo
2maxとの間には, 有意な相関が認められた.
8.HRmaxは, Vo
2maxと同様に加齢による低下を示し, 同性同年代の一般人と比べて有意差はみられなかった.
9.推定HRmaxと実測したHRmaxとの間には, 有意な相関 (r=0.600) がみられたものの, 個人差が大きく±10拍/分以上の誤差を生じた者が約32%いた.
10.SBPmax, DBPmaxは, 年代間で有意な差はみられず, 中高年ランナーにおいては年齢と血圧の関係は明らかでなかった.
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