バイオメカニズム学会誌
Print ISSN : 0285-0885
28 巻, 4 号
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解説
  • 山田 宏
    2004 年 28 巻 4 号 p. 172
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
  • 劉 浩
    2004 年 28 巻 4 号 p. 173-178
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    循環系における血液の流れのシミュレーションは,臨床応用を最大な目標とする予測医学のための有用なツールとして重要視されつつある.このような血流シミュレーションを目的とする,循環系における計算バイオメカニクスは,近年計算機性能の爆発的進歩と医用画像の飛躍的高精細化により,従来の理想化されたモデリングによる一般論的な現象解明から,患者個別情報を用いたシミュレーションベースト診断や手術予測等を可能にする統合的計算生体力学システムの研究開発へと,急速に脱皮しつつある.予測医学とは,超音波やMR(核磁気共鳴)やX線CTなどの医用画像を利用して,計算機上に生体の構造と機能について,厳密な力学モデルをつくりあげ,大規模な方程式を解き,疾病や障害の過程を目に見える形で捕らえ,シミュレーションによる血管疾患の診断と外科手術計画及び手術後予測を実行することができるようなものである.このような新しいパラダイムを実現させるために,大動脈や各臓器から毛細血管,そして細胞までの広大なスケール間の階層性と階層間の力学的相互作用を考慮した,いわゆるマルチスケール生体力学シミュレーションに基づいたヒト循環系シミュレータは必要不可欠と思われる.本稿では,循環系におけるマルチスケール計算バイオメカニクスの考え方と有用性について,大動脈や腎動脈の中の血流モデリングの実例を交えて述べる.
  • 小池 卓二, 和田 仁
    2004 年 28 巻 4 号 p. 179-183
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    聴覚器官は,空気中の音波を生体内に取り入れて知覚するための,微小且つ高周波数で振動する器官である.音波によって生じた鼓膜の振動は,耳小骨を経由して,感覚細胞が存在する内耳に伝えられる.よって,鼓膜や耳小骨の振動特性は聴力に影響を及ぼし,特に疾患などにより,中耳の振動が妨げられると,大きく聴力が低下する.しかし,聴覚器官の振動は直接計測が困難なため,その振動様式や,病変による影響は十分に解明されてはいない.本稿では,筆者らが取り組んでいる中耳のモデル化を中心に,計算による中耳振動解析と,その臨床への応用について,実例を挙げながら解説する.
  • 伊能 教夫
    2004 年 28 巻 4 号 p. 184-188
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    顎顔面外科領域では三次元画像を利用したオーダーメイド治療が研究の重要なテーマになっている.顎顔面の力学解析は,この研究を発展させる上で重要である.顎骨の形は複雑で,極端に薄い箇所や細長い部分を有し,緻密骨の厚さも部位によって異なる.また,咀嚼筋は種類が多く,顎骨に多方向から力が働いている.これらの顎骨の特徴を考慮した力学解析には,個体別のモデリング手法の確立が必須である.本稿では,顎骨の個体別モデリングと力学解析に関する課題を挙げながら研究の現状を紹介する.主な内容は,顎骨形態に則した有限要素分割,パーシャルボリューム効果の補正手法,咬合時の咀嚼筋力の推定,力学条件設定支援システムである.
  • 坂本 二郎
    2004 年 28 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    計算生体力学によって生み出された技術は,研究だけでなく臨床における診断や治療に応用可能な技術として,その可能性を広げている.整形外科の分野においても,計算力学と医療画像処理の融合により,個々の患者の症状を反映した患者別の骨体力学解析が実用化しつつある.例えば,X線CT画像から骨の有限要素モデルを作成して力学解析を行うソフトウェアが開発されている.これにより,従来は多くの日数が必要であった骨の有限要素モデルの作成が数時間で可能となった.ここでは,そのようなソフトウェアを利用して,骨粗鬆症脊椎の有限要素解析を患者別に行い,骨粗鬆症における脊椎圧迫骨折の危険性を評価する方法について解説する.
  • 田中 英一, 山田 宏
    2004 年 28 巻 4 号 p. 194-200
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    材料力学に基礎を置く計算生体力学の取組を紹介し,計算力学の抱える諸問題を挙げるとともにその解決方法を示唆する.まず,腹部大動脈と腹部大動脈瘤の応力解析のための境界値問題を2つ紹介し,それぞれの境界値問題を解くのに必要な情報,情報不足を補うための仮定,解析結果が与える情報(応力分布)を示し,限られた情報からはそれに対応した情報量の解析結果が得られることを示す.次に,大腿骨頸部の転倒骨折を取り上げ,個体差,周辺組織とのつながり,材料物性値の入手に関する問題を解決あるいは軽減する方法を示す.最後に,近年,着目されている細胞の力学的挙動に対する数値解析について,血管内皮細胞を例にとって簡単に説明する.
研究
  • 吉田 英恵, 氏家 英樹, 石村 康生, 和田 充雄
    2004 年 28 巻 4 号 p. 201-212
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    筋疲労による表面筋電図の変化を,カオス解析手法を用いて解析した.表面筋電図を用いた筋疲労の検出は簡便で無侵襲な方法で,その応用分野には様々なものが考えられる.表面筋電図の解析法としては,周波数解析などの線形解析手法が一般的だが,本論では表面筋電図の非線形性に着目し,非線形解析手法であるカオス解析手法を用いた.表面筋電図に対してカオス解析手法を用いる事で,線形解析手法のみを用いた場合より,広い範囲の疲労が検出できる可能性が考えられる.健常な男女を被験者に筋疲労の実験を行い,上記の両手法を適用しその結果の考察を行った.結果,FFT のみを用いた場合より,それに合わせてカオス解析手法を用いた解析を行った方が,疲労の検出件数が高くなる事がわかった.
  • 下戸 健, 日垣 秀彦, 福永 鷹信, 安武 誠治, 中西 義孝, 三浦 裕正, 岩本 幸英
    2004 年 28 巻 4 号 p. 213-220
    発行日: 2004年
    公開日: 2006/11/17
    ジャーナル フリー
    次世代の人工膝関節の形状設計や,膝の生体運動に対するポリエチレンインサートの摩耗の解析を行う支援技術の1つとして,医用画像情報を用いた全人工膝関節置換術の動態解析が挙げられる.本研究では,動態解析におけるプロセスの省略の意味を含む一切の仮定を行わず,完全な画像マッチングによって人工関節置換膝の動態解析を試みている.本報では,近未来の整形外科において標準的な診断手法としてフラットパネルディテクターが普及することを想定し,それから出力されるX線画像と,イメージマッチング法を用いた人工膝関節の動態解析手法を概説し,同手法の検定結果について考察したので報告する.
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