繁殖雌豚を長期繁殖させ, しかも繁殖周期を短かく効率的にさせる妊娠期の飼料給与量およびエネルギー要求量を明らかにするため試験を行った。ランドレース種の未経産豚16頭を2区に分け, 1~4産の各妊娠期に1日1頭当たりの飼料給与量を2.0kgとする対照区と, 初産を1.7kgとし, 以後1産ごとに0.1kg増加させる試験区を設けた。なお, 冬期 (12~3月) には両区とも0.4kgを増給した。一方, 授乳期には妊娠期の飼料給与日量に子豚1頭に付き0.45kgを増給し, 28日齢で離乳した。離乳後交配までは両区とも日量2.0kg与えた。供試飼料は妊娠期, 授乳期ともトウモロコシ・大麦および大豆粕主体のもので, 粗蛋白質 (CP) 14%, 可消化エネルギー (DE) 3200kcal/kgのものを用いた。
対照区の初産の妊娠期における母体の増体量 (分娩後体重から交配時体重を引いたもの) および交配から離乳まで (1繁殖周期) の増体量は適量とされる25および15kgを上回っており, 6400 DE kcalのエネルギー給与量で十分であった。しかし, 2, 3および4産の妊娠期の母体増体量は21.4, 17.2および9.1kgであり, 適量とされる25kgに不足した。また, 1繁殖周期の増体量も13.7, 12.4および3.3kgとなり, 適量とされる15kgに不足した。特に4産の増体量は小さく, 飼料の増給の必要が認あられた。
試験区では初産の1繁殖周期の増体量は19.3kgであり, 必要量を満たしていたが, 妊娠期の母体増体量は21.9kgであり, 1.7kg (5440 DE kcal)/日の給与では適量とされる25kgの増体をさせることは出来なかった。また2産以後の妊娠期 (母体) および1繁殖周期の増体量ともに不足しており, 1産ごとに0.1kgの飼料の増給では不十分であった。
生時および28日離乳時の子豚数, 1腹子豚総体重および平均子豚体重等の子豚成績には両区の間に明らかな差は認あられなかった。
初産から4産の間, 各25kgの妊娠期の母体の増体に必要な飼料給与量 (エネルギー給与量DE kcal) は, 初産で1.90kg (6080), 2産で2.04kg (6528), 3産で2.15kg (6880), 4産で2.26kg (7232) と推定された。
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