下肢動脈血行再建術は重症下肢虚血を呈する症例を対象に,下肢切断を回避し,下肢機能を維持することを目的に行われる。PREVENT III risk scoreは術後重症虚血肢症例の予後予測に役立つが,透析4点,組織欠損3点であり,足部に潰瘍を有する透析患者は,高リスク群に分類されてしまうため,下肢切断/死亡リスクを詳細に見積もることが困難である。そこで本研究では,重症下肢虚血に対し血行再建術が施行された213名の透析患者を対象に調査を行い,リスクスコア(Prognosis Amputation or Death for HD patient risk score[PAD for HD risk score])を作成した。PAD for HD risk score(術後歩行非自立 3点,GNRI 92未満 2点,潰瘍形成/壊死 2点,CRP 0.3 mg/dl未満1点,75歳以上1点)のArea under the curve(AUC)は0.79(95% confidence interval〔CI〕: 0.71–0.87)でありPREVENT III risk score(AUC: 0.63, 95%CI: 0.56–0.71)よりも有意に予測能が高いことが確認された(p<0.01)。また,スコアの合計点を算出し,昇順に3群に分け比較した結果,各群間の術後1年後のAFS rateおよび,歩行自立率に有意差がみられた。これらのことから,本リスクスコアは術後リハビリテーションの目標設定をする際の一助となると考える。
症例は47歳,男性。19歳時,大伏在静脈グラフトを用いた右腋窩—左腋窩動脈バイパス術を施行した。43歳時に吻合部の仮性動脈瘤と診断され,他院で右鎖骨下動脈から腋窩動脈にかけてcovered stentが留置されたが,その後瘤は最大8 cmまで増大を認めたため,仮性瘤除去術を行った。術中所見では吻合部から約15 mm末梢のグラフト壁に裂孔を認めた。裂孔中枢側でグラフト断端を閉鎖し,良好な結果を得た。
症例は72歳男性で,伏在型の下肢静脈瘤に対して右大伏在静脈の血管内ラジオ波焼灼術を施行した。治療1週間後に大腿部内側の穿刺部に一致して皮膚の膨隆を認め,エコーにて皮下組織に低エコー性病変の所見がみられた。増大傾向があり10日目に局所麻酔下に切開したところ内容物はリンパ液でリンパ囊腫と考えられた。その後創部処置を外来にて行い27日目に治癒した。