症例は46歳,男性。右下腹部痛のため当院を受診した。造影CTで右腎の造影不良域と両側腎動脈解離を認めた。入院後,降圧療法およびヘパリンによる抗凝固療法を開始し,腹痛も改善した。入院9日目のCT再検で左腎下極枝に新たな解離と造影不良域が出現したが,腎機能増悪なく保存的加療を継続し,良好に経過した。特発性腎動脈解離は非常に稀な疾患であるが,急性腹症を来す鑑別疾患の1つとして念頭におく必要がある。
症例は69歳女性。通勤時や趣味の社交ダンスの際に足の疲労感が強くなり受診した。精査にて右外腸骨動脈欠損・左外腸骨動脈低形成・両側浅大腿動脈欠損を診断された。腸骨動脈大腿動脈系の先天奇形は非常に稀な疾患である。遺残坐骨動脈を認める奇形については多数の症例報告があるが,単独完全欠損/低形成についての報告は極めて少ない。本症例に対して両側腸骨動脈–総大腿動脈バイパス手術を行い,症状の改善が得られた。