日本外科系連合学会誌
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46 巻, 6 号
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症例報告
  • 長田 拓哉, 岡本 康, 渡邉 学, 斉田 芳久
    2021 年 46 巻 6 号 p. 639-644
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    【はじめに】乳癌領域では,遺伝子診断と免疫組織化学法のサブタイプ分類を組み合わせて,乳癌治療の個別化が行われる.今回,われわれはHER2 fishとNCCオンコパネル検査の結果が乖離した1例を経験したので報告する.【症例提示】57歳,女性.37歳時に右乳癌に対して乳房全切除術,腋窩郭清を施行された.47歳時に右鎖骨上リンパ節転移を認め,その後次第に治療抵抗性となり,肺,胸壁,リンパ節,骨に多発転移を認めた.遺伝子パネルの検体採取目的にて腋窩リンパ節切除術が行われ,病理診断にてER+,PgR+,HER2(2+)であり,HER2 fish検査の結果は陽性であった.一方,NCCオンコパネル検査ではHER2遺伝子の増幅は認められなかった.【考察】癌遺伝子パネル検査とHER2 fish検査は,検査方法の違いにより結果が乖離する場合があり,得られた結果を十分に理解した上で最適な治療を選択することが重要である.

  • 渡邉 隆太郎, 浅井 浩司, 鯨岡 学, 森山 穂高, 榎本 俊行, 桐林 孝治, 二渡 信江, 渡邉 学, 大原関 利章, 斉田 芳久
    2021 年 46 巻 6 号 p. 645-654
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    今回,子宮体癌術後の横隔膜転移に対し胸腔鏡・腹腔鏡下に切除した1例を経験したので報告する.症例は55歳の女性で,初回治療から33カ月後の子宮体癌再発に対し,頻回の外科的切除術を施行されていた.経過観察目的の腹部CTで肝転移が疑われ当科紹介となり,精査から肝浸潤ないしは肺浸潤を伴う子宮体癌横隔膜転移または肝転移を疑った.まず腹腔鏡下に観察を行い,術中所見により腹腔鏡下横隔膜部分切除術,肝部分切除術,胸腔鏡下の観察を追加し,肺浸潤を認めれば肺部分切除術も行う方針とした.術中所見で肺浸潤は認めなかったが肝浸潤が疑われ,胸腔鏡腹腔鏡下右横隔膜部分切除術および肝部分切除術を施行した.経過良好で術後4日目に退院した.術後24カ月で肺多発転移を認め化学療法を施行したが,術後36カ月経過した現在も生存中である.横隔膜腫瘍の手術に際し,胸腔鏡と腹腔鏡を併用することで,低侵襲かつ安全に施行しうる可能性が考えられた.

  • 楠 誓子, 西川 和宏, 浜川 卓也, 三代 雅明, 高橋 佑典, 酒井 健司, 三宅 正和, 宮本 敦史, 加藤 健志, 平尾 素宏
    2021 年 46 巻 6 号 p. 655-661
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は70歳,男性で,胃癌(M,Less,Type3,92×78mm,tub2>tub1,pT3N2(6/78)M0 Stage ⅢA)に対して開腹胃全摘術,D2郭清,Roux-en-Y再建(結腸前経路)を施行した.術後補助化学療法を施行したが,門脈背側のリンパ節転移再発を認めたため外来にて化学療法を施行中であった.術後1年6カ月目に上腹部痛と嘔吐と下痢を主訴に当院に救急搬送され,腹部CTにて腸閉塞と診断し緊急手術を施行した.開腹観察時,Y脚の吻合部肛門側の空腸がTreitz靭帯方向へ逆蠕動性に重積しており,Treitz靭帯からY脚部までの空腸は色調変化を認めていた.重積は容易に整復可能であり,整復後は腸管の色調の改善を認めたため,腸管切除は施行しなかった.術後経過は良好であり,術後15日目に退院した.

  • 瀧島 輝幸, 江藤 誠一郎, 竹内 秀之, 松本 倫, 平林 剛, 河原 秀次郎, 小村 伸朗
    2021 年 46 巻 6 号 p. 662-668
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    術前に卵巣腫瘍と鑑別が困難であった小腸Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の手術症例を経験したので報告する.症例は67歳の女性.健診にて貧血を指摘され,近医で上下部消化管内視鏡検査を施行するも,異常所見なく,婦人科疾患の精査目的に当院産婦人科を紹介受診となった.骨盤部造影CT検査にて右卵巣に一致して内部造影不良域を伴う長径51mmの境界明瞭な腫瘤を認め,骨盤部造影MRI検査では子宮右側に53×38×48mm大の内部非造影領域と辺縁造影効果を伴う腫瘤を認めた.右卵巣腫瘍の診断で開腹子宮全摘,両側付属器切除術の予定となったが,開腹所見にて腫瘍は子宮や両側付属器と連続しておらず,小腸原発腫瘍と判明したため,術中に当科紹介となった.腫瘍の肉眼所見は壁外発育性のGIST様で小腸リンパ節の明らかな腫大を認めなかったため,小腸部分切除術を施行した.手術時間は1時間54分,出血は少量であった.術後経過は良好で術後第7病日に軽快退院となった.骨盤内に落ち込んだ小腸原発性腫瘍と卵巣腫瘍などの婦人科系腫瘍性疾患は鑑別が難しく,今回術前卵巣腫瘍と鑑別困難であった小腸GISTの手術症例を経験したため,文献的考察を交えて報告する.

  • 佐藤 剛, 北島 政幸, 池上 満智彰, 高橋 琢哉, 牧野 有里香, 岸根 健二, 柵山 尚紀, 永易 希一, 中谷 晃典, 相羽 元彦
    2021 年 46 巻 6 号 p. 669-678
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は60代,男性.血液検査で貧血を認め,上下部内視鏡検査を施行.異常所見なく経過観察となったが黒色便が出現し,当院を紹介受診.CTで骨盤内に10cm大の腫瘤を認め,精査加療目的で入院となった.輸血により改善するも下血が継続し,手術を施行した.術中所見では腫瘍は小腸原発であり,近傍のリンパ節は著明に腫大していた.また,近傍の大網に3cm大の結節を認めた.手術は小腸部分切除および大網結節切除を施行した.病理検査所見で原発性小腸未分化癌と診断された.大網の結節も同様であった.大網に播種性病変がみられたことより,術中に確認しえなかった播種性病変が存在する可能性がありPET-CTを施行.腹腔内に多発播種性病変を認め,S-1+DTX療法を開始するも病状は悪化し,術後約5カ月で永眠した.今回われわれは貧血を契機に発見された原発性小腸未分化癌の1例を経験し,本邦報告例27例と併せ臨床病理学的検討を行った.

  • 川村 崇文, 阪田 麻裕, 倉地 清隆, 鈴木 克徳, 鈴木 雄飛, 竹内 裕也
    2021 年 46 巻 6 号 p. 679-684
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は38歳女性.1994年に小腸大腸型クローン病と診断され,2004年に回腸狭窄に対して回盲部,小腸部分切除が施行され残存小腸は230cmであった.術後内科的治療を行うも腸管狭窄症状が出現し術前3カ月前より経腸栄養剤のみで保存的治療を行ったのちに2014年10月に前回吻合部を含む小腸部分切除を施行した.術中大きな問題なく経過し術当日のみ予防的抗生剤投与を行った.術前血液検査では凝固系の異常は認めなかったが,術後1日目よりPT,APTTに軽度延長が認められ,術後6日目にPT 72.8秒,APTT 98.3秒と著明な延長が認められた.臨床症状は認めなかったがビタミンK欠乏症を疑い,ビタミンK製剤の点滴静注を行ったところ速やかに凝固能は改善した.クローン病は複数のビタミン欠乏症のリスクがあるがその中で周術期にビタミンK欠乏性凝固障害が顕在化する報告はほとんどない.今回複数の要因が重なり術後早期に発症したビタミンK欠乏性凝固異常の1例を経験したので報告する.

  • 成田 徹, 村瀬 博美, 堀部 文倫, 米田 五大, 岩崎 圭, 宮﨑 正二郎
    2021 年 46 巻 6 号 p. 685-690
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は66歳男性.S状結腸捻転に対して3回の内視鏡整復歴がある.今回,腹痛を主訴に救急要請し搬送されたが病院到着時に腹痛は改善傾向であった.CTではS状結腸捻転は否定的であった.盲腸が左上腹部位置しており,虚脱した上行結腸は十二指腸の足側を左側から右側へ走行し,造影効果の減弱を認め盲腸捻転と診断した.検査後に腹痛は消失したため自然に整復されたものと判断し,後日待機的手術を行った.術式はS状結腸捻転の再発防止のため左下腹部の小切開創からのS状結腸切除術,盲腸捻転の予防のため腹腔鏡下盲腸固定術とした.S状結腸捻転と盲腸捻転に対する緊急手術は血流障害を伴い開腹手術での腸管切除が余儀なくされることが多いが,本症例は待機手術が可能でありリスクと侵襲を軽減させるための工夫を行ったため報告する.

  • 上平 大輔, 田波 秀朗, 谷田部 悠介, 村形 綾乃, 長内 孝之, 高橋 慶一, 迫間 隆昭
    2021 年 46 巻 6 号 p. 691-697
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は69歳女性,便潜血陽性で施行した下部消化管内視鏡検査で上行結腸癌を指摘された.入院前日にスクリーニング目的に鼻咽頭より採取したSARS-CoV-2 RNAのRT-PCR検査が陽性であったため手術は延期した.無症状で胸部CTに肺炎像もなく自宅待機となった.陽性判明8日後に所管保健所の指示で他院に入院した.中等症ⅠのCOVID-19肺炎の診断でレムデシビルと抗凝固療法による治療を受け,重症化することなく退院となった(陽性判明8日後〜14日後).退院時を含み1週間ごとに3回のPCR検査を行い3回目(陽性判明26日後)で陰性を確認し,同日に胸部CTで肺炎像のないことを確認した.PCR検査陰性を確認した2日後に(陽性判明28日後),腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.術後経過は良好で,肺合併症もなく術後8日目に退院となった.入院治療に関わったスタッフにCOVID-19感染を疑う症状は認めなかった.

  • Hiroyuki Ohta, Tomoyuki Mizukuro, Kyozo Hashimoto, Mitsuhiro Fujino, T ...
    2021 年 46 巻 6 号 p. 698-702
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    Anal sphincter injury during vaginal delivery can cause intractable fecal incontinence. Although a variety of surgical procedures have been attempted, none has been demonstrated until now to definitively yield satisfactory outcomes. We present the case report of a patient who underwent successful surgical treatment for obstetric trauma-induced fecal incontinence.

    A 29-year-old Japanese woman with a history of perineal tear during her first delivery presented to our hospital with severe fecal incontinence. Digital examination revealed complete disruption of the perineal body caused by vaginal birth-induced trauma, as well as of the external anal sphincter in front of the anterior rectal wall. We considered that additional repair of the lacerated perineal body would be more effective than anal sphincter repair alone to resolve the fecal continence. Therefore, surgical reconstruction of the lacerated perineal body was performed under spinal anesthesia with the patient placed in the jackknife position. Postoperatively, the patient was successfully relieved of the fecal continence, without any complications. Our new technique of perineal body-plasty can be an effective treatment option for obstetric trauma-induced fecal incontinence.

  • 大野 玲, 村瀬 秀明, 大友 真由子, 吉野内 聡, 吉田 剛, 石原 慶, 小畑 満, 神谷 綾子
    2021 年 46 巻 6 号 p. 703-708
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    患者は71歳の女性.当院内科で膵囊胞の経過観察中であった.経過観察中の腹部超音波検査所見は膵体部に約2cmの低エコー腫瘤を認めていた.直近の造影CT検査で囊胞に造影効果を認めたため悪性化を疑い腹腔鏡下膵体尾部切除術を行った.術後の病理組織学的検査で腹腔内デスモイドと診断した.WHO分類で本腫瘍は被膜を有さず浸潤性増殖を示し,しばしば局所再発をきたすが遠隔転移はないという特徴から良悪性中間的軟部腫瘍に位置付けられている.本症例も完全切除ができたが十分な経過観察が必要であると考えられた.

  • 贄 裕亮, 西澤 伸恭, 田島 弘, 藤尾 俊允, 岡本 光祈子, 久保 任史, 増澤 真実子, 海津 貴史, 村雲 芳樹, 隈元 雄介
    2021 年 46 巻 6 号 p. 709-716
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は23歳男性.18歳時より全身にびらん,痂皮を伴う皮疹が出現した.ステロイドなどによる治療を3年以上継続したが改善しなかった.その後,血清グルカゴン高値が判明し,CTで膵腫瘍を指摘されたためグルカゴノーマが疑われ外科紹介となった.ソマトスタチンシンチグラフィを含む画像所見では,膵尾部に39mm大の多血性腫瘤を認めた.リンパ節転移や他臓器への転移は認めなかった.腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行し,病理所見ではグルカゴンの免疫染色は部分陽性であった.術直後に血清グルカゴン値は基準値範囲内に戻り,術後8日目に皮疹は改善した.術後2年経過した現在も再発なく健在である.

    グルカゴノーマとして特徴的な臨床所見を認めるにもかかわらず,免疫染色では腫瘍におけるグルカゴン産生を十分に証明できない1例を経験した.グルカゴノーマの診断における免疫染色の意義について,文献的考察を加え報告する.

  • 吉野内 聡, 大野 玲, 村瀬 秀明, 大友 真由子, 神谷 綾子, 石原 慶, 吉田 剛, 小畑 満, 藤原 裕子
    2021 年 46 巻 6 号 p. 717-721
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    患者は54歳の男性.アルコール性慢性膵炎で当院内科通院中であった.1年間に数回膵炎増悪症状や,膵炎に伴う十二指腸狭窄による腹部膨満症状が出現し保存的治療をしていた.2020年11月腹部膨満の症状が増悪して入院となった.上部内視鏡検査では胃が拡張しており残渣も多量に認めた.十二指腸球部から下行脚にかけて狭窄を認めた.狭窄部からの生検結果は良性であったが腫瘍マーカーのCA19-9が上昇しており膵癌の合併も完全には否定しきれなかった.十二指腸狭窄症状を繰り返す慢性膵炎の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織検査では十二指腸が繊維化のため狭窄していたが膵頭部も含めて悪性所見はなかった.

  • 河瀬 信, 守本 芳典, 宮部 秀晃, 岡部 道雄, 河本 和幸
    2021 年 46 巻 6 号 p. 722-728
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は64歳,男性.4日間持続する右側腹部痛があり近医受診した.血液検査にて炎症反応の上昇を認めたため精査目的に当院紹介となった.右側腹部に限局する圧痛と腹膜刺激徴候を認め,腹部造影CTで右側腹部腹壁直下に大網の限局的な脂肪織濃度上昇と渦巻き状の大網血管を認め大網捻転症を疑った.同日腹腔鏡下での緊急手術を施行した.右側腹部腹壁に壊死した大網の癒着を認めた.大網の末梢は横行結腸腹膜垂に癒着し,癒着部位と10cm中枢の大網を基点として大網が時計回りに900度回転し壊死していた.壊死大網を切除し手術は終了した.大網捻転症は稀な疾患であり,壊死部位によって疼痛箇所が異なることから術前に確定診断に至らないことが多い.腹腔鏡手術は容易に確定診断が得られ,また低侵襲手術が行える点で有用と考えられた.

  • 山崎 裕起, 水谷 政之, 八田 一葉, 横溝 和晃, 清水 一起, 嘉悦 勉
    2021 年 46 巻 6 号 p. 729-734
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    症例は44歳の男性.Bicycle motorcloss中に転落し,左下腹部をハンドルに強打した.受傷翌日より左下腹部の膨隆を認めたため,当院,救急外来を受診した.腹部理学的所見ではハンドルをぶつけた部位に皮下血腫(Handlebar sign),および同部位の膨隆,圧痛を認めた.腹部CTではHandlebar sign下に腹壁筋群の損傷と,同部位からの小腸の脱出を認めた.脱出した小腸の還納は容易であった.外傷性腹壁ヘルニア(Traumatic Abdominal Wall Hernia:TAWH)と診断,腹腔鏡補助下によるヘルニア修復術の方針とした.手術は腹腔鏡による観察を先行した.Handlebar sign下に筋層と腹膜の断裂部を認め,これらが約4cm大のヘルニア門を形成していた.へルニア門直下の小腸には漿膜に出血斑を認めた.その他異常所見は認めなかった.体外操作へと移りヘルニア門上部での約4cmの皮膚切開から,損傷していた腹壁筋群を修復,さらに,外腹斜筋膜,内腹斜筋間にULTRAPRO mesh®を挿入した(interoblique).経過良好にて術後5日目に退院となった.ハンドル外傷に伴うTAWHは稀であるほか,TAWHに対し,腹腔鏡補助下で行うヘルニア修復術には幾つかのメリットがあり,文献的考察をまとめて報告する.

  • 嶋津 藍, 武田 良祝, 武井 雅彦, 富田 夏実, 三浦 弘善, 行方 浩二
    2021 年 46 巻 6 号 p. 735-739
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/12/31
    ジャーナル フリー

    ポートサイトヘルニアは腹腔鏡下手術などのポート挿入部に生じる腹壁瘢痕ヘルニアであり,比較的稀な合併症である.今回われわれは,経腹的尿管皮膚瘻の近傍に発症した5mmポートサイトヘルニアの1例を経験した.症例は75歳,女性.尿管癌術後,尿管皮膚瘻近傍に発症したポートサイトヘルニアに対して,傍ストーマヘルニア修復術に準じた治療を行った.傍尿管皮膚瘻ヘルニアに対する治療法は確立されていないが,傍腸管ストーマヘルニアに準じてretromuscular法を行うことで,尿管皮膚瘻のストーマ脚閉塞を起こさずヘルニアの修復が可能であった.経腹的な尿管皮膚瘻近傍のヘルニアでは,retromuscular法が有用である可能性があると考えられた.

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