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土岡 弘通
1985 年14 巻3 号 p.
1403
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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寺田 康, 三井 利夫, 藤田 享宣, 井島 宏, 前田 肇, 岡村 健二, 酒井 章, 筒井 達夫, 福田 幾夫, 湊 直樹, 堀 原一
1985 年14 巻3 号 p.
1404-1406
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
VVI pacing症例のうち, ペースメーカー症候群を呈する愁訴群3例と, 対照群4例に対して, 臥位から起坐位へと体位変換した前後の心房拍数, 体血圧, 右房圧, %FS (UCG下), 血中カテコラミン値の変化を測定した。又, 臥位でValsalva試験を行ない, 前後の心房拍数, 体血圧の変化を測定した。さらにAtropine. Prepranolol投与による薬理学的除神経下で, 同様に体位変換前後の変化を測定した。その結果, 愁訴群では, 全身性血管収縮反射の機能不全と, 圧受容器baroreceptorを介する負荷減圧反射の障害により, 末梢血管の拡張状態と低心拍出量の状態が長く続く, 起立性低血圧に類似した血行動態を示した。除神経により, 対照群の血行動態が愁訴群に近くなることより, 愁訴群における心拍数一定下の自律神経調節不全が推察された。
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名和 清人, 喜岡 幸央, 長尾 俊彦, 薦田 烈, 清水 明, 紀 幸一, 青景 和英, 水取 悦生, 多胡 護, 村上 泰治, 妹尾 嘉 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1407-1410
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
先天性完全房室ブロックに対しペースメーカー植込術が施行されるが, そのペースメーカー心(VVIモード)の遠隔期心形態, 心機能を心エコー図法により検索した。
LV mass indexは正常より大きく, EDYI, ESVIとも正常より小なる傾向から, 求心性心筋肥大の像を呈するものと判断された。EFを増大し, SVIを増加してCIを保持する生体反応が伺われたが, CIは正常より少い。レート変化に対する心ポンプ機能(CI), 心筋機能(ET, -PWV, mVcf)の対応は良好で各々有意な正の相関が認められ, 心予備能は温存されていた。エルゴメーターによる運動負荷に対し, EFを増大し, SVI, CIを増加させる生体反応が認められたが, なお低値であった。負荷に対して心筋機能は有意な陽性変化を示し, 心収縮を亢進させる生体反応を認めた。VVIモードのペースメーカー心の遠隔期ポンプ機能には限界があり, 管理上注意を要し, 生理的ペーシングの必要性が伺われた。
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―心電図同期心プール法を用いて―
柵木 隆志, 石原 智嘉, 大宮 孝, 宮田 義弥, 田嶋 一喜, 浅井 忠彦, 澤崎 優, 平手 裕市, 棚橋 淑文, 岡田 充弘, 河合 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1411-1414
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
近年, 生理的ペーシングに関心が高まっているが, その有用性および至適A-V間隔を心電図同期RI心プール法により検討した。対象はVDD12例, DVI3例であり, VVI6例, AAI3例を対照とした。
VDD・DVIにおいてA-V間隔50msecに比し, A-V間隔100msec. 150msec, 200msecにてEDV・SV・COは良好であり, 至適A-V間隔は100~200msecであると思われた。
またVDD・DVIよりVVIへの変更にて, EDV・SVは有意に減少し, COは-18.6±26.2(平均±SD)と減少傾向を示した。VDD・DVI計8例とVVI・AAI計9例に運動負荷試験を行なった。EF・SV・COは両群において有意に増加したが, 特にVDD・DVI群の増加は著しい傾向にあった。以上より安静時, 運動時ともにVDD・DVIペーシングは有用であり, その評価は心電図同期RI心プール法によって簡便に行い得た。
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小久保 光治, 広瀬 光男, 小島 洋二, 竹内 文夫, 東健 一郎, 宮田 知幸, 稲田 潔, 宮本 洋通, 千田 晴之, 大川 育秀, ...
1985 年14 巻3 号 p.
1415-1418
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
生理的ペースメーカーを植込んだ21症例において, 血行動態の評価と植込み後の問題点について検討を加えた。
Cardiac Index, Stroke Volumeは心室ペーシングと比較して約20%の増加を認め, CTRも術前と比べ有意に減少していた。このように血行動態に関して生理的ペーシングは非常に有用であった。問題点としでは, 1) Psensing failureが6例に認められ, うち2例は心室ペーシングとして作動している。2) 逆行性伝導によるpacemaker mediated tachycardiaが1例に認められた。3) 13例に静脈造影を施行したが, 5例において鎖骨下静脈の完全閉塞と著明な側副血行が, 4例に高度の狭窄と発達した側副血行が認められた。
以上の経験より生理的ペースメーカーは心機能上は好ましいが, 問題点も多く広範囲の適応には限界があると考えられた。
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―血行動態より見た臨床応用の研究―
笹生 正人, 横山 正義, 毛井 純一, 貝塚 秀樹, 笠置 康, 長柄 英男, 和田 寿郎
1985 年14 巻3 号 p.
1419-1422
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
DDDペースメーカ植え込み後の洞不全症候群21例, 完全房室ブロック9例において, 自己脈, VVIペシングDVIペーシングにて心機能血行動態を比較した。洞不全症候群21例中8例にVVIペーシング時室房伝導を認めた。これらの症例では室房伝導による心房収縮のため, 著明に心房圧が上昇し, 心拍出量が低下した。また, 室房伝導を有しない洞不全症候群13例, 完全房室ブロック9例において平均右房圧のVVIペーシングのDVIペーシングよりの増加率は洞不全症候群の方が有意に高かった。これは, VVIペーシング時心房収縮の関与が完全房室ブロックの方が有効に作用していると思われ, 心拍出量において, DVIのVVIペーシングよりの増加率が完全房室ブロックの方が有意に低いことによく相関した。
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黒田 修, 巽 英介, 宮川 周士, 奥田 彰洋, 高尾 哲人, 井原 勝彦, 山口 時雄
1985 年14 巻3 号 p.
1423-1426
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
正常な洞結節の機能を有する完全房室ブロックの患者にとって、最も有効なペーシングモードは心房同期型であることは、従来言われてきている。正常な心房機能を有する完全房室ブロック10症例に対し、VDD、DDDペースンーカー植え込み術を施行した。術後、VVIモードペーシングとVDDモードペーシングにて、日常生活と結びついた心機能の評価が追求できるトレッドミル運動負荷試験を行なった。VVIモード、ペーシングレート70ppmでは7.4±1.6Mets、VVIモード、ペーシングレート120ppmでは9.4±2.1Mets、VDDモード、ペーシングレート123.2±40.6ppmでは11.5±2.4Metsであった。VDDモードペーシングでは、VVIモードペーシングに比し、明らかな運動許容範囲の拡大が認められた。この拡大は心房機能、および体の要求に応じた心拍数の増加によると考えられた。なお、VVIモードペーシングにおいても、日常生活を行ない得る運動能力は確保されていた。
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村瀬 允也, 田中 稔, 野垣 英逸, 竹内 栄二, 末永 義人, 三枝 裕幸, 小川 邦泰, 新美 隆男, 吉田 勝彦, 阿部 稔雄, 石 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1427-1430
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ペースメーカー植込み症例における室房逆行性伝導き洞不全症候群22例, 房室ブロック28例において心室ペーシングレイトを順次増加する方法で検索した。洞不全症候群では65%, 房室ブロックでは14%にみられた。房室ブロックの2例では完全房室ブロック時にも逆行性伝導が認められた。逆行性II度ブロック発生時の心室ペーシング間隔は570±62msec(平均±SD), 最大逆伝導時間は259±31msecであった。洞不全症候群と房室ブロックとの間には差を認めなかった。逆行性伝導による心房電位は, 双極2.7±1.7mV, 単極3.0±1.6mVと順行性の双極4.1±2.4mV, 単極3.4±1.5mVに比して低い傾向があり, 特に双極でその傾向が強かった。心室ペーシング間隔, 逆伝導時間と心房電位との間には関係を認めなかった。ペースメーカー頻拍の治療は, 心房不応期のプログラムのほか, 順行性, 逆行性による心房電位の差(最大2~4mV)を利用して, 心房感度の調節によっても可能な症例があう。
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池田 晃治
1985 年14 巻3 号 p.
1431
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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牧野 秀夫, 斉藤 義明, 三田村 好矩, 立木 利一, 鈴木 幸司, 三上 智久
1985 年14 巻3 号 p.
1432-1435
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ペーシング機能を有する自動除細動器を開発した。ペーシング方式は、除細動直後に必要となる高出力心室ペーシングである。機能追加による回路部品、電池体積の増加を極力抑えるために、除細動後に出力用コンデンサに残されているエネルギをペーシング用として使用する回路を考案した。除細動パルス出力後、装置内部のコンデンサには約8 joulesのエネルギが残されており、ペーシング用エネルギとして十分使用可能である。動物実験では、刺激用カテーテル電極及び心拍動検出器を右心室内部に挿入し、冠状動脈を結さつした後、電気的に細動を発生させた。その後装置が動作して、自動的に除細動が行なわれ、さらに設定されたパルス幅及び刺激レートで、高出力デマンド心室ペーシングが行なわれることを確認した。
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磯部 文隆, 藤田 毅, 大江 透, 下村 克朗
1985 年14 巻3 号 p.
1436-1439
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
心室細動や心室性頻拍は発生後直ちに除細動を必要とする致死性不整脈であり, 従来処置が遅れて死亡することが多かった。植込型自動除細動器(AID-B)は, この問題を解決すべくMirowskiにより開発され, 常時患者の心拍を監視し悪性不整脈が発生すると直ちに有効な電気ショックを自動的にかけ正常調律に復させる完全植込型機器であり1980年2月世界で初めて臨床応用された。
当センターにて不整脈源性右室異形成の2症例に対し本邦初のAID-B植込を経験した。症例1は, 高令で不整脈発生頻度が少なく有効薬剤の判定が困難なためAID-B植込を施行した。症例2は, 若年者で不整脈起源が複数あり薬剤抵抗性であるため, 起源に対する凍結手術と同時にAID-Bを植込んだ。両者とも術後経過良好で社会復帰している。
AID-Bの植込適応および問題点について若干の考察を述べる。
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三木 太一, 横山 正義, 板岡 俊成, 笹生 正人, 村杉 雅秀, 和田 寿郎
1985 年14 巻3 号 p.
1440-1443
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
WPW症候群3例を含む8例の上室性頻拍の患者に対し, 新しい頻拍治療用ペースメーカー(メドトロニック社製シンビオース7008)を植込み, 作動状況を観察した。このベースメーカーは通常のDDDペースメーカーに頻拍治療モードが加えられたもので, 心房バースト(Atrial Burst)心房心室固定順次刺激(A-V Dual Demand)心室固定刺激(Ventricular Dual Demand)の3つが設定できる。WPW症候群の2例は, A-V Dual Demand modeをセットし, 他の6例には, Atrial Burst modeをセットしてホルター心電図, テレメトリー機構にて, 作動状況を観察した。8例中4例でホルター心電図よりペースメーカーによる頻拍停止が確認できた。2例では, テレメトリー機構上, 頻拍発作が確認され自覚症状の改善より, 有効に作動しているものと推定された。他の2例では, 植込み後頻拍発作を認あていない。
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会田 博, 清水 健, 入山 正, 岩波 洋, 島津 和彦, 坂本 滋, 安西 吉行, 金戸 善之, 白川 尚哉, 成田 久仁夫
1985 年14 巻3 号 p.
1444-1447
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体動を感知し心拍数を制御する新しいペースメーカーの植え込みを行った。これは従来のペーシングにおいてlower rate依存性の症例に対し今後有効なペーシング方式であると考えられた。完全房室ブロックの2症例に植え込みを行ったが, 1例は体動による心拍数の増加に伴いVVIペーシングに比し心拍出量, 運動能の著明な上昇を認めたが, 他の1例は心拍数の増加にもかかわらず心拍出量, 運動能の増加は得られなかった。本ペースメーカーの植え込みの適応は, 心拍数の増加により心機能, 運動能の改善が認められるものにあるといえる。術前のペーシング負荷によりその適応の決定が必要と思われた。また植え込み後, 運動負荷により至適感度を設定する必要があると考えられた。
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猪狩 次雄, 星野 俊一, 岩谷 文夫, 安藤 正樹, 阿部 俊文, 高野 光太郎, 萩原 賢一, 丹治 雅博, 佐戸川 弘之, 渡辺 正明 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1448-1452
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
生体の活動度により心拍数を調節せんと開発されたペースメーカActivitraxを3症例に使用した経験を報告。症例1は23歳, 女, 慢性心筋炎後の高度房室ブロックにてVVIペーシング後8年に電池交換, 症例2は53歳, 男, 僧帽弁閉鎖不全症による弁置換術時, 心房細動を伴う徐脈にてVVIペーシング後2年に電池交換, 症例3は74歳, 女, 室一房伝導を伴う洞房ブロックにて初回植込みとしてActivitraxを使用した。心拍出量を測定したのは症例1のみであるが, 一回拍出量に殆んど変化なしに心拍数の増加による心拍出量の増加が得られた。運動能力においては3例ともに改善が認められた。今後の検討を要するが有用なペースメーカーと考えられ, 殊に病的洞機能を有するが故に, 心房拍数を利用したペースメーカーの恩恵に浴し得ない症例に適応されて行くのではないかと考えられた。
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豊島 健, 辻 隆之, 戸川 達男, 三宅 路裕, 土屋 喜一, 須磨 幸蔵
1985 年14 巻3 号 p.
1453-1456
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
身体活動に体幹に発生する加速度の大きさから, 身体活動度を定量的に評価し, これをもとにレートを生理的に制御する方式のペーシング・システムを開発した. 本システムでは, 活動度の評価およびペーシングレートの決定を体外で行ない, これに一致した周期の信号を高周波誘導を利用して体内の既製の植込み型VDD/DDDペースメーカに送って同期させてペーシングする方式を採用した. これにより送信コイルと受信器間の距離が3cm以内, 雑音強度が10mVpp以下で安定した同期が得られることがわかった. また身体活動度と心拍数との間には0.900以上の相関係数が得られた. またトレッドミル上での歩行走行負荷実験時の被験者の自発心拍数と本システムの発生したペーシングレートを同時記録し, よく一致した結果が得られた.
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三井 利夫
1985 年14 巻3 号 p.
1457
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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―心室ならびに心房ペーシング時の生体電気特性の研究
勝本 慶一郎, 新堀 立, 奥野 隆久, 竹内 慶治
1985 年14 巻3 号 p.
1458-1461
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Activated Vitreous Carbon電極(AVCE)の臨床的評価を得るために、電極と生体との初期反応を2段階式植込法または、temporary-permanent法を用いて研究した。他のElsiloy電極やプラチナ電極との比較もおこなった。恒久的ペースメーカー植込適応患者を対象に、電極表面積12mm
2のAVCEを48人に概み、25例は心室ペーシング、23例は心房ペーシングとした。他の37人は、表面積12と24mm
2のElsiloyまたはプラチナ電極を用い、さらに他の13人は各種の他電極を用いた。
刺激閾値、電極間抵抗、分極電圧、心内R波高、心内P波高ならびに心内ST部分などの変動を、7日間にわたり追求した。AVCEは、心房、心室とも低い分極電圧を示したが、電流刺激閾値は、Elsiloyやプラチナ電極と同様の変動を示し、かならずしも低刺激閾値電極とは言えない。
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田中 茂夫, 加治 正弘, 原田 厚, 松山 謙, 斉藤 文明, 松島 伸治, 児玉 行弘, 池下 正敏, 山手 昇, 庄司 佑
1985 年14 巻3 号 p.
1462-1465
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
1980年から1982年にかけて製造販売されたポリウレタン電極の一部に, コーティング破損によるペーシング, センシング不全がみられ, 欧米では約2万本以上の同型の電極が使用され問題になっている。でも約1200本は用いられており, その対策を検討した。
教室でひ4本のメドトロニック製6991U-53J型リードによる心房ペーシングをおこなった。全例にコーティグ破損によるペーシング不全, センシング不全1, 最短2ケ月後, 最長3年9ケ月後にみとめ, 電極と共に電極も交換した。電極破損の発生と同時に電極は, 250オーム以下に低下は2個に上昇した。同型の電極を使用している場合は, 1. ペーシング不全, センシング不全は電極破損をうたがう, 2. 自覚症状がなくてもコーティング破損を放置すると抵抗値の低下から電池早期消耗をきたすので, 上昇をみたら電極も交換すべきである。
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三木 太一, 横山 正義, 板岡 俊成, 田原 士朗, 村杉 雅秀, 和田 寿郎
1985 年14 巻3 号 p.
1466-1469
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
近年心内膜型電極は先端部が改良され心内膜に強固に付着する反面, その抜去が困難となっている。過去に電極の抜去困難のため電極を留置したため, 残遺電極の右房内迷入, 感染等の合併症を生じた2例を経験した。これら症例に対し, 体外循環下に電極抜去を行ない, 新たに心筋電極によるペースメーカー植込みを行なった。症例1では過去の牽引によると考えられる電極の伸展及びシリコン被膜の欠如が認められ, 右鎖骨下静脈内膜と強く癒着し, 一部抜去不能であった。症例2では留置していた電極が心房内に落ちこみ, 心内膜炎の原因となった。生理的ペーシングが増加している今日, このような合併症が今後増加するものと考えられる。
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石丸 新, 清水 隆, 箱島 明, 北村 昌之, 山田 充, 小池 荘介, 古川 欽一, 高橋 雅俊
1985 年14 巻3 号 p.
1470-1472
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
持続的な牽引によりフィン付きカテーテル心内膜電極を完全抜去して感染創を治癒せしめた一例を報告し, フィン付き電極の強度について実験的な検討を加えた。症例では, 電極が400gの荷重によってフィンが破損し抜去された。基礎的検討では, フィンの強度は約300gであり, 1kg以上の荷重ではカテーテル被覆部の損傷する危険性が示唆された。電極の抜去をより安全に施行するためには, カテーテル被覆材料を組織反応性の低いものとし, 電極先端の固定は主としてフィン部分によることが望ましく, これによって比較的軽量の荷重でもフィンのみが切離されるため, 心内組織を損傷することなく安全容易にカテーテルを抜去することが可能であると考えられる。
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白川 尚哉, 会田 博, 清水 健, 入山 正, 岩波 洋, 島津 和彦, 坂本 滋, 安西 吉行, 金戸 善之, 成田 久仁夫
1985 年14 巻3 号 p.
1473-1476
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Pacemaker lead断線はPacemaker(以下PMと略す)植え込み術後合併症の中でも最大の危険を有する合併症であり, 特に完全断裂により心腔内に迷入したleadの抜去については困難を要する。そして両端が心内壁に固着されている場合, スネアループ方式では抜去不可能であり, 心筋バイオトームでもたとえ把持してもシリコンを把持するだけで抜去は不可能である。時には開胸的に人工心肺下に抜去せざるを得ない場合もある。これに対して我々はポリープ把持鉗子を使用する事により心腔内へ迷入したleadの抜去に成功した。本方式は過大な侵襲もなく有用な方法と思われる。
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服部 淳
1985 年14 巻3 号 p.
1477
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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鶴田 宏明, 小川 恭一, 山本 信一郎, 中尾 守次, 麻田 達郎, 樋上 哲哉, 衣笠 和洋
1985 年14 巻3 号 p.
1478-1480
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
近年、Pacemaker機能の進歩は著しく、種々の不整脈治療が可能になったが、一方でPacemakerの複雑化に起因する不整脈や作動異常に遭遇する。われわれも、70例の植込み症例のうちMyopatential interference, Reentrant loop tachycardia, Pseudo-pseudofusion, Malfunctionの4例を経験した。Myopotential interferenceは筋電位を心電図Rと間違えて偽抑制する現象でsensitivityを下げ、消失をみた。Reentrant loop tachycardiaはDDD pacemakerに特徴的で、心房不応期を脱した後に室房伝導が心房に達することにより出現する現象で、心房不応期を延長することにより対処した。
Pseudo-pseudo fusionはDVI pacemakerにみられ、自己心拍のQRS電位がsensingされる前にセットレートが先行し、QRS上に心房刺激が重なる現象であり、心室刺激はT波上に現われる。T波の受攻期に近づくこともあり、自己心拍頻発例には不適である。malfunctionは重大な問題であり、原因追求が唯一、作動異常減少の解決策である。
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加治 正弘, 原田 厚, 吉森 勝, 斉藤 文明, 松島 伸治, 池下 正敏, 田中 茂夫, 山手 昇, 庄司 佑
1985 年14 巻3 号 p.
1481-1484
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
市販のNEC社製PC-9801(本体)にディスクユニットPC-9881, プリンターPC8822, カラーディスプレイPC-KD 551, を接続したものを用い, すべての機種のデータをin-putできる様にし, これを外来患者のfollow-upに用いている。処理能力としては, 約700名の外来患者に約40項目の情報が入力可能である。
又すべての情報がデジタルで表示されるほか, バッテリーカレント, バッテリーインピーダンス, 刺激レートなどは, 線グラフとして図示されるため非常にわかりやすい, その他, データの統計処理が簡単に行える利点も大きい。
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会田 博, 清水 健, 入山 正, 岩波 洋, 島津 和彦, 坂本 滋, 安西 吉行, 金戸 善之, 白川 尚哉, 成田 久仁夫
1985 年14 巻3 号 p.
1485-1488
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ペースメーカー植え込み後telemetry機構を利用して心内電位を測定した。急性期慢性期ともに心内P波R波は大きな変動は認めなかった。大きな変動を認めた場合はリードのdislocationや穿孔, 心内膜の変化などを推定する手がかりとなると思われた。筋電位誘発試験により筋電位を心内心電図上に描かすこともできた。同時に筋電位のoversensingによる頻脈も心内心電図として記録できた。経皮的通電神経刺激装置によるelectromagnetic interferenceの作用も心内心電図上で把握できた。
ペースメーカークリニック上, 心内電位測定は非常に有効であるといえる。とくにsensing failure時, 心内電位測定による適切なsensitivityの選択や筋電位干渉, EMIの影響, 逆伝導時間の測定や種々の不整脈の解析に有用であるといえる。
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松永 康弘, 清原 薫, 麻柄 達夫, 三崎 拓郎, 岩 喬
1985 年14 巻3 号 p.
1489-1492
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
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ペースメーカー植込患者に刺激閾値の日内変動を測定した。バリオペースメーカー植込30症例を対称とし, バリオ機構とホルター心電図により1時間毎に24時間の閾値を測定した。30症例中15例が日内変動を示した。日内変動を示した15例中4例は午前中に閾値が低下した。3例は昼間の閾値の低下を見た。1例は夜間閾値の下降を, 1例は夜間閾値の急上昇を示した。他は特徴のある変化を示さなかつた。植込直後1~3週間の閾値測定2例は徐々に閾値の上昇をみ, 術后7, 8日目に最大となり以后低下した。出力を2.5Vと低く設定した1症例では詳細な閾値変化を捕えた。右心房心内膜電極使用の1例では午前中に閾値の低下を示した。刺激閾値が日内変動する症例では外来受診時のみの閾値測定では不十分と考えられた。特に夜間に閾値上昇を示した症例が8例存在したことから, ペースメーカー植込症例に対しては閾値の日内変動を十分検討することが必要であり, また, 電池節約に役立つと考えられた。
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堀越 茂樹, 宮沢 総介, 堀口 徹, 望月 吉彦, 新井 達太, 祐乗坊 真, 中村 英明
1985 年14 巻3 号 p.
1493-1496
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
NMRイメージング環境下において、各種の磁場がpacemaker(PM)に及ぼす影響について検討した。7種のデマンドPMをNMR使用環境下へ近づけた時、動作状態が最低11 Gaussで非同期モードに変化した。他の動作parameterは、2機種で一部変化したが、他は全て不変で、PMを磁場から遠ざけると動作parameterは全てもとに戻った。1500Gaussの磁場に60分間置かれたPMにも不可逆的影響はみられなかった。PMのmagnet responseをOFFとした模擬実験では、傾斜磁場と高周波を加える頻度によりirregular pacingやpacingの完全な抑制が起り、高頻度ではEMIによる固定rate pacingとなった。体外式PMは何の影響も受けなかった。以上より、植込式デマンドPMのNMRイメージング下への接近は、pacing modeが非同期モードに変化しspike on Tを起す危険性がある。ある機種ではpacing OFFとして体外式pacingを併用すればNMRイメージングは可能であるが普遍的でなく、現時点ではPM植込患者のNMRイメージングを行うことは避けることが望ましい。
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吉森 勝, 池下 正敏, 田中 茂夫, 山手 昇, 庄司 佑, 大杉 啓二
1985 年14 巻3 号 p.
1497-1499
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ペーシング時の血行動態の研究に電磁血流計を用いた上行大動脈血流量の測定は有用である。測定時に, ペーシング電極と血流計プローブが比較的近い場合はペーシング波による血流計への著しい干渉が認められ測定が不可能となることがある。これに対し, 電磁血流計入力部に簡単な改造を行い, ペーシング波の発生する5msの間入力を0とすることにより, ペーシング波の干渉はうけず安定した血流量測定を行うことが可能となった。
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城戸 哲夫, 門田 康正, 中原 数也, 大野 喜代志, 前田 元, 池田 正人, 藤本 祐三郎, 中野 和郎, 川島 康生
1985 年14 巻3 号 p.
1500-1504
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
横隔膜ペーシングに伴なう横隔膜疲労における筋疲労の有無につき実験的検討を加えた。雑種成犬を用い, 刺激条件は一定で呼吸数のみを38, 25, 12回/分と変化させ, 右頚部より直接ペーシングを行ない, 経横隔膜圧が初期の60%に低下する迄の時間を測定した。さらに疲労後, aminophyllineを投与し, 経横隔膜圧と横隔膜活動電位の相互関係より筋疲労を観察した。横隔膜疲労に達する迄の時間は刺激回数に依存し, 頻回数ほど早期に疲労が出現した。電極装着部位の神経の電気的損傷の可能性は, 今回の研究では得られなかった。疲労後, aminophylline投与によりPdi上昇のみが有意でEdiは有意な変化がみられなかったことから, ペーシングに伴なう横隔膜疲労の原因として刺激伝達不全以外に筋自体の疲労が明らかとなった。
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庄司 佑
1985 年14 巻3 号 p.
1505
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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猪狩 次雄, 星野 俊一, 岩谷 文夫, 安藤 正樹, 阿部 俊文, 高野 光太郎, 丹治 雅博, 佐戸川 弘之, 渡辺 正明, 板橋 邦宏 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1506-1511
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
polypropyleneを膜素材としたhollow-fiber型限外濾過装置(MPF-M, 泉工医科工業製)を30例の開心術の無血体外循環中の稀釈率のコントロール, 体外循環終了後の回路内残留液の濃縮再利用に用いた。体外循環中の使用では晶質心筋保護液の使用量に相当する水分を除去し, 開始時の稀釈率35.1±6.4%と有意の差のない37.4±8.5%で体外循環を終了し得た。回路内残留液の濃縮再利用でも遊離ヘモグロビンの一部が濾過される点が有利と考えられ, 同時に濾過されるアルブミンの漏出による臨床的問題はなかった。血管外肺水分量でみた間質の水分貯留の減少結果も得られた。操作も簡便であり, ポンプ・吸引装置の一体化, 人工肺と本装置の一体化等にて本法が普及して行くのではないかと考えられた。
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―新開発のHonow Fiber型残留血濃縮器の使用経験―
佐々木 達海, 中野 雅道, 鈴木 和彦, 水野 朝敏, 古川 仁, 新井 達太, 鎌田 裕司, 中田 大悟, 竹中 良則, 井出 光基, ...
1985 年14 巻3 号 p.
1512-1515
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環後の人工心肺残留血を濃縮再利用するために、新たに開発されたHollow-Fiber型残留血濃縮器を使用して、その有用性を検討した。
開心術症例20名を、従来の血漿分離器Plasmaflo AP-08Hを使用したもの(I群、10例)、新開発の残留血濃縮器ASA-1200を使用したもの(II群、10例)に分け、血液濃縮を行い、血液成分の変化を比較検討した。
両群とも、血球成分は有意に濃縮され、両群間に差は認めなかった. 遊離ヘモグロビンは両群とも軽度の上昇を認めたが、有意ではなかった。血清蛋白は、I群では全く濃縮されなかったが、II群では、各蛋白成分とも有意に濃縮されていた。
以上より新開発の残留血濃縮器は血液濃縮に有効であり、従来使用されていたものに比し、より有用であると考えられた。
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仲田 勲生, 徳永 裕之, 石原 茂樹, 鈴木 信司, 赤間 宏, 副島 健市, 小柳 仁
1985 年14 巻3 号 p.
1516-1519
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環血濃縮専用フィルターHemo-Concentrator®を用いSingle Pass Ultrafiltration (SPUF)(1回の濾過により得られた任意の濃縮血を直接送血する)により回路内希釈残血の濃縮・返血を試みた。対象はASD3例, MVR2例, CABG1例であった。1433±314mlの回路内残血から流量50~200ml/分, 陰圧300~400mmHgで700±163mlを限外濾過し, 股静脈から9.5±1.8分で直接送血した。1回の濾過でHtは24.2±2.6%から42.0±42%, TPは3.5±0.2g/dlから8.1±2.6g/dlに上昇した。血液生化学的検査では大分子量物質は億過に比例して濃縮され, 小分子量物質は変化なかった。この濃縮血の返血により患者のHtは約26%から32%に上昇した。同時期に施行された開心術で, 回路内希釈残血をそのまま送血したControl群6例と, SPUF群とを比較した。出血量ではSPUF群の方が少なかったが有意差はなかった。血液生化学検査でも両群間に有意差はなかった。SPUFにより体外循環終了直後から, 適切な濃度の血液を返血でき, 血液節約・ボリューム管理に有力な手段である。
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―Free Hemoglobinの除去―
副島 健市, 小柳 仁, 中野 礼子, 鈴木 進, 酒井 良忠
1985 年14 巻3 号 p.
1520-1522
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
開心術における心筋保護液の大量使用や無輸血体外循環に伴う血液の過度希釈, また溶血はしばしば問題となることがある。血液希釈に対し我々は, 東レ社製B1-200を用いているが, 除水率, 血液充填量, また血中遊離ヘモクロビン(Free Hb)の除去能に問題点を感じ, これらに対して新しい血液濾過器(HF)を試作し, 性能について検討を行った。との装置は, 充填量75mlのpolymethylmetharylateを用いたhollow fiber型でUFR22ml/hr/torrの性能を有している。性能試験は人工心肺に用いた残血で行った。その結果血液を平均68.8%に濃縮した時Free Hbは170.8%に, また総蛋白(TP)は175.7%に濃縮されている(有意差なし)。これを濾液中に排泄された絶対量の比率でみてみると, Free Hbの平均10.9%に対しTPの平均は2.9%と有意差(P<0.01)をもってFree Hbの方が多く除去されていることがわかった。今後はさらにFree Hbの除去率を撰択的に高めるよう研究をすすめるつもりである。
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高本 真一, 許 俊鋭, 長谷川 和康, 横手 祐二, 尾本 良三, 見目 恭一, 仲野 孝, 関口 敦, 原本 敏正, 駒木 聡, 中光 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1523-1526
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
操作が簡単で緊急時の大量出血にも応じられる局所ヘパリン化方式自家血輸血装置「Hemosaver」を開発した。回路は吸引用ポンプ, 貯血槽, 気泡探知器と回路遮断器, 送血用ポンプ, Swankフィルター, プレート型加温器が直列に連なり, 吸引口近くでヘパリンが, 送血口近くではプロタミンが点滴ポンプにてコントロール注入される。ポンプ流量, 総送血量がデジタル表示される。全身ヘパリン化は最少限でACTは体内で200秒前後に維持される。この装置を解離性大動脈瘤4例, 腹部大動脈瘤5例, 縦隔腫瘍1例に用いて, 他家輸血量の大幅な減少を見た。術後血小板は大量自家血輸血の場合減少を見たが腹部動脈瘤手術の場合には変化がなかった。溶血は輸血量によるが一応容認できる範囲内で, 術後腎機能には変化を与えなかった。呼吸機能にも悪影響は及ぼさなふった。Hemosaverは操作性に優れ, 臨床的にも安全で有用な自家血輸血装置である。
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田宮 達男
1985 年14 巻3 号 p.
1527
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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服部 良二, 福山 守, 坂井 隆, 矢田 公, 草川 實
1985 年14 巻3 号 p.
1528-1531
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環において補体が活性化され, 生体に悪影響を及ぼしていると考えられているがその機序は明らかでない。そこで今回我々は成人開心術症例につき, 補体プロフィール(CH
50, C
3, C
4)の変動を, 無血体外循環群(以下無血群と略す, n=8)と充填血体外循環群(以下充填血群と略す, n=7)に分けて比較検討し, さらにin vitroにて人工材料が補体に及ぼす影響を検討した。充填血群では,バイパス時間とともに, C
3, C
4双方が同様に減少したのに対し, 無血群ではC
4は減少が軽度で, C
3のみが減少した。又, 実験的にも同様の結果が証明された。以上より, 体外循環そのものによる補体の活性化は主にalternative pathwayを介し, 同種血輸血によってさらにclassical pathwayも活性化され, より複雑な補体の活性化が起こると考えられ。補体の変動からみると, 無血体外循環の方が生体にとって有利である。又, 今後さらに生体適合性が良好で, 補体のalternative pathwayを活性化しない人工材料の開発が望まれる。
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鈴木 好夫, 二瓶 宏, 三村 信英, 鈴木 幸夫, 上田 正人, 布施 勝生, 菅野 恒博, 酒井 良忠
1985 年14 巻3 号 p.
1532-1535
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
完全体外循環開心術後にpost-perfusion syndromeと呼ばれる合併症を生じることがある。この症候の成因に補体アナフィラトキシンC3a, C5aの関与が推測されている。このことは医用器材と血液とのかかわり合い, すなわちbiorompatibilityへの多大な関心をもたらすことになった。
今回, 気泡型人工肺BOS-10Sと膜型人工肺CMLを用いて行なった開心術6例の際,経時的に白血球, 血小板, CH50, C3, C4, C3a, C5aを測定し以下の結論をえた。(1) 白血球は30分後に術前値の61.7%に低下しその後反跳する。血小板数は不変。(2) C3, C4, CH50の値は経時的に変化しない。(3) 術中に血中C3aは5分後まで上昇せず以後急激に増加し前値の15倍に達する。この時, 静脈側と動脈側でC3aの値に差がない。(4) 術中, C5aも静脈側, 動脈側とも上昇が認められた。
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―FUT-175を用いた実験的検討―
宮本 裕治, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 白倉 良太, 中田 精三, 笹子 佳門, 西垣 恭一, 高見 宏, 川島 康生, 北村 肇 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1536-1539
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
人工心肺使用体外循環において血中補体が活性化され, その時出現するアナフィラトキシンが術後の肺, 腎等の合併症の誘因となると言われている。ところがこの活性化を抑制する試みはまだ見られない。そこで我々はこの補体活性化を抑制しひいては術後の合併症を予防しようと考えた。先ず補体活性化抑制作用の強いヘパリンを用いず人工肺及び回路のみのmodel circuitにおいて補体活性化のメカニズムを知り, 次に再使用人工肺及び補体活性化阻害剤FUT-175の効果を検討した。その結果,
1. model circuitではclassical pathway及びaltemative pathwayの両者が活性化されたが, classcal pathwayの活性化の方が強かった。
2. 再使用人工肺によって補体活性化は低下していた。
3. 3mg/500mlのFUT-175でmodel circuit中の補体活性化を強く抑制することができた.
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猪狩 次雄, 星野 俊一, 岩谷 文夫, 阿部 俊文, 安藤 正樹, 高野 光太郎, 丹治 雅博, 佐戸川 弘之, 渡辺 正明, 元木 良一 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1540-1547
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環中のTXA
2生成の変動を定量的に代謝産物であるTXB
2を測定することで15例の弁膜疾患に観察した。15例中8例にはPGH
2よりTXA
2を合成する酵素を阻害せんと開発されたOKY-046を投与し,本剤が体外循環中の血小板保護剤として効果があるかを検討した。TXB
2は体外循環開始により急激な増加をみて, 以後漸減した。OKY-046は体外循環中のTXB
2の増加を有意に抑制したが, 血小板数や白血球数の変動, 微小血栓の指標としたSFPや送血側に置いたフィルターの走査電顕像には差異はなかった。血行動態の面でも有意の差異は認められなかったが, 平均肺動脈圧や肺血管抵坑の減少傾向がOKY-046投与例でみられたことから, 肺循環等を検討して行くことでTXA
2合成阻害による効果が解明されるのではないかと考えられた。
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―prostacyclin誘導体単独投与とヘパリン単独投与の比較―
高浜 龍彦, 須藤 憲一, 小塚 裕, 和気 一夫, 川内 基裕, 横井 泰, 水野 明, 浅野 献一, 風間 睦美, 森岡 真知子, 岩田 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1548-1551
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
3時間のtotal cardiqpulmonary bypass(CPB)を施行し, 抗凝固剤としてprostacyclin誘導体(APS-306)単独投与を行った場合と, ヘパリン3mg/kg単独投与を行った場合とで, 血小板および血液凝固線溶系に及ぼす影響を対比検討した。両群ともに3時間のCPB中, 酸素加能は良好に保たれ, 何らの支障も生じなかった。prostacyclin誘導体単独投与では, 血小板は可逆的な凝集抑制により保護され, 人工肺の膜内面への付着も認められなかったが, fibrinogen, α
2-plasmin inhibitorは経時的に有意な減少が認められ, 血液凝固線溶系の活性化は完全には阻止できないと考えられた。これに対して, ヘパリン3mg/kg単独投与では, fibrinogen, α
2-plasmin inhibitor, XII-factorは有意の変動を示さず, 血液凝固系は完全に抑制可能であるが, 人工肺の膜内面に多数の血小板付着が認められ, 血小板に対しては機能的形態的障害を残すものと考えられた。
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水野 明
1985 年14 巻3 号 p.
1552
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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伊藤 敏行, 佐々木 孝, 数井 暉久, 小松 作蔵, 原宙 英之, 大野 猛三, 夷岡 廸彦
1985 年14 巻3 号 p.
1553-1556
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
弓部大動脈瘤切除術に対して超低体温下脳循環停止法は有用と考えられるが、今回われわれは体性感覚誘発電位(SSEP)を測定し、脳虚血許容時間について検討した. また実験的検討にもとづきCCA法によって弓部大動脈瘤切除、人工血管置換術を施行し好結果を得た. 実験群は最低直腸温(RT)とCCA時間によりI群(N=12)RT20℃;30分(N=5)、45分(N=4)、60分(N=3)、およびII群(N=11)RT15℃;60分(N=5)、90分(N=3)、120分(N=3)に分けた. 灌流冷却の経過に伴いSSEPは漸減、消失した. 一定時間のCCA完了後、灌流加温を開始したが、SSEPは次第に回復し、RT36℃の時点でその振幅は、対照値に比しI-30分群83±5%(M±S. E.)、45分群で37±6、60分群38±4と、30分群で有意(P<0.01)に高値を示した. また、II群では60分群75±3、90分群52±7と60分群で有意(P<0.05)な回復を示したが、120分群ではSSEPの回復は認められなかった. この結果RT20℃で30分、15℃では60分が脳虚血許容と考えられた.
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三枝 裕幸, 新美 隆男, 吉田 勝彦, 小川 邦泰, 末永 義人, 竹内 栄二, 野垣 英逸, 川村 光生, 田中 稔, 村瀬 允也, 阿 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1557-1560
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
超低体温体外循環法に伴う合併症の一つであるmicrobubblesによる塞栓症の可能性を超音波エコー法によって検討した。循環式の実験回路に2種の膜型肺(Merasilox 2.5, Capiox 3.3)と4種の気泡型肺(Harvey R-1500(旧), Harvey H-1500(新), Shiley 070, BOS5)を組み込み, 回路内プライミソグ液を20℃まで冷却した状態から36℃まで加温して, 途中発生するmicrobubblesを検討した。結果は, 膜型肺は2種とも殆どmicrobubblesを視認できなかったが, 気泡型肺は4機種とも, microbubblesの発生をみた。また, 気泡型肺も, 加温を緩徐に行なえば, microbubblesの発生は比較的軽減できることがわかった。この点から20℃超低体温法には,膜型肺が有利と考えられた。
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北浦 一弘, 和田 行雄, 門脇 政治, 佐々木 義孝, 大賀 興一, 岡隆 宏
1985 年14 巻3 号 p.
1561-1564
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
雑種成犬15頭を使用し, 低体温循環遮断後の脳組織血流の変化を測定した。冷却, 加温は拍動型ポンプを用い, 灌流量は100ml/kg/minの一定量とした。脳組織血流の測定は水素クリアランス法を応用して行った。拍動流による常温完全体外循環時には脳組織血流は減少せず良好であったが, 冷却後は食道温20℃で約38%と減少した。また復温時にはほぼ遮断前常温体外循環時の値に復した。しかし20℃60分循環遮断前後の脳組織血流を比較すると, 遮断解除直後には, 遮断前に比し同食道温(20℃), 同灌流量, 同動脈圧にもかかわちず約300%と著明な増加を認めた。以上の結果より, 循環遮断中に進行する微小血管の拡張のため, 遮断解除直後には血流再開により代謝に対し過大な脳組織血流の増大が起こり, この増大がreperfusion injuryの一因をなす可能性が考えられるが, この時期における脳代謝, 脳組織, 脳循環の面よりのより詳細な研究が必要である。
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―体外循環症例における検討―
大谷 正勝, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 榊原 哲夫, 金香 充範, 門場 啓司, 西垣 恭一, 笹子 佳門, 宮本 裕二, 野村 ...
1985 年14 巻3 号 p.
1565-1568
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
後天性弁膜疾患13例において, 体外循環中の血小板凝集放出反応をThromboxane B
2(TxB
2), 血小板第4因子(PF4), β-Thmmboglobulin(β-TG)の動態から調べ, Prostaglandin E
1(PGE
1)が及ぼす影響を検討した。I群(PGE
1非投与群, 5例)では体外循環開始後60分間亀に血小板数は有意に減少した。しかし, PGE
1を体外循環開始後, 持続投与したII群(50ng/kg/min. 4例)及び皿群(100ng/kg/min. 4例)では体外循環開始後60分間の減少率がI群に比べて有意に少なかった。血小板放出反応は体外循環開始後60分間でPF4, β-TGの著明な増加がI群において認められた。II群, III群ではPF4の増加率がI群に比べて有意に低値であった。β-TGの増加率は各群間に差を認めなかった。TxB
2は各群において, 経過中, 有意な変化を示さなかった。PGE
1は体外循環開始後の血小板数減少を抑え, PF4の放出反応を抑制した。
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―連続脱血と断続脱血との比較―
貝塚 秀樹, 日野 恒和, 入江 利明, 笠置 康, 板岡 俊成, 長柄 英男, 横山 正義, 和田 寿郎
1985 年14 巻3 号 p.
1569-1572
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
われわれは, 体外循環装置開発のなかで, ローラーポンプを用いての断続的静脈脱血と静脈拍動について検討をつづけてきた。今回は, ローラーポンプによる連続脱血(定常脱血)と断続脱血(間欠脱血)について, その回路内圧変動の様相を検討するとともに, 脱血回路内のcompliance chamberの過剰陰圧防止効果とともに, 圧変動緩衝効果について検討し, 以下の結論を得た。
1) ポンプ回転に伴なう回路内圧変動では, 連続脱血と間欠脱血との間に著しい差を認めなかった。
2) 回路内compliance chamberの緩衝作用は定常脱血においてより著明に認められた。
本検討の意義は, 回路の構成, ポンプの種類などにより大きく影響されると考えられ, 個々の回路の特性については, さらに充分な検討が必要と考えられる。
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松倉 裕美, 酒井 圭輔, 田辺 達三, 村松 宰
1985 年14 巻3 号 p.
1573-1576
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環126例を用いて種々検査値にみられる体外循環中及び後の変動を測定し, 作成した二次応答面モデル式とコンピューターグラフィック法の一つである三次元グラフ法によって統計学的検討を加え体外循環侵襲について考察を加えた。その結果次の事が明らかとなった。1) 体外循環中測定した各項目は加令変化, 高度血液稀釈, 低体温の程度による二相性変化などの影響が大きく正規分布を示さず, 二次応答面モデル式及び三次元グラフによる検討が有用であった。2) 乳酸代謝は低体温より体外循環時間の影響が大きかった。3) 体外循環中の糖代謝抑制は解糖系の亢進が主体であり, 7病日後も影響が遺残する例がみられた。4) LDH, GOT, CPKは相互に関与し合っているが, 体外循環侵襲の判定にはCPKが有用と考えられた。5) 体外循環初期にブラディキニン血中濃度の著明な上昇がみられ, アドレナリンよりはブラディキニンが血圧低下に関与している可能性が示された。
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阿部 稔雄
1985 年14 巻3 号 p.
1577
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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山口 保田, 宮幸 彦, 松崎 智哉, 仲倉 裕之, 伊藤 敏行, 横山 秀雄, 星野 豊, 佐々木 孝, 金子 正光, 小松 作蔵
1985 年14 巻3 号 p.
1578-1582
発行日: 1985/06/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ローラーポンプの回転変化により拍動流が得られるGambro拍動流ポンプを臨床で用い(I群23例)、その効果についてPBP拍動流群(II群26例)、定常流群(III群24例)を対照に比較検討を行なった。体外循環中の分時溶血量は各群間に有意差はないが、I群では高値を示す症例もあった。尿量は各群間に有意差はなかったが、II群でより良好であった。血漿レニン活性は体外循環開始後よりI、II群ではIII群に比べ低く経過し、終了時ではそれぞれP<0.1、P<0.05の差が認められた。全末梢血管抵抗は体外循環開始後、各群ともに上昇したが、開始15分より90分までI、II群ではIII群に比べ有意に低く経過した。またI群の拍動流時、回路内圧の変動、およびmicrobubbleの発生について調べたが特に問題はなかった。以上より、この拍動流ポンプは、安全でかつ生理的効果を期待しうるが、血液障害の問題は更に検討を要すると思われた。
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