日本歯科保存学雑誌
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54 巻 , 5 号
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原著
  • 鈴木 二郎, 岡田 周策, 横田 兼欣, 常川 勝由, 寺中 敏夫, 石井 信之
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 297-305
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    近年,根管充墳歯の支台築造には,コア用レジンや接着性レジンセメントを使用する症例が増加し,支台築造に使用するレジンに対する酸化亜鉛ユージノール系シーラー(ZOEシーラー)によるラジカル重合阻害の可能性が指摘されている.本研究は,ZOEシーラー使用後のレジン材料の表面硬度と,根管象牙質に対するポスト引き抜き抗力に及ぼす影響について詳細に確認することを目的とした.実験には,市販の各種ZOEシーラー(キャナルス®,ニシカキャナルシーラー®・ノーマルおよびクイック)および対照として非ZOEシーラー(キャナルス®N)を用い,レジン材料としてコア用レジン(クリアフィルDCコア,ユニフィルコアEM)および接着性レジンセメント(スーパーボンドC&B,レジセム)を供試した,実験方法としては,シーラーと接触したレジン表面のブリネル硬度を測定し,完全硬化および実用的硬化直後,さらにコア用レジンについては光照射の有無による影響も検討した.また,ZOEシーラーを用いた根管充填後,コア用レジンとファイバーポストを用いて支台築造を行い,ファイバーポスト引き抜き試験を行った.その結果,ZOEシーラーの完全硬化(24時間)後,コア用レジンに光照射すれば,レジンの硬さ低下は認められず,硬化時間の速いZOEシーラーを用い,コア用レジンに光照射すれば,根管充填後の即日処置による影響が減弱された.接着用レジンセメントのスーパーボンドC&Bおよびレジセムについては,ZOEシーラーによるレジンの硬さ低下は認められなかった.ファイバーポスト引き抜き強度は,ZOEシーラーを用いた場合でも低下しなかった.以上のように,根管充填後の根管内にレジン材料を用いて支台築造を行う場合,使用する材料あるいはZOEシーラーの硬化状態によっては,レジンの重合硬化に及ぼす影響は少ない可能性が示された.
  • 安藤 進, 市野 翔, 大城 麻紀, 渡邉 珠代, 飯野 正義, 古宅 眞由美, 白土 康司, 藤井 雄介, 宮崎 真至, 宮 直利
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 306-313
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    Tooth wearは,齲蝕によらない歯質の欠損につながる多因子性疾患であり,酸蝕,摩耗あるいは咬耗などの因子が相互に影響することによって発現する.その発症の機序は複雑であり,これらが十分に解明されたとはいいがたい.したがって,歯質に及ぼす咬合などの破壊的な因子と口腔内に用いられる食品などの化学物質との相互作用が,そのwear挙動に及ぼす影響についての検討は急務である.そこで著者らは,酸蝕関連物質に浸漬されたエナメル質に咬合運動をシミュレートした衝突摩耗を負荷したのち,wear量の測定および表面性状の観察を行うことによって,そのwear挙動を検討した.その結果,衝突摩耗量および表面粗さは,浸漬した関連物質によって異なるものであった.特にwearの程度は,介在した関連物質のpHおよび組成の影響を受けたことから,臨床においてこれらの食品などの摂取は十分に留意すべきであることが示された.
  • 磯辺 量子, 吉嶺 嘉人, 松本 妃可, 牛島 寛, 坂田 篤信, 佐藤 浩美, 西原 正治, 赤峰 昭文
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 314-321
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    受動的超音波洗浄(PUI)は,根管内の細菌減少の改善に使用される.微小な流れやキャビテーションなどの生物物理学的力がPUIにおいて重要な働きをしているであろうが,このメカニズムに関する詳細は明らかになっていない.この論文の目的は,高速度カメラを用いて,PUIにおける生物物理学的力の関与を解明することである.太さが異なるファイル(#15, #20, #25, #30, #35)を水中に沈め,異なる超音波出力において振動するファイルの移動量を計測した.さらに,ファイル周囲のキャビテーション気泡を観察し,根尖領域における流れをガラスビーズトレーサーを用いて観察した.水中では,細い超音波ファイルほど,また超音波出力が高いほどファイルの振幅は大きかった.キャビテーション気泡は,模擬根管内においてファイルの先端部と共振点でのみ観察された.ファイルの直下1mmほどの領域では活発な流れが観察された.ファイルを底部から5mmに設置すると,高い出力でも流れは比較的穏やかであった.結論として,細いファイルを根尖近くに設置し,低出力で洗浄液を活性化する方法が,効果的なPUI法として推奨される.
  • 田村 ゆきえ, 石山 智恵美, 碓井 貴子, 生形 奈緒子, 鈴木 英梨子, 坪田 圭司, 宮崎 真至, 日野浦 光, 松村 正鴻
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 322-330
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    近年,光重合型レジンの歯質接着システムとして,チェアタイムの短縮および煩雑な操作ステップを減少させる目的から,エッチング,プライミングおよびボンディング操作を1回としたシングルステップシステムが臨床に応用されている.これらの歯質接着システムの評価には,接着強さ試験法が一般的に用いられている.しかし,象牙質に対する接着強さの測定法は,各研究機関によって異なっており,同一の製品であったとしても,研究機関によってデータにばらつきが生じている.したがって,接着試験を行うにあたっては,統一された規準に従うことが必要となるが,これに関する検討は少ない.そこで,接着試験法の規格化に関する研究として,特に象牙質接着試験時の被着面積およびクロスヘッドスピードの違いが,その接着強さに及ぼす影響について,引張接着試験法を用いて検討を行った.接着試験には,Clearfil Mega BondおよびClearfil tri-S Bondを用い,コンポジットレジンとしては,いずれの接着システムにおいてもClearfil AP-Xを使用した.ウシ下顎前歯の歯冠部象牙質を耐水性シリコンカーバイドペーパーで研削したものを被着面とした.被着面積を2.4mmあるいは4mmに規定して,接着試片を作製した.これらの試片を24時間水中保管した後,クロスヘッドスピードを0.1, 0.5, 1.0, 5.0および10.0mm/minとして,その引張接着強さを測定した.その結果,供試した接着システムの象牙質接着強さは,被着面積およびクロスヘッドスピードの影響を受け,被着面積の小さいものほど,そしてクロスヘッドスピードが速くなるほど接着強さが上昇する傾向が認められた.
  • 中村 裕子, 橋本 研, 小此木 雄, 牛込 瑛子, 橋島 弓子, 高橋 哲哉, 小林 健二, 小谷 依子, 鈴木 玲爾, 坂上 宏, 申 ...
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 331-340
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,次亜塩素酸電解機能水(Hypochlorous-acid Electrolyzed Water: HEW)による宿主細胞への傷害性と,アルカリホスファターゼ(ALP)活性に与える影響を検討することである.HEWは,炭酸と塩化ナトリウム(NaCl)溶液を電気分解することによって生成される中性(pH7.2)で有効塩素濃度650ppmを有する電解水である.その殺菌効果は,陰イオンの活性酸素とHClOによるものと考えられている.HEWとNaOCl溶液のヒト歯髄線維芽細胞(HPC),ヒト歯根膜線維芽細胞(HPDL),ヒト末梢血好中球(PMN)およびヒト皮膚線維芽細胞三次元培養モデルに対する傷害性について,MTT assayを用いて検討した.HPC, HPDLおよびPMNを細胞培養用シャーレにて培養し,各濃度に調整したHEW, NaOCl溶液で処理した.HEWとNaOCl溶液は,濃度と作用時間に依存して細胞傷害性を示した.HEWの細胞傷害性はNaOCl溶液よりも低かった.次にHEWおよびNaOCl溶液のHPCのALP活性へ与える影響を,ALP assay kitを用いて検討した.HEWおよびNaOCl処理は,いずれも,HPC細胞のALP活性を低下したが,HEWのほうがはるかに軽微であった.三次元培養モデルにおいては,HEWの細胞傷害性はほとんど観察されず,NaOCl溶液のみが傷害性を示した.本研究は,HEWによる細胞傷害性は,NaOClよりも低く,根管洗浄剤として使用できる可能性を示唆する.
  • 川上 克子, 徳田 雅行, 山下(森元) 陽子, 梶原 武弘, 藤澤 真理, 宮下 桂子, 江本 真規子, 鳥居 光男
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 341-346
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究では,最終拡大号数を3サイズに設定してニッケルチタン(NiTi)ファイル(エンドウェーブ™)で根管形成をした後,最終拡大ファイルと同じテーパーのエンドウェーブ用のマスターポイントで単一ポイント根管充填を行い,ポイントの根管壁への適合性を評価した.すなわち,エンドウェーブ™(.06テーパー)を用い,#30, #35もしくは#40を最終拡大サイズとして湾曲根管を有する透明プラスチックブロックを形成し,根管充填を行った後,試料を根尖から1mm間隔で5mmまで,根管長軸と垂直な方向に試料を切断した.画像解析ソフトウェアにより各切断面のマスターポイント充填率(%)およびシーラー層の厚みの最大値(mm)を求め,ANOVA検定にて統計処理を行った.その結果,#40群の根尖孔から1mmで最も低い充填率を示した.さらに,#40群は根尖孔から1, 2, 3および4mmの距離で他の号数よりも低い充填率を示したが,根管口に近づくにつれて値は上昇した.根尖孔から5mmの位置では,すべての号数で高い充填率を示した.#40群では,1mmと他のすべての位置間で,2mmと3, 4および5mm間で,#35群では1mmと3, 4および5mm間でマスターポイント充填率に有意差を認めた.また,#30群と#40群間ではすべての位置で,#30群と#35群間では1, 4および5mmで,#35群と#40群でも1mmの位置で有意差を認めた.マスターポイントと根管壁との間の,シーラー層の厚みの最大値は,1mmの位置では#30群と#40群,#35群と#40群で,2mmの位置では#30群と#40群で,4mmと5mmの位置では#30群と#35群,#30群と#40群で,それぞれ有意差を認めた.これらから,拡大号数が大きくなるほど,また根尖部に近くなるほど適合性が低下することが示された.
  • 山田 正, 柵木 寿男, 奈良 陽一郎
    原稿種別: 原著
    2011 年 54 巻 5 号 p. 347-360
    発行日: 2011/10/31
    公開日: 2018/03/23
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,動的荷重がハイブリッドセラミックアンレー修復の接着に及ぼす影響について検討することである.ヒト抜去健全下顎大臼歯32本に規格化MODB窩洞を形成した.その後,象牙質コーティング,印象採得,作業用模型作製後,ハイブリッドセラミックアンレーの作製・合着を行い,修復を完了した.次に,修復試料を動的荷重負荷群(+群)と非負荷群(-群)とに区分し,(+)群に対しては複合機能試験機を用いて37℃水中における16.0kgf×30万回(90回/分)の繰り返し動的荷重を負荷した.その後,各条件下における中心窩直下の髄側壁(P壁)と,近心軸側壁(A壁)に対するmicro-tensile bond strength (μ-TBS)値を測定した.データは二元配置分散分析,t検定の後に,ワイブル分析によって評価検討した.実験の結果,両窩壁へのμ-TBS値[MPa](SD)はP(+):7.94(2.20), P(-):10.53(1.60), A(+):9.56(2.16), A(-):10.12(2.44)であった.分析の結果,P壁のμ-TBS値は動的荷重の負荷によって有意(p<0.01)に低下したが,A壁のμ-TBS値は動的荷重の有無にかかわらず同等であった.また,動的荷重(-)条件下においては,P壁とA壁のμ-TBS値は同等であるものの,動的荷重(+)条件下のP値はA値に比べ有意(p<0.05)に小さいことが判明した.ワイブル係数(m値)はP(+):4.03, P(-):7.39, A(+):4.73, A(-):4.37であり,分析の結果,動的荷重の負荷はP壁における接着信頼性を有意(p<0.01)に低下させることが判明した.また動的荷重(-)条件下において,P壁はA壁に比べ有意(p<0.01)に接着信頼性に長けているものの,動的荷重(+)条件下の接着信頼性は同等となることが判明した.以上から,動的荷重因子による影響は窩壁によって異なる挙動を示し,P壁では動的荷重の負荷によってμ-TBS値・接着信頼性がともに有意に低減し,A壁ではともに影響を受けないことが明らかになった.さらに,動的荷重(-)条件下では,A壁と同等のμ-TBS値を示し接着信頼性に優れていたP壁は,動的荷重負荷の影響を受け,A壁よりμ-TBS値は有意に小さな値となり,接着信頼性においては同等となることが明らかとなった.
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