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町山 悦子, 大河原 久子, 壁井 信之, 岡野 光夫, 片岡 一則, 山田 明夫, 桜井 靖久, 平田 幸正, 近藤 保
1983 年 12 巻 2 号 p.
564-567
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
筆者らの単層に培養したラット膵ラ氏島細胞を用いるHybrid型人工膵臓は, 生理的な2相性のインスリン分泌特性が得られ, 長期にその機能を維持できる。(昨年度報告)この培養細胞を封入する1. culture chamberのデザインと, 2. ラ氏島細胞の保護膜について, 物質拡散性と抗血栓性の面から検討を加えた。膜は, 従来適当とされたザルトリウス再生セルロース膜に比べ, Nucleporeの方がはるかにインスリン透過性が良く, perifusion実験でもインスリン分泌特性は維持されることがわかった。chamberについては, 従来のローズ式ではよどみ域が多い欠点があるため, U字型流路のchamberを新たに作成し, 抗血栓性材料(セグメント化ポリウレタン)をコーティングし, 曲率半径5~20mmの4種類について, 1. 動物実験による血栓形成時間, 2. 油膜法による流れの可視化実験を行った。その結果, 曲率半径10mmが最も良好であった。
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近藤 達平
1983 年 12 巻 2 号 p.
568
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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清水 健, 入山 正, 岩波 洋, 中島 昌道, 早瀬 修平, 会田 博, 坂本 滋, 長末 正己, 金戸 善之, 成田 久仁夫, 彦坂 博 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
569-572
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
長期間ECMOならびに左心補助循環を目的とした装置を作製した。ストレッチャー式移動ベット下にローラーポンプ2基とバッテリーおよび拍動流発生装置をそなえたもので, 補助循環を中断することなく手術室, ICU間を移動できるものである。ECMOを行う場合は膜型人工肺を設置し, two pumps systemで補助循環を行う。左心補助循環の場合は上行大動脈-左室バイパスあるいは上行大動脈-左房バイパスで行う。以上の装置および補助循環法について述べると共に重症連合弁膜症の術後に左心補助循環を39時間行ってポンプ離脱に成功した症例について報告した。また, われわれが作製したシリコンチューブ製毛細管型膜型人工肺の構造と機能について述べた。この膜型人工肺は最高113ml/min/M
2の酸素摂取が可能であった。ガス回路にhigh frequency oscillation(10hrz.)を用い酸素を吹送したが, 定常流酸素吹送に比してガス交換に対する効果は少なかった。
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小林 繁夫, 高橋 英世, 外山 幸雄, 西山 博司, 伊藤 博之, 苅谷 庸子, 榊原 欣作, 青木 利三郎, 若井 秀治, 中山 芳則, ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
573-576
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ローラ型拍動流ポンプを使用した左房―大動脈バイパス方式による左心バイパスにおいて, 左心系血行動態についてはほぼ満足すべき成績がえられるようになったが, バイパスを継続するうちに肺高血圧が発生し, このために発生したと思われる低酸素血症を呈する実験例が散見された。その成因の一つとして左房内にかかる過剰陰圧が考えられたので, その減殺方法を検討し, バイパス回路に改良を加え脱血回路における過大陰圧の防止は可能となった。しかし, その後の実験例においても肺高血圧が発生し, 動脈血低酸素症の発生する実験例がなおみられた。これらの実験例について検討した結果, 左心バイパス中の肺高血圧は過剰脱血圧による肺静脈の虚脱だけに由来するものではなく, 他の因子も関与すると考えられ, とくにイヌを用いた実験では, その呼吸管理も大きな因子となると思われ, この点についてはなお今後も検討を重ねたいと考える。
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S. TAKATANI, L. GOLDING, R. SUKALAC, R. YOZU, R. LOCKER, J. PROUDFIT, ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
577-580
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
我々は、臨床応用を目的とした短期間(2W間以内)PUSHER PLATE型左心補助SYSTEMの開発を行なってきた。今回主に我々の駆動装置について報告する。設計にあたり、患者に対し安全、かつ有効な左心補助が得られる様に、使う側に、簡明で使い易い様にと留意されている。この駆動SYSTEMは、1) MONITOR AND ALARM STATUS UNIT 2) CONTROL UNIT 3) PNEUMATIC UNIT 4) POWER UNITの4つのUNITからなっており、駆動中の移動が可能である。特に2) のCONTROL UNITには、あらゆる患者の最適駆動条件に対処できる様にMANUAL, FIXED, SYNCHRONOUS MODEに加え、PUSHER PLATE型の利点を生かした、VARIABLE PULSE RATE MODEを備えている。これらのTOTAL SYSTEMは、IN VITRO、IN VIVOの実験において満足する結果を得た。
なおこの駆動SYSTEMは、CLEVELAND CLINICにおいて既に臨床応用が開始されている。
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高木 啓之, 高木 登志子
1983 年 12 巻 2 号 p.
581-584
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
我々の左心補助理論に基けば, 重症左心不全循環系では, 単なる流量補助は左室負荷となり, 左室のunloadingを同時に必要とする. しかし, 現在までの左室バイパス法では, 左室に大口径の導管を接続することは技術的に容易ではない. そこで, 左房バイパスの技術的容易性と左室バイパスの血行動態的優秀性とをドッキングさせることを考えた. 即ち, 心拍出量の60~80%を左房バイパスし, 残りの20~40%を左室バイパスさせれば, 左室の導管は小口径ですみ, 手術手技も容易となる. 我々の制御器は, 左室導管と左房導管とをYで心臓外で連結しても, 左室から左房への逆流はおこらないので, 上記目的は容易に達成されることが, 犬の実験で確められ, Total l-heart bypassと左室の完全なunloadingとが実証された.
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稲生 紀夫, 井街 宏, 藤正 巌, 宮本 晃, 滝戸 直人, 中島 正治, 満渕 邦彦, 本村 喜代二, 塚越 茂, 河野 明正, 小野 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
585-588
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
補助心臓は世界で約180例に適用されているが, 適用例の長期生存率は約20%と報告されている。この低い生存率の重要な原因の一つに補助心臓の適用時期が遅すぎることが考えられる。本研究は循環補助の重要な目的の一つである全身循環維持の観点から補助心臓の適用時期の限界を明確にすることを目的とした。方法として完全人工心臓装着ヤギを利用して定量的心不全モデルを作成し, 全身循環不全に対して補助心臓を適用するというプロセスをモデル化することによりこの問題にアプローチした。その結果, 循環補助の開始時期, 補助率, 効果を決定するうえで, 重要な全身循環の回復, 悪化を現わす定量化された指標を得ることが可能になると考えられた。また心拍出量が40ml/kg/minとなるような循環不全では3時間以内に補助心臓による強力な循環補助を開始しなければならないこと, 臨床例においてはさらに厳しい条件が加わることが考えられた。
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石塚 利博, 鈴木 幸司, 清水 滋, 山本 裕之, 三田村 好矩, 三上 智久
1983 年 12 巻 2 号 p.
589-592
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
モータ駆動人工心臓は, 将来の完全埋め込み型ポンプとして有望視されているが, 回転運動を直線運動に変換する機構やモータの高速回転数を心拍数に減速する機構に困難がある。今回我々は, ボールネジを用いて, 回転-直線運動変換と減速を同時に行なう機構を持つモータ駆動ポンプを考案した。すなわちモータのロータとボールネジのナットを固定する事で, モータの回転を減速してネジ軸の直線運動に変換する。さらにポンプ内陰圧を設定値以下にし, 能動的に血液充満を行なうため, バネを介してボールネジとプッシャープレートを連結した。パルスモータを用いたポンプを試作し, 模擬循環回路に接続し, in vitro実験を行なった。その結果流入圧の低下に伴ない, バネの伸びが増加して拍出量の低下が補償された。また流入路完全閉塞時もポンフ内陰圧は, 最大-25mmHgとなった。以上よりボールネジとバネを用い, 良好なポンプ駆動が行なえた。
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高橋 英世
1983 年 12 巻 2 号 p.
593
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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森本 保, 宮村 一男, 大井 勉, 坂井 隆, 山崎 順彦, 草川 実, 桑名 克之, 井上 政昭
1983 年 12 巻 2 号 p.
594-597
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
教室ではシリコーンホローファイバー型膜型人工肺(以下SHMOと略)の開発をすすめてきたが, 今回開心術への応用を目的に2.4m
2のSHMOを作製し, 小児開心術14例に使用し良好な結果が得られた。
SHMOは膜厚100μ, 内径200μ, 全長20cmのシリコーンホローファイバー24000本から成り, 酸素送入は人工肺のホルダーに装備したマグネットファンにより行い, 気層内のチャンネリングを防ぐよう配慮した。
全例体外循環中の動脈血酸素分圧PaO
2および炭酸ガス分圧PaCO
2は満足すべき値が得られ, SHMOのガス交換能に不安はないと考える。血漿遊離ヘモグロビンの増加量は0.12~0.430, 平均0.273mg/dl/minと低値であった。血小板数は体外循環120分で8.7±0.9万/mlと10万以下となったが, 術後1日には16.5±3.9万/mlに回復し, 比較的良好な結果であると考える。
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大竹 重彰, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 賀来 克彦, 島崎 靖久, 安達 盛次, 前田 世礼, 大谷 正勝, 高 義昭, 田村 謙 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
598-601
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ホローファイバー膜型肺は, 従来の積層型膜型肺に比し, そのキャピラリー構造のため取り扱い性能が優れており, 教室でも昭和57年より本格的使用を開始し, 現在までに46例の開心術に用い, 概ね良好な結果を得た。これらの症例における体外循環中の人工肺流出血の血液ガス分析の結果, 一部の症例において, 生体の酸素需要を完全に満足出来ない場合が存在した。この原因を生体におけるbasal oxygen requirementと人工肺の最大酸素添加能との関係において検討してみると, 現在の膜面積設定では, basal oxygen requirementが人工肺の最大酸素添加能を上わ回わる所が存在するためであると思われた。これより膜型人工肺の設計にあたっては, 必要血流量に対する圧損, 充填量等の工学的側面とともに適応症例における酸素需要を完全に満たし, しかも大き過ぎることのない膜面積の設定が望まれた。
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前田 富與, 中島 進, 表 由晴, 久保 良彦, 鮫島 夏樹
1983 年 12 巻 2 号 p.
602-605
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
肺胞低換気型呼吸不全、オレイン酸投与shunt型呼吸不全を雑種成犬にて作製し、Telmo hollow fiber型膜型肺(1M
2)を使用したV-V、V-A、A-V bypass法別の呼吸補助を検討した。
又、LFPPV-ECCO
2Rに関し若干の検討を加えた。
結果およびまとめ:肺胞低換気型に対し、CO
2除去に関し低流量人工肺灌流にて、いずれのbypass法を用いても良好なる結果を得た。LFPPV-ECCO
2Rの呼吸補助にて、PaO
2は高値を示し、PaCO
2も調節可能であつた。shunt型呼吸不全にて、低流量の灌流にてCO
2除去は得られたが、O
2添加はみられなかつた。
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―糖代謝・乳酸代謝を中心に―
松倉 裕美, 竹田 治土, 酒井 圭輔, 川上 敏晃, 田辺 達三
1983 年 12 巻 2 号 p.
606-609
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
ホロファイバー膜型肺と気泡型肺を用いた実験的体外循環を2時間施行し、ホロファイバー型肺は気泡型肺に比べ、酸素加能にすぐれ、溶血がすくないことを認めた。かかる人工肺性能の向上が手術時の侵襲を少なくし得るかどうかについて各種代謝の面から検討を加えた。
体外循環前値から高血糖がみられ体外循環中持続し両群間に差はみられなかったが、インシェリンはホロファイバー型肺群で早期に著明な増加を認め、I/G比は気胞型肺に比べ有意の改善を示した。乳酸値は両群とも体外循環中増加を続けたが、Δ×L、ΔEhはともにホロファイバー型肺群で体外循環1時間値から好気性代謝の存在を示し、酸素消費率もホロファイバー型肺群で体外循環中から酸素消費がなされていることを示し、気泡型肺群に比べ差がみられた。これらのことから人工肺性能の向上は開心術時の生体に加わる侵襲を少なくし得るものと考えられた。
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―気泡型人工肺と比較検討―
坂井 隆, 宮村 一男, 新保 秀人, 那須 通寛, 並河 尚二, 湯浅 浩, 草川 実
1983 年 12 巻 2 号 p.
610-613
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
最近開発されたSilicone hollow fiber膜型人工肺(SHMO)は従来の人工肺に比べ種々の特性を有する。そこで微小血栓の発生に関与する血小板, 白血球, 免疫グロブリン(IgG, IgM)及び補体(CH
50, C
4, C
3, C
3-a)についてSHMOと気泡型人工肺(Bos-10, Shiley)を用いた完全体外循環(ECC)時の比較検討を行った。対象は中等度低体温法(25~28℃)での開心術例で, SHMO使用群は先天性心疾患6例と後天性弁膜疾患3例で, 気泡型群は先天性心疾患2例, 狭心症4例及び後天性弁膜疾患5例である。次の様な結果を得た。
1) SHMO使用群では, 白血球の変動は気泡型人工肺使用群に比べP<0.02と有意に軽かった。
2) SHMO使用群はIgG, IgM及びCH
50, C
4, C
3, 等血清中の高分子蛋白に影響は少なく, したがって微少血栓の発生も少なくなると考えられた。 3) SHMOはECMO等長時間体外循環の使用に適していると考えられる。
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林 郁夫, 木曽 一誠, 東 茂樹, 内藤 千秋, 鈴木 茂樹, 塩田 哲也, 饗庭 秀則, 薄根 茂雄
1983 年 12 巻 2 号 p.
614-615
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
開心術体外循環症例における溶血防止の方法の一つとして、Poloxamer 188(エキソコルポールミドリ十字社製)投与の効果について調べた。
対象例は、コントロール群6例・エキソコルポール群7例で、いづれも体重40kg以上の成人例であった。エキソコルポールは、推定循環血流量+体外循環充填液量に対して1mg/mlを使用した。
人工心肺は、Travenol社製膜型肺及び回路セット、Sarns社製ローラーポンプを使用した。
両群の血漿ヘモグロビン量を循環推移時間毎に比較した結果、統計学的(ウィルコクソンU検定:p<0.05)には有意差は認められなかった。
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久保 良彦
1983 年 12 巻 2 号 p.
616
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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―送血流によるせん断応力(Shear stress)の影響
須磨 幸蔵, 竹内 靖夫, 井上 健治, 城間 賢二, 小山 雄次, 吉川 哲夫, 成味 純, 金子 秀実, 辻 隆之
1983 年 12 巻 2 号 p.
617-619
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環の合併症としての大動脈解離の原因の一つと考えられる送血流による動脈壁のせん断応力について調べるためにイスを用いて実験を行った。大腿動脈送血においては大腿動脈壁にかかるせん断応力は大動脈壁にかかるそれよりも著しく大きい。大動脈送血では大動脈壁,大腿動脈壁にかかるせん断応力は均等化し, しかも絶対値も小さい。病的動脈壁を伴う高令者の心臓手術においては大動脈送血がより安全である。
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松田 昌三, 山本 信一郎, 栗栖 茂, 大藪 久則, 大橋 秀隆, 橘 史朗, 司尾 和紀, 小沢 修一, 志田 力, 松森 正之, 岡田 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
620-624
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
体外循環下開心術前後のレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の変動を検討してきた結果, 開心術前後にはRAA系の亢進がみられ, 血行動態の不婆定な症例では亢進が顕著であり, 更にRAA系の異常亢進が持続した際には, 生体のホメオスターシスが却って乱されることを示す所見が得られた。このため, このRAA系の亢進をブロックするべくアンギオテンシン変換酵素阻害剤(captoril), 静注用抗アルドステロン剤(canrenoate K), 蛋白分解酵素阻害剤(gabexate-mesilate)を投与し, それらの効果について検討したところ, RAA系のブロックとともに心・腎機能と水分・電解質代謝の改善が認められたことから, 開心術患者管理上有用であるとの結論を得た。
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高 義昭, 広瀬 一, 松田 暉, 中埜 粛, 賀来 克彦, 白倉 良太, 榊原 哲夫, 佐藤 重夫, 田村 謙二, 中谷 武嗣, 小林 順 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
625-628
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
1980年1月から1982年3月までの開心術404症例中, 術後1週間以内に血清クレアチニン値が2.0mg/dlを超える49症例(12.1%)を腎不全症例とした。これらに対し, 内科的ないしそれに引き続く腹膜透析(PD)を主とする治療を行ったが, その治療成績を検討し, 低心拍出量症候群(LOS)の有無, 尿量, BUN値, 心疾患別に比較検討を行った。
(1)67.3%が腎不全より脱却したが, PDないし血液透析(HD)を要した17症例についての成績は不良(23.5%)であった。(2) LOSの合併例では尿量の如何を問わず成績は不良(21.0%)であった。又, LOSの非合併例では予後は良好(96.6%)であるが, BUN値が100mg/dl以上の値を10日間持続する症例では, 尿量が維持されていても, 内科的療法ないしPDでは限界があった。(3)先天性心疾患ではLOSを伴い, 回復率は悪いのに対し, 後天性心疾患ではLOSを伴わない症例が多く, 回復率は良好であった。(4)腎不全症例の回復率及び生存率は, LOS・尿量・BUN値に大きく影響されていた。
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橋本 聡一, 淡田 修久, 李 龍彦, 中元 賢武, 中村 憲二, 井内 敬二, 森 隆, 長岡 豊, 沢村 献児, 大川 晋一, 萩原 文 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
629-632
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
経皮酸素分圧・炭酸ガス分圧用複合多目的電極を6例の開心術症例に応用した。本電極は大阪大学医学部分子生理化学教室萩原が開発し, 住友電工で試作したものである。本電極で測定した酸素分圧は体外循環中のデータを除外して動脈血酸素分圧との相関は相関係数0.54となった。これは4例が成人で皮膚が厚い事, 低体温法を用いた事, 低心拍出量, 血液稀釈等の影響があったためと考えられる。
幼児2例では経皮酸素分圧と動脈血酸素分圧とが比較的よく一致していたので小児を対象とする領域では有用であると考えられる。
炭酸ガス分圧は動脈血ガス分析結果と比較して相関係数0.82と良い相関を示した。
本電極の応用対象を成人開心術とした場合には尚改良の余地があると考えられるが, 本電極の将来性には充分期待し得ると思われる。
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谷下 一夫, 棚沢 一郎, 山口 隆美, 菅原 基晃
1983 年 12 巻 2 号 p.
633-636
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
血液における炭酸ガスの輸送は, 赤血球内の炭酸脱水酵素と関与しながら何段階もの化学反応を伴うので, 酸素の輸送と比べるとはるかに複雑なプロセスを経る。従って血液中の炭酸ガスの輸送は数多くの因子により支配されるので, 輸送のふるまいに関して定量的に把握されていない点が多い。本研究では人工肺設計あるいは性能評価に適用することを目的として血液における炭酸ガスの拡散係数を準定常法によって測定した。一定な厚み(~300μm)を持つ血液層を濃度の異なるCO
2-N
2混合ガスではさみこみ, 血液層を通過する炭酸ガス量から拡散係数を決定した。測定はイヌの血液を用いておこなった。炭酸ガス分圧が43mmHgと63mmHgとの間でおこなった測定では, 血漿たん白, 赤血球などは拡散に対して抵抗を示し, 拡散係数の低下の原因となった。低炭酸ガス分圧のもとでは, 拡散係数の増加が見出され, 炭酸ガス輸送の特徴と思われた。
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辻 隆之
1983 年 12 巻 2 号 p.
637
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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山中 忠衛, 佐々木 寛治, 奥山 寛, 小林 力, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
1983 年 12 巻 2 号 p.
638-641
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
抗凝固剤(ヘパリン, FUT-175, MD-805)の透析膜性能劣化に対する影響を検討するために, キュプロファン, ケン化セルロース, PMMA膜の中空糸透析器を用い, 使用後透析器の局所総括物質移動抵抗をインパルス応答法により測定した。測定は透析終了直後および1時間保存後に行なった。抵抗増加(ΔR)は膜表面と血液成分との相互作用による膜性状変化を表わすものと考えられる。透析直後の測定においては, 抗凝固剤, 膜材料によるΔRの統計的有意差はみられなかった。これに対して, 1時間保存後の測定においては, セルロース系膜に合成抗トロンビン剤(FUT-175, MD-805)を用いたとき, 特に静脈側において著しいΔRの増加がみられた。この原因としては, 抗凝固剤の作用機序, 機能時間などの原因の他に, 膜材料と血液との相互作用が抗凝固剤により異なることが想定される。この結果は, 透析器再使用において, 透析膜性能劣化が起こり得ることを示唆するものである。
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内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 尾畠 昭二, 春名 邦昭, 尾畠 洋司, 春名 一八, 川橋 勝, 山根 忠之, 窪津 彰, 中路 修平, 高島 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
642-645
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
著者らは出血傾向を有する患者を中心に, EVAL-HF透析器(KF101)によるNon-anticoagulant H. D. (NAHD)を延べ約1.680回施行し, 良好な結果が得られつつある。今回はEVAL膜の抗血栓性の機序を解明するために, NAHD後の膜の内表面の蛋白付着物質を, GPCおよびSDS電気泳動の手法によって検討した。
その結果, EVAL-HFでは付着物質の大部分はアルブミンからなり, 少量のγ-グロブリンも存在していた。この傾向はKF-101の通常透析でも同様である。一方セルローズHFではフィブリノーゲンが主成分であり, アルブミンも少量存在した。これらの測定結果から, EVAL膜へのアルブミンの選択吸着がEVAL膜の抗血栓性へ寄与し, NAHDを可能にしているのであろう。
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清水 輝久, 長友 節夫, 木藤 隆好, 増田 宏, 北田 修, 森田 博之
1983 年 12 巻 2 号 p.
646-648
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
近年、慢性透析患者で出血性疾患を合併した症例に、抗凝固剤としてGabexate Mesilate (G. M.)を使用するFOY透析が有効な治療法として試みられる様になった。しかし、G. M. の抗凝固作用が弱く失活も速いために、治療中に血液回路内に凝血が発生し問題となる場合がある。そこで我々は、血液回路内をシリコナィズしたFOY透析用血液回路を試作し、これを使用してFOY透析3例、無抗凝固剤透析3例、延べ17回の血液透析を施行した。その結果、全症例ともチヤンバー内圧の上昇を認めずチヤンバー交換もなしで5時間の血液透析が続行出来た。使用後の血液回路内の残血量は、従来の血液回路に比し約50%減少した。透析中の血液凝固時間はポリ塩化ビニール製血液回路に比し有意な延長はみられなかった。血液回路内をオルガノポリシロキサンでシリコナィズする事により抗血栓性に効果があった。
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Y. TATSUMI, M. UMEDA, T. TERADA, K. EZAKI, N. KASHIWARA, S. YAMAGAMI, ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
649-652
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
The effect of heparin on platelet function was studied in the normal control and renal failure patient groups. The following results were obtained.
1) Heparin enhanced the ADP induced platelet aggregation in the PRP containing citrate from normal subjects.
2) No significant difference in the aggregation without heparine was found between undialyzed, dialyzed chronic renal failure patients and normal subjects.
3) The aggregation with heparin in the undialyzed chronic failure patients was significantly attenuated as compared to the normal subjects.
4) The dialyzed chronic renal failure patients showed little enhancement in the aggregation with heparin.
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泉 暢英, 海本 浩一, 加藤 禎一, 田中 寛, 吉本 忍, 岸本 武利, 前川 正信
1983 年 12 巻 2 号 p.
653-656
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Cuprophan, PMMA, Cellulose Acetateを膜素材とする3種類のDialyzerを用い、血液透析中の白血球数および血小板数の経時的な変化を観察した。白血球数と血小板数は経時的に変化したが、Dialyzerの膜による一定の傾向はみられなかった。次にCuprophan, PMMAについて白血球数、血小板数に加えて血漿β-Thromboglobulinの変化を血流量(QB)を考慮して検討した。血液透析前と開始30分後とを比較すると、QBが100, 200ml/minのいずれにかかわらず、血小板数は減少しβ-Thromboglobulinは増加したが、血小板数の減少率はCuprophan膜において、また血漿β-Thromboglobulinの増加率はPMMA膜においてQBが200ml/minの時に有意に抑制された。またQBが100ml/minの時、血漿β-Thromboglobulinの増加率はPMMAがCuprophanより有意に高かった。なお白血球数の減少率は、QBの影響を受けなかった。
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山上 征二
1983 年 12 巻 2 号 p.
657
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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屋ケ田 和彦, 渡辺 俊文, 川口 博昌, 大坪 修, 高井 信治, 高橋 浩
1983 年 12 巻 2 号 p.
658-661
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
吸着剤を用いて, 尿毒症物質を除去するとき, 最も問題となる物質は尿素である。尿素は, 非常に安定でそのままの形では吸着されない。そこで, ウレアーゼでアンモニアに分解後, 何らかのアンモニア吸着剤で吸着除去する方法が最も広く用いられている。
我々は, Ch~C8化学における解媒として用いられている物質を改良して, 新しいアンモニア吸着剤を開発し, 透析液の再生および経口吸着剤に応用した。
新開発のアンモニア吸着剤は, 吸着速度に優れ, 装着型人工腎臓の軽量化が期待できることがわかった。また, 動物実験による経腸投与実験において, 腎不全患者に対する経口吸着剤としての効果も認められ, 今後, ウレアーゼを固定化し, マイクロカブセル化することで, さらに効果を上げることが可能であると思われる。
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―酸化デンプンおよび活性炭の効果―
関口 孝, 衣笠 えり子, 中山 文義, 高橋 健, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三, 中林 宜男, 堀内 敏行, 遠山 純子, 小 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
662-665
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
尿素・アンモニアの選択的な経口吸着剤であるoxystarch (dialdehyde starch; DAS)と経口吸着療法用活性炭AST-120の併用療法を施行し, 臨床所見, 検査データに対する効果を検討した。まずin vitroにおけるDASのアンモニア吸着能について検討すると, 吸着能発見, 吸着速度とも尿素より速く, 最大吸着能は約0.13mM/gであった。in vivo studyで6例にDAS5~24g, AST-120 21cap併用療法を試みた結果, BUNは全例で20~30%低下した。血清Cr値, 尿酸値も低下する症例がみられたが, いずれも軽度低下に止まった。自覚症状については便秘, 掻痒感の改善が認められ, 特に前者により緩下剤の投与は全例で不要となった。問題点は服用量が多く, 服用継続が困難なことである。以上の成績から, 経口吸着剤併用療法は薬剤の形状・投与法など改善すべき点はあるが, 透析療法の補助手段として, 透析導入時期遷延化, 治療時間の短縮・頻度の減少などに有用と考えられる。
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―非固定化ウレアーゼカラムの開発―
川口 博昌, 渡辺 俊文, 屋ケ田 和彦, 杉本 久之, 西村 光世, 高井 信治, 高橋 浩, 大坪 修
1983 年 12 巻 2 号 p.
666-669
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
透析液再生方式の人工腎臓では, 血中より透析液中に移行した尿素は, ウレアーゼによってアンモニアとCO
2に分解し, これをアンモニア吸着剤にて吸着, 除去することで処理している。しかし, これまで, ウレアーゼは, その酵素活性が時間とともに低下する問題があり, 何らかの方法で失活を防ぐ必要がある。今回, 我々は, 透析液に市販のアミノ酸製剤を添加したものに粉ウレアーゼを溶解し, H, F, A, K, の灌流液側に充填, 血液側に再生すべき透析液を灌流する構造のウレアーゼカラムを試みた。灌流する透析液にも, ウレアーゼカラム内のウレアーゼ溶液と同濃度にアミノ酸製剤を添加して, in vitro試験, in vivo試験を行ったところ, いずれの場合にも, 尿素のアンモニアおよびCO
2への分解が経時的に安定して行われ, カラム出口で高濃度のアンモニアが観察された。この方法が, ウレアーゼの失活を防ぐ, 1つの有用な手段であることがわかる。
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―Pkineticsの検討―
斧原 三恵子, 国友 哲之輔, 杉崎 弘章
1983 年 12 巻 2 号 p.
670-675
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
慢性透析患者の骨障害に深い関係をもつといわれている血中Pレベルに対し, 透析治療(HD)およびアルミゲル投与がどのような影響を及ぼすかを定量的に調べるため, 臨床評価とシミュレーション解析を行なった。
1) PはHD中にもreboundしたり, 除去率が前値に依存するなど, BUNやCRとは異なった挙動を示す。
2)細胞外液を対象とした単一プールモデルで, 治療時間とともに亢進する見掛けの産生速度(G)を仮定すると, Pの特異的な血中動態がシミェレートできる。このモデルによると, HD終了時のGは開始時のそれに比べ30~300倍に達している。
3)アルミゲル投与により血中Pは有意に低下するが, その低下量はアルミゲル投与量に比例しない。
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峰島 三千男, 新井 信之, 岡部 正明, 神品 順二, 竹沢 真吾, 酒井 清孝, 酒井 糾
1983 年 12 巻 2 号 p.
676-679
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
血液浄化療法による患者の治療効果やモジユールの性能を評価する場合、一般に血液サンプリングが施行されている。しかし、得られた血液濃度は血球分離や除蛋白操作を経た後の血漿濃度や血漿水濃度である場合がほとんどである。従つて血液浄化療法によつて血漿濃度が50%減少しても、血球内液では10%しか減少していないこともあり、血漿濃度が誤つた情報を提供する可能性がある。そこで本研究では溶質として尿素、クレアチニンを選び、牛血定常実験により赤血球による影響について調べた。この結果、尿素の赤血球膜透過速度はきわめて速く、クリアランスとしては全血流量Q
Bを用いるべきことがわかつた。一方、クレアチニンはモジユール滞留時間内ではほとんど血球内から流出せず、クリアランスとしては血漿濃度、血漿流量を用いなければならない。クレアチニンに及ぼす赤血球の影響はむしろ治療時間のオーダーで効き、血球とのrebound現象は治療後15時間にも及ぶことがわかつた。
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鈴木 利昭, 西堀 文男, 松本 和之, 犬塚 信子, 佐中 孜, 太田 和夫, 酒井 良忠, 鬼沢 美知子, 国友 哲之輔, 菊地 広男, ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
680-683
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
安定期透析患者6名を対象として中分子量物質(MMS)の除去の良いFiltryzer® B1-L (2.1m
2)および低分子量蛋白まで除去するTK-401 (2.1m
2)を用いて週3回3時間透析を目標とし短時間透析(STD)について検討した。MMS関連指標としては血中および濾液中のβ
2-MG, 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でのピーク2(P2)の測定を行なった。P2はTSK-G2000 SW+TSK-G3000SWを用いたHPLCによって分画され, その分子量は2000-4000と推定される。この物質は健康人の血中には証明されないが, 健康人の尿中ならびに尿毒症患者の血中に証明されている。またSTD患者の検査成績を5時間時のものと比較したところBUN, creat, Ht, β
2-MG, P2ではそれぞれ100%, 109%, 106%, 53%, 85%であった。以上のことからB1-LならびにTK-401を用いたSTDはMMS関連指標からみても何ら問題はなく, 体重増加率5%以下の自己管理良好な症例ではSTDが可能であり, さらに蛋白透過型dialyzerによるHDFなどで一層の短時間化が可能となろう。
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小出 桂三
1983 年 12 巻 2 号 p.
684
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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加藤 哲郎, 根本 良介
1983 年 12 巻 2 号 p.
685-688
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Drug delivery systemによるtargeted anticancer therapyとしてマイクロカプセル化抗癌剤の選択的動脈内注入法に関する臨床成績について述べた。本法はdrug-carrierとして, エチルセルロースマイクロカプセルを用い, 抗癌剤の局所化学療法と腫瘍支配動脈の塞栓術の相乗効果を目的とした局所癌治療法である。この治療法が種々の病巣に適応できることが明らかにされたが, 動脈カテーテル法に依存するため播種性病変を対象にし得ないのが難点である。これを解決する手段として磁気誘導癌化学療法を考案し, 本法による動物実験の一部を紹介し, 将来の展望を示した。
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嘉悦 勲, 吉田 勝, 浅野 雅春, 山田 明夫, 桜井 靖久, 中村 光司, 高崎 健, 羽生 富士夫, 中井 克幸, 山中 英寿, 志田 ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
689-692
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
徐放性機能を有する薬物―ビニル系合成高分子複合体を低温放射線重合法によって調製した。制癌剤を含有する複合体をこの方法により作り, 癌病巣に直接埋入・留置する局所的投与法を用いてその有用性を検討した。この投与法の特徴として, 薬物の浸透作用する領域が投与箇所周辺組織に限定されていること, 副作用が全く認められないこと, などが明らかとなった。現在, この複合体を200症例におよぶ膵癌・肝癌などに適用し, 有効性の評価を行っている。一方, 同じ方法でアンチアンドロゲン, ステロイドホルモン含有複合体を作った。これらの薬物は微量の血中濃度で薬理作用があらわれるので目的臓器から離れた遠隔部位に複合体を埋入し, 血液循環により薬物を運んで作用させる方法を検討した。さらに、微粒子状複合体を作り, これをターゲットに吸着, 集積させるため粒子表面にミサイル物質を結合させ, その挙動と効果を調べた。
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山県 淳, 阿岸 鉄三, 奥村 俊子, 吉田 美喜子, 梅津 隆子, 太田 和夫
1983 年 12 巻 2 号 p.
693-696
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
29例の悪性腫瘍症例に制癌剤の栄養動脈内大量投与と活性炭による吸着療法を併用して22例が評価可能であった。
膀胱癌では9例中4例44.4%, 腎癌で4例のうち2例が有効であり, 泌尿性器癌19例全体では42.1%の有効率であった。
投与薬剤ではMMC投与例が15例あり7例(46.7%)が有効であった。
投与方法では動注時間が15分以内のone shot群で有効率は50%であり, 60~120分の持続動注群の33.3%にくらべ有効率が高かった。
副作用は悪心21%, 嘔吐11%にみられ, MMCの持続動注を受けた症例の3例は局所に潰瘍を形成した。白血球減少は34.5%, 血小板減少は26.9%であり, 持続動注群の方が出現頻度が高かった。
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中尾 昭公, 近藤 達平
1983 年 12 巻 2 号 p.
697-700
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
膵癌は消化器癌の中でも早期発見が困難であり, 診断時には門脈浸潤を伴うものが多い。門脈合併切除は門脈遮断に伴う種々の問題から危険とされ, 一般に切除不能とされてきた。そのため切除率, 予後ともに極めて悪い。しかし抗血栓性材料(東レ, H-RSD)からバイパス用カテーテルを試作し, 術中, 一時的に腸間膜静脈血を大腿静脈ヘバイパスし, 安全に門脈遮断を時間の制限なく可能とした。そして門脈合併膵全摘術を膵癌の基本術式として安全に施行可能とした。術式は上腹部正中切開にて開腹し, パイパス用カテーテルを腸間膜静脈と大伏在静脈の間に留置し, 膵適除操作に先立って膵上縁にて門脈, 膵下縁にて上腸間膜静脈を結紮切離した後, 門脈合併膵全摘除を施行する。再建は門脈上腸間膜静脈端々吻合を施行し, 後結腸にて今永工法にて消化管を再建し手術を終了する。この術式によって切除率の著明な向上が実現され, 膵癌治療成績の向上が充分期待できる。
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横山 正義, 長柄 英男, 板岡 俊成, 中島 秀嗣, 和田 寿郎
1983 年 12 巻 2 号 p.
701-704
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
悪性腫瘍組織を摂氏42度に温度上昇させると、腫瘍組織が血行障害を生じ、酸性にかたむき、懐死におちいる。
癌が転移している場合、局所的加温のみでは治療とならないので、全身加温が必要である。その最も容易な方法は体外循環による血液加温である。左側または右側の大腿動脈より脱血し、250mlのリザバーに貯血し、熱交換器を介して、44~45度の血液を同側の大腿静脈に送血する。人工心肺装置を使用すれば、容易に1~2l/分の流量を得る。
本法で加温を開始すると、30~40分間で37度から42度に上昇する。ここで抗癌剤投与を施行すると同時に、3~6時間、この温度で体温を維持する。
これまで8症例に19回の治療を行った。肺癌3例、肝癌2例、乳癌1例、胃癌1例、前立腺癌1例である。治療前疼痛のあった3例は、痛みが軽快している。また他の例でも癌病巣の進行停止が観察されている。
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柄川 順
1983 年 12 巻 2 号 p.
705-708
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
がんに対するハイパーサーミア療法(温熱療法)は、生物学的基礎研究によれば、単独、又は放射線、化学療法との併用で、かなりの効果が期待できる。その臨床成果は一つには、局所的、区域的な加温装置の開発の成否と関連がある。2450MHzマイクロ波では深部への到達力が弱いが、比較的安全に42℃以上の加温域をつくる, ことができる。しかし深さ2cm止りである。アプリケータを工夫することによつて表在性しゆようや、子宮けい部などのくう内加温をおこなうことができた。温度測定には銅、コンスタンタン熱電対を用いた。超音波加温装置は、実験用として1MHz 5個の平面超音波振動子をビーム交差型としパワーを集束させた。X, Y, Z軸方向にスキヤニングさせ、直径1cmの円の部分の加温をおこなつた。この成果をもとにして現在、人がんへ応用可能な装置を試作中である。RF磁場加温装置は、より広い範囲の加温用として試作された。目下、臨床利用へ向つて検討中である。
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柄川 順, 嘉悦 勲
1983 年 12 巻 2 号 p.
709
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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Tadasu SAKAI
1983 年 12 巻 2 号 p.
710-712
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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T. KISHIMOTO, S. YAMAGAMI, T. OHYAMA, K. EZAKI, H. KOBAYAKAWA, T. YAMA ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
713-716
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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Kenji MAEDA, Takahiro SHINZATO, Masatsune USUDA, Ryozo SEZAKI, Masaaki ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
717-720
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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Seinosuke NAKAGAWA
1983 年 12 巻 2 号 p.
721-723
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
The issue of optimization of hemodialysis was once discussed in the light of middle molecule as a sole possible target of dialysis modality determination. However, our experimental and clinical results obtained in the past which assayed the effects of both small and middle molecular fraction were contrary to the hypothesis; It can never be a sole parameter. On the other hand, a weak neurotoxin capable to cause peripheral neuropathy exists in a small group of patients. For this kind of patient, a strategy exclusively against middle molecular fraction such as direct hemoperfusion can be valid. Recent interest on biocompatibility is also proposing new aspect on adequacy of hemodialysis. The idea of biocompatibiltiy is essentially a function of multiple parameters. For example, a combination of synthetic polymer membrane, l-ray sterilization, hypernatremic bicarbonate dialysate seems to a good choice among various modalities. Howevere, since pathophysiological conditions of dialysis patients differ from case to case, modality of dialysis should be individualized. There is no one best modality.
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H. HIRASAWA, M. ODAKA, H. KOBAYASHI, Y. OHTAKE, S. ODA, S. KOBAYASHI, ...
1983 年 12 巻 2 号 p.
724-727
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Previous study from our laboratory has shown that a new modality of hemopurification using hemodialyser and charcoal hemoperfuser has the higher clearance of BUN, creatinine and uric acid than the conventional modality using hemodialyser alone. Furthermore the new modality seems to have higher ability in removal of middle molecular sbstances. Taking those fundamental data into consideration, we have applied the new modality to the treatment of chronic renal failure (CRF) and acute renal failure (ARF). The new modality was found to be effective to decrease the frequency of hemopurification treatments per week among CRF patients, to shorten the each treatment time of hemopurification for CRF patients, to treat the uremic pericarditis being possibly caused by uremic toxins, to maintain the residual kidney function of CRF patients during the initiation period of the hemopurification. The new modality was also effective in the treatment of ARF. We used the direct hemoperfusion for the treatment of ARE with the expectation that the hemoperfuser would function as the artificial reticuloendothelial system removing the various toxins from blood stream. Thus we concluded that the new modality using hemodialyser and hemoperfuser simaltaneously was very effective for the treatment of CRE and ARF.
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Eli A. FRIEDMAN
1983 年 12 巻 2 号 p.
728-731
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
Uremia therapy made possible in 1960's by Scribner has grown to sustain more than 200, 000 patients world wide at a cost in excess of $2 billion annually. Examination of the process by which physician and patient select treatment indicates that geographic, economic, physician and patient bias, and ethical pressures contribute to formulation of the decision. Recognition of these variables facilitates acceptance of evolutionary changes as they take place.
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Carl M. KJELLSTRAND
1983 年 12 巻 2 号 p.
732-736
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー
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能勢 之彦, 杉野 信博
1983 年 12 巻 2 号 p.
737
発行日: 1983/04/15
公開日: 2011/10/07
ジャーナル
フリー