育種学雑誌
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16 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 池田 長守, 宇渡 清六
    1966 年16 巻3 号 p. 145-150
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.ゲノム構成既知の M.rotundifolia(RR), M.spicata(RRSS), M.spicata var. crispa の2系統(RRScSc と RRScSc1α1α2α2α3α3)ならびにM.arvensis var. agrestis(RaRaSSJJ)を分析種とし,これらを M.tomentosa (2n=48) と交雑して,後者のゲノム構成をRRSSと決定した。2.M.rotundifolia, M.spicata および M.tomentosaの形態的特性を比較し,ゲノム構成を考慮し,地理的分布を勘案して, M.tomentosa は M.spicata と M.rotundifoliaの自然交雑に由来するものと推定した。
  • 村上 寛一
    1966 年16 巻3 号 p. 151-157
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    (1)白菜の選択受精に関する一連の研究,とくに遺伝学的研究結果を基礎にして,選択受精を利用するF1採種法を理論的に組み立て,また実用面についての2,3の実験をも行なった。(2)S遺伝子の種類によって,各種の採種法が組み立てられるが,単交雑(Fig.1),3系交雑(Fig.2)および複交雑(Fig.3)について,いくつかの例を示した。(3)F1種子は大粒である傾向はあるが,小粒種子中にもF1がかなり含まれている(Table1)。またF1種子は品種内交雑種子より発芽が速く(Table2),幼苗期に間引きによって,F1個体のみを残しうる可能性がある。(4)F1の耐病性(バイラス・軟腐病)は現品種よ高い(Table3)。(5)花心白菜に対する混合受粉で,品種間交雑率は自家不和合個体より,自家和合体で高い(Table4)。
  • 皿嶋 正雄
    1966 年16 巻3 号 p. 158-164
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.本報告は Brassica 属の n=10群と n=9群の交雑によって得られた人為複2倍体(創成ナプス)の第4~5世代の花粉母細胞分裂,種子稔性および体細胞染色体数などを観察し,後代に現われた変異と,ナプス植物の安定のため選抜を行なった経過である。2.第4~5世代の花粉母綱胞分裂期の染色体がきわめて不規則な行動をする系統と,比較的安定Lた行動をする系統がある。(第1,第2,第5および第6表)。前者は各世代自殖をつづけた系統であり,後者は創成ナプスと既存ナプスを交雑して得た系統である。
  • 杉山 範子, 志村 喬
    1966 年16 巻3 号 p. 165-173
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    チヤの葉を人工的に低温および高温処理したとき,耐凍性と葉の細胞の浸透圧,水分その他の化学成分が受ける影響を調べた。供試材料は日本種として,ヤブキタ,Y-3,U-22の3品種,インド雑種として,X-10,ベニホマレの2品種を用いた。このうちU-22は3倍体(2n=45)で,他はいずれも2倍体(2n=30)である。人工低温処理は0℃で7日間,高温処理は20℃で7日間材料を保存した。10月から12月中旬までに低温処理を行うと,すべての品種で耐凍性が増大したが,それ以後は増さなかった。自然状態で耐凍性の大きい1月から3月にかけ,高温処理を行なうと,すべての品種で耐凍性が減少した。耐凍性が増大する10月から12月にかけ低温処連を行うと,葉の細胞の浸透濃度は増加し,葉の水分含量はわずかながら減少した。1月および2月の葉の浸透濃度高く,水分が少ない時期には・,高温処理により,浸透濃度は減り,水分は増した。低温処理により耐凍津が増大するとき,すべての品種の葉の全糖含量が増加したが,還元糖の含量と低温処理の効果は明かでなかった。1~2月高温処理で,全糖と還元糖の含量はわずかに減少した。葉のタンニン含量は低温処理で,減少したが,高温処理の影響は品種によって一様でなかった。全窒素含量は低温処理で影響されなかったが,水溶性窒素含量は減少する傾向があつた。水溶性蛋白質はすべての品種で,低温処理により増加した。しかし高温処理の影響は全窒素,水溶性窒素および水溶性蛋白質ともに明かでなかった。以上の実験から葉の水分,浸透濃度,全糖,水溶性蛋白質等は耐凍性と密接な関係があることが推定できる。
  • 渋谷 紀起
    1966 年16 巻3 号 p. 174-178
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.水稲農林41号の部分雄性不穏稲には同品種正常稲と異る細胞質(S)があり,Sのもとにおいて部分雄性不稔性が単純劣性遺伝をするものがある。Sは環境変異しやすく,低温のもとでタベート異常肥大を増発し不稔歩合を著しく増加させる。2.低温により発生する異常肥大タベート及び部分雄性不穏稲に発生する異常肥大タベートは,いずれも小胞子第1収縮期から花粉外殻形成期にかけて発生する。
  • 櫛淵 欽也, 橋口 渉子, 伊藤 隆二
    1966 年16 巻3 号 p. 179-183
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Up to now, the procedure in the selective method of rice breeding has been dependent on the breeder's experience and knowledge in almost all cases. It may be possible for the skilled breeder to select exactly some desirable plants or lines in a hybrid population, but it may not be so in general. Therefore, it is very important to systematize the selective method as an objective technique. Application of the selection index theory will be one way to solve this problem. However, in that case, it is necessary to decide how to evaluate the econornic value. This is fairly difflcult.
  • 田中 幸彦, 関口 文彦
    1966 年16 巻3 号 p. 184-190
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    水稲の突然変異誘発に有効な放射線照射の方法を知るために,乾燥休眠種子に対する急照射,発育中の種子(配偶子-胚-休眠完熟種子)の緩照射および発育中の芽(芽の原基-休眠芽)の緩照射を行ない次代に出現する葉緑体変異の頻度,分離比および種類を指標にして検討した結果次のことを明らかにした。1.休眠種子の急照射は変異率が低い上に飽和効果が見られ効率的でない。2.生育中の緩照射は,変異率が高く,単位線量当りの変異率が一定であり,しきい値および飽和効果が見られない。3.発育中の種子の照射は,放射線障害が大きいため,線量に制限を受けるが,発育中の芽の放射線感受性は低くて前者の略2倍の線量に耐え得る。、その結果変異の獲得数は発育中の芽の照射が最も大きく,次いで発育中の種子照射となり,休眠種子照射が最も小さくその比は略9:6:1であった。
  • 淵之上 康元, 淵之上 弘子
    1966 年16 巻3 号 p. 191-198
    発行日: 1966/09/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    茶樹実生繁殖用品種作成の方法論的研究の一部として, Thea sinensis L. 3品種の自家不和合性遺伝子の分析を行なつた。その結果これらの供試材料のもとでは,つぎに示すような一連の gametoPhytic controlをうけ離反因子を想定すれぱ,よく実験結果が説明できることを明らかにした。1,3品種の自家不和合性遺伝子の中には,5個のmultiple oppositional alleles がみとめられ,それぞれの品種はつぎのような因子構成よりなる。 さやまみどり:S1S2 やまとみどり:S2S3 やぶきた:S4S5 2.受精に際しての花粉の反応は,配偶体的に決定される。上記の仮説によりFig.5の実験結果をFig.6のように説明できた。
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