「遺伝的草型」は形態・生理的特性の遺伝的に条件づけられた集合であると定義する。2つの稲品種の交配、Peta(高)×I-g-t(低)、から得られたF
3系統をフィリッピソの国際稲研究所で雨期作と乾期作において、それぞれ種々の形質について測定した。親品種は草丈を支配する1つの主働遺伝子について異なるので、その遺伝子についてホモのF
3系統だけを観察に用いた。この主働遺伝子は種々の形質に多面作用をおよぼし「高型」と「低型」との差をもたらす。筆者らはポリジーンも同様に草型の遺伝的変異の軸を決定すると考る。ポリジーン変異については、「高型」」と「低型」2つの系統群内の形質の遺伝相関を主成分分析法によって分析した。成分ベクトルを「単純構造」に回転すると、2つの草型変異の軸が得られた。一つは「穂数型」と「穂長型」との間の変異を、他は「節間長型」と「節間数型」との間の変異を示すものでおつた。「穂数型」は「穂良型」より多数の短かい穂と小さい葉をもっている。「節間長型」は「節間数型」より少数のよく伸びた節間と直立した葉をもっている。これらの草型の遺伝的変異の軸は形質集合の潜在的傾向を示すと考えられる。F
3系統の集約栽培における収量性は、同じデータから個体当り総穂長(P)と透光率(-K・LAI)の形で推定した。草丈の低い系統は高い系統より生産力がすぐれていた。高低2つの系統群内では、「穂数型」が、また「節間長型」がそれらの反対の型より高い生産力をもつようであった。これらの草型を示す数値はかなり高い遺伝力を示した。遺伝的草型は選抜の目標として役立つと思われる。
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