育種学雑誌
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24 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 藤巻 宏
    1974 年24 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    戻し交雑法によりイネのindica品種のもついもち病抵抗性遺伝子を日本の品種に導入する際に問題となった点を指摘し,その育種的対策を検討した。1)導入しようとする低抗性遺伝子が不利な形質の発現に関与する遺伝子と連鎖していることがある。この場合,育種の規模を拡大したり,自殖世代で低抗性に関して分離している系統を意識的に選ぶなどして,不利な連鎖を破り希望する組換えを高める育種操作が必要である。2)アジアのいろいろな地域から集めた品種が同じ抵抗性遺伝子を含むことが少なくないので,育種の初期に遺伝子の同定を行ない,同じ遺伝子を重複して導入するのを避けるのが望ましい。3)一回親として利用する品種が2つ以上の低抗性遺伝子を含む場合でも,特定の遺伝子だけが取り込まれることがある。
  • Y.K.アローラ , 桃谷 好英, 中尾 佐助
    1974 年24 巻1 号 p. 9-12
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Begonia rexの栽培品種Silver Kingの雄花雌花雄花梗 雌花梗の中のパーオキシターゼをゲル等電点泳動法で調べた.その結果ザイモグラムに,花器の雌雄特異性,発生段階,およびそれらと無関係の非特異性の三種類のバンド群が認められた.すなわちパーオキシターゼ・バンドのうち,2B,3B,3C,2E,3Fは雄花にのみ出現し,2A,1D,3E,4Fは雌花にのみ出現する.雄花と雄花のつぼみのバンド群を比較すると,3C,2E,4Eは雄花にあり,2C,1D,2D,4D,2F,7Fは雄花のつぼみに出現した.これは発生段階による差異である.1A,1Bはいずれのザイモグラムにも出現し,性,発生段階,花器,花梗の如何にかかわらず出現する非特異性のものである.
  • 清家 金嗣, 吉田 雅夫
    1974 年24 巻1 号 p. 13-16
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    本報告はモモの台木用品種の育成上重要と考えられる実用諸形質のうち,赤葉とわい性形質の遺伝を明らかにしたものである。1)赤葉のモモに含まれる赤色色素はPPCによる定性分析の結果,クリサソテミン(シアニジン3-グルコサイド)であると推定された。2)赤葉遺伝子Rlをhomoに持つ個体とheteroに持つ個体では赤葉の色調に差が認められ,両者は表現型で区別できた。3)赤葉とわい性形質はいずれも単一遺伝子関与によるものであり,赤葉および普通型はそれぞれ緑葉およびわい性型に対して優性であると考えられた。
  • 斎藤 清
    1974 年24 巻1 号 p. 17-24
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    (1)近時夏咲鉢花として関心をあつめているアキメネスについて実用的な市販品種6点および著者分型の1点について,今後の育種的知見をうるために,普通栽培にあらわれる一般的性状・倍数性の存在・雌雄両性にみられる不ねん現象の機構・挿芽における発根性の差異などについての観察調査をおこなった。(2)品種別にみてPurple King,White Wonder,紫星および美吉野は二倍体(2n=22)で,一般に中性で茎細く多葉,花は中小輸咲で花弁がうすい。つぎにMaster IngramとPaul Arnoldは三倍体(2n=33)で,草状高く花は大きく花時が長く花弁および葉が厚い。さらに著者が美吉野の球根中から分離しえた「偶発四倍体」(仮名)は2n=44で,極高性太茎で節間長く,葉・花ともに大きく厚く中晩生咲である。(3)花粉母細胞の減数分裂に出現する染色体をみると、二倍体美吉野では第一分裂中期に11IIが,三倍体Paul Arnoldでは11II+11Iが普通にあらわれ,「偶発四倍体」では4個前後の4価染色体とそのほか不定数の3~1価のものが観察された。(4)開花始めのやく内の充実健全花粉の含有率は品種によっていちじるしい差異を示し,二倍体のWhite Wonder,美吉野および「偶発四倍体」はともに高い数字を維持していたが,二倍体のPurple Kingと紫星,三倍体のMasterIngramとPaul Arnoldではほとんどすべてが空虚化し崩壊しており,健全粒はついに1つも見いだせないほどであった。
  • 山口 彦之, 多々良 敦
    1974 年24 巻1 号 p. 25-30
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    北朝鮮産の夏大根麦(Hatekunmek)とエチオピア産のE.36との交雑によってえられる雑種(F1)は,現品種のもつ補足遺伝子の作用によって幼苗致死性である。この原因を細胞学的に明らかにするために,一方の現品種,夏大根麦とF1雑種の発芽初期における根の生長過程と,根端,第1葉,茎頂の分裂組織細胞を調べた。 種子を25℃,暗黒の条件下で発芽させると,種子浸漬後25時間まではF1雑種と夏大根麦の根は殆んど同様な生育を示した。しかし,その後,現品種は正常に生育して80時間目に約36mmとなったが,F1雑種は7mmで枯死した。根端の分裂組織を中央縦断面で比較したところ,75時間目に現品種は930μm,雑種は600μmの長さであった。つぎに,種子浸漬後のいろいろな時間に3H-thymidineを2時間とりこませて,オートラジオグラフ法を用いてスライドを作成した。各固定時間のスライドについて,細胞核上に現像銀粒子が観察された細胞の出現頻度と細胞分裂指数とを記録した。 まず,根端分裂組織では,3H-ラベル細胞は夏大根麦,F1雑種とも種子浸漬後7時間目から現われたが,その後は,F1雑種の場合には30時間目頃から減少し,90時間目には夏大根麦にくらべて約20%減少していた。一方,細胞分裂像は両品種ともに浸漬後12~14時間目から観察されはじめ,その後,30時間目までは同様た増加傾向を示したが,この時間以後は,夏大根麦の場合にくらべて,F1雑種の分裂指数は低下し,浸漬後9O時間目には約35%も減少していた。浸漬後75時間目の根端中央縦断面で伸長帯の細胞の長さを測定した結果,F1雑種では平均130μm,夏大根麦では約190μmであり,F1雑種の細胞の伸長は約30%阻止されていると考えられた。また,子葉鞘では,細胞の伸長は約60%減少していた。これらのことから,F1雑種では,細胞伸長のための代謝活性も低下していることがわかった。
  • 足立 尹男, 蓬原 雄三
    1974 年24 巻1 号 p. 31-37
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1)発育中の水稲胚におよぼす放射線照射の影響を検討するため,水稲品種秋晴を供試し,開花当目から7目目までの各穎果に3,6,12,20kRのX線を照射し,組織学的観察を行なった。2)照射胚および無照射胚の胚の長さ,巾について検鏡測定した結果,照射胚は無照射胚にくらべて,その生長が抑制され,はなはだしい場合には胚の退化をひきおこしたが,その程度は線量の高いほど,また胚の発育段階の初期のものほど顕著であった。3)胚の各発育段階を通じて普遍的にみられる細胞の異常として,細胞分裂抑制,肥大,液胞化,壊死,細胞崩壊による間隙の形成および細胞壁の肥厚だとカミみられた。4)胚器官形成期前後に高線量照射した場合,異常分裂組織が生じた。しかし,これらの異常分裂組織では胚の器官分化はほとんど行なわれることなく崩壊した。5)胚器官の形態的異常については各胚器官ごとに障害の程度および異常の種類を異にし,一般にそれぞれの器官分化開始期が最も照射の影響がはげしくあらわれるものと推定された。
  • 飯塚 宗夫, 小崎 格
    1974 年24 巻1 号 p. 38-44
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 文雄
    1974 年24 巻1 号 p. 45-50
    発行日: 1974/02/28
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
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