育種学雑誌
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17 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 志方 守一
    1967 年17 巻4 号 p. 245-250
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    近交係数の数式表現を一つの一般化された形として紹介した。Fを一般化された近交係数とする時、自殖集団内でFの成分の値を変える変換マトリックスm0のマトリックス成分を組み換えの確率を用いて与えた。ここで、連鎖する3遺伝子座を考慮に入れた。このm0のマトリックス成分の値の数値計算を高速電子計算機によって行なった。その際に課した条件は(一つの例として)第1番目の遺伝子座と第2番目の遺伝子座の間における組み換えの確率を0.10とし、第2番目と第3番目の遺伝子座との間における組み換えの確率を0.01とした。以上の計算例について、祖先におけるF(010)(第2番目の遺伝子座にある相同遺伝子のみが同一祖先から由来した確率)が子孫におけるF(011)(第2、第3番目の遺伝子座にある相同遺伝子のみが同一祖先から夫々由来した確率)に寄与する確率は交叉の干渉の存在によって増加せしめられることが見出された。又そのような寄与は世代を重ねるに従って減少し零に近づくことが分った。
  • 森島 啓子, 岡 彦一, 張 徳慈
    1967 年17 巻4 号 p. 251-261
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    種々の生産形質と草型における遺伝子型・栽培季節相互作用による変異を、国際稲研究所で1964年の雨期作と乾期作に栽培したPeta×I-g-tのF3系統のデータによって研究した。前報(森島など1967)に述べたように、草型の遺伝的変異の2つの軸、αとβは、ポリジーンによる遺伝相関から得られた主要成分ベクトルの「単純構造」への回転によって求められた。α軸は「穂数型」と「穂良型」の間の変異を、β軸は「節間長型」と「節間数型」との間の変異を示すものである。分散分析の結果から、葉と茎の形質、また草型のαおよびβ数値では遺伝子型・季節相互作用による分散は著しく大きく、それらの季節反応は遺伝的に支配されることが認められた。各形質の季節による変化の程度は、反応指数R=X^^→wet-X^^→dry/Xwet+X^^→dry(%)によって比較した。草型の季節による変化については、遺伝的変異の軸αおよびβに沿って起るものと、軸それ自身の変化とを区別して考えた。ポリジーンと季節の相互作用による形質組合せの変異は、αおよびβ草型数値の季節的変化によって、その大部分が説明されることが認められた。したがって、αおよびβ数値の季節による変異の程度から、異なる季節における生育の安定性を推定した。季節適応性と収量性とについての選抜が、遺伝的草型を基準として用いることにより同時に行われ得ることが結論された。
  • 秋浜 友也
    1967 年17 巻4 号 p. 262-265
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    稲雑種集団内における個体間競争力の働きを知るため、はじめに個体当りの競争力の推定方法を確立した。ホウネンワセ(水稲)×田優1号(陸稲)のF2集団に適用した結果、つぎのことが明らかになった。(1)雑種集団の単植と混植における5つの量的形質を比較すると、穂重、わら量および穂数の平均値および分散値は混植において増大し、集団の分布は歪みを生じた。一方、稈長および穂長は変化しなかった。(2)個体の競争力と単植における穂重との間には。軽い負の相関(γ=-0.23**)があり、穂重の平均値附近およびそれより軽い個体が一般に競争力が大であった。このことは、集団育種において人為淘汰への利用の可能性および競争力が集団内変異の保有に有利な働きをもつことを示す。
  • 猪俣 伸道
    1967 年17 巻4 号 p. 266-269
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    二貫〆体菜(2倍体)とチーフ白菜(同質4倍体)の間の交雑は不和合性が高い(西山・猪俣、1966)。これを克服するため、ルピナスの若い種子から抽出した生長促進物質(embryo factor)を含む培地を用いて雑種胚の人工培養を行なった。その結果、正逆交雑とも3倍体の雑種を得た。これらは互いに形態的に類似しており、概して両親の中間形質を示した。ルピナスのembryo factorは菜類の胚の生長にも効果をもつと考えられる。
  • 皿嶋 正雄
    1967 年17 巻4 号 p. 270-275
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Bolting and flowering habits of the synthesized rape were inherited from parental varieties of original species such as n=10 and n=9 groups in the genus Brassica, and were affected by crosses with commercial varieties. In early generations of synthesized rape, vegetative growth showed remarkable vigor, but in proportion to the progress of generations they were gradually reduced in vigor. However, progenies of the synthesized rape regained their vigor when they were crossed with commercial varieties. This tendency may be caused by heterosis, So, it is necessary for them to establish a seed production system keeping remarkable heterosisvigor in vegetative growth, in order to use them as the commercial soiling forage crop.
  • 〓本 勲, 大泉 久一
    1967 年17 巻4 号 p. 276-282
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    Sixteeh male-sterile strains of a-line (male-sterility) and b-line (non-restorer) introduced mainly from the U.S. were tested in this study. It was recognized from the tests of self-and cross-pollinations that all the strains except one or two could be maintained and utilized for producing hybrid seeds. All the strains were recognized as belonging to the dwarf grain sorghum, but there were highly significant variance between strains, especially in plant height, tillering number and green forage yield. The interesting classified table of these traits was obtained and it may be easily used to pick up excellent strains as seed parents for better forage sorghum.
  • 望月 昇, 奥野 忠一
    1967 年17 巻4 号 p. 283-291
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    The principal component analysis and distance method were successrully applied to the classification of many native maize lines by using an electronic computer. The classification based on this statistical method generally agreed with that based on the conventional method. Biological meanings of the extracted principal components and selection of breeding materials were discussed.
  • 杉山 範子, 志村 喬
    1967 年17 巻4 号 p. 292-296
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    筆者らは、先の実験により耐凍性の増大と共に葉緑体の形態及び構成成分が変化することを報告した。葉の主蛋白質である葉緑体水溶性蛋白質が、耐凍性の異る5品種:ヤブキタ、U-22、Y-3、ベニホマレ、Kyannから抽出された。その結果葉緑体水溶性蛋白質が次のような特性を持ち耐凍性に関与することがわかった。(1)この蛋白質含量は耐凍性とともに増加する。この蛋白質は-20℃に3時間放置しても変性しなかった。しかし、葉緑体水溶性蛋白質の凍結に対する低抗性の強い品種は耐凍性も強いことが観察される。(2)この蛋白質と結合している糖は耐凍性増大時期に増加しはじめる。耐凍性の弱い品種は、この糖含量が少ない。(3)葉緑体の凍結抵抗性は耐凍性とともに増加する。葉緑体は凍結(-20℃)によって被害をうけやすい。葉縁体の凍結低抗性の品種間差異は全くみられない。(4)葉緑体を構成するもう一つの蛋白質として、葉緑体不溶性蛋白質があり、これは凍結-低温-に弱いと言われている。筆者らの実験によれば、この蛋白質に結合する糖含量は少なく、一年をとおして一定しており、耐凍性の増減とは無関係であった。又、この糖含量について品種間差異は認められない。(5)耐凍性増大時期において、糖類中大きい部分-75~70%-をしめるのはsucroseであった。stachyose及びraffinoseも少量ではあるが含まれており、これらの糖は耐凍性増大と平行して増加した。これらの糖含量が多い品種ほど耐凍性が強い。一方glucoseとfructose含量は耐凍性の増大に伴って減少した。
  • 岩崎 文雄, 細田 友雄
    1967 年17 巻4 号 p. 297-301
    発行日: 1967/12/25
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    前報(岩崎ら、1966)では菜類の単一ゲノム型品種を用い、それらの抽苔のしかたと生長点の形態的変化および生長点の表面を覆っているTunica層の層数'変化との関連を調べた結果、その形態的、層的な変化はゲノム型の違いによってかなり明瞭な差が認められたことを報告した。しかしながら、菜類には第1図に示してあるように、単一ゲノム型品種のほかに複合ゲノム型品種もまた多い。本報告は単一ゲノム型品種に認められた生長点の形態的・層的な変化が複合ゲノム型の品種にどのように現われるかについて調べたものである。
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