育種学雑誌
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29 巻, 4 号
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  • 山田 利昭, 堀野 修, 佐本 四郎
    1979 年29 巻4 号 p. 279-286
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    堀野・山田(1978)によってイネ白菜枯病抵抗性と判定された品種の一つであるIR28のイネ白菜枯病菌I~V群菌に対する低抗性の遺伝解析を行う目的で,IR28,トヨニシキ射よびそれらの雑種F1およびF2集団を供試し,3針接種法により抵抗性を検定した。IR28のIおよびV群菌に対する低抗性は質的低抗性であって,各々1個の優性主働遺伝子に支配されること,および両遺伝子は組換価約4%で密接に連鎖していることが明らかにされた。一方,IR28のll,lllおよびlV群菌に対する抵抗性は量的抵抗性とみられ,これらの菌糸に対する低抗性のF2世代における広義の遺伝力は0.718(ll群菌),0.909(lll群菌)および0.835(lV群菌)といずれも高い値を示した。また,F2世代におけるI~V群菌に対する発病度相互間の表現型および遺伝子型相関のいずれもが正の値を示し,特にII,IIIおよびIV群菌に対する発病度相互間には0.7~0.9の高い遺伝子型相関が示された。以上のことから,IまたはV群菌のいずれかの菌糸による検定で,両菌系に対する低抗性の同時選抜を行い得る可能性が高いこと,また,ll,lllおよびlV群菌に対する量的低抗性も選抜の対象になり得ること,さらに,II,IIIおよびIV群菌に対する発病度相互間に高い遺伝子型相関があることは,これらの菌糸に対する低抗性選抜にとってきわめて好都合であることなどが結論された。
  • 木下 俊郎, Toshiro KINOSHITA
    1979 年29 巻4 号 p. 287-293
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    10種の植物種について細胞質雄性不稔,核遺伝子的雄性不穏及び除雄剤誘発の生理的腔性不稔植物を材料に用いて,正常型と雄性不稔型植物問でファーストグリーン検定(ヒストン),フォイルゲン反応(DNA)及びニンヒドリン反応(蛋白質)により,小胞子発育段階別に蒲組織化学反応を比較した。その結果,締の内被,タぺ一ト,小胞子(胞原細胞,花粉母細胞または花粉)及び締隔の各組織について雄性不稔植物では反応の弱まることが検出された。従って,花粉不稔の機構として小胞子発育に要する栄養物の維管束系による転流が何らかの原因により抑制され,小胞子または花粉の発育の異常を生ずると考えられる。
  • 細井 徳夫
    1979 年29 巻4 号 p. 294-304
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    水稲品種の感温性,感光性,基本栄養生長性が自然日長下の温度反応すなわち出穂目の年次変動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするため,日長および温度を制御したグロースキャビネットを使用し,日本各地の代表的な44品種の感温性,感光性,基本栄養生長性を求めるとともに,自然日長下の出穂の温度反応を開放型変温装置を利用して求め,両者の関係を重回帰分析(偏回帰と重相関)により検討した。本研究において,日本各地に栽培される品種について,目長の影響を消去した真の感温性がどのような特徴をもっているかが初めて明らかにされた。また真の感温性の強弱は自然日長下の出穂の温度反応の大小にほとんど影響を及ぼさなかった。この現象は感温性の発現が自然目長下においては主として感光性によって強く抑制されていることに起因すると推定され,その感光性の抑制力は生育温度が高い程強い傾向を示した。基本栄養生長性は自然日長下における感温性の発現に対し,生育温度が低い場合にのみ抑制的な作用をもつことを明らかにした。
  • 日向 康吉, 今野 昇
    1979 年29 巻4 号 p. 305-311
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    1.D.muralisを母本とし,B.campestris(市販品種ユキナ)を交雑し,更にユキナを連続戻し交雑することにより,D.muralisの細胞質を持ちユキナの核をもつ雄性不稔系統を育成した。2.本系統の形態はユキナとよく似ているが,花の器管に差が見られる。蜜腺は2個となり,花弁が細く,短い花糸で先の尖った繭の中の花粉粒数は減少していた。雌ずいは形態的にも機育量的にも正常であった。3.本系統には2種類の雄性不稔個体が認められた。繭が裂開したい完全雄性不稔性(MS)のものと,他は小量の花粉を放出する半不稔性(PMlS)のものである。全個体がMSになる系統を得るために,市販ユキナの自殖後代からと,ユキナ(母本)×PMSの交雑後代からと,2つの維持系統を作成した。これらを花粉親として用いることにより完全雄性不稔系統ができた。4.ユキナ(母本)×PMSの次代はすべて締が正常で,多量の花粉を含んでいた。5.Aゲノム(B.campestris)の多数の市販品種とのF1には稔性を回復するものがあり,回復遺伝子の存在が示唆された。本雄性不稔性はB.campestrisの核とD.muralisに由来する細胞質によって支配されていると考えられる。6.維持系統を1系統に固定すると,その自家不和合性によって種子稔性が低下する可能性があることが示唆された。
  • 松尾 孝嶺, 印南 友雄
    1979 年29 巻4 号 p. 312-317
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    国際稲適応性試験(IRAE)およびその後の研究において適応性に顕著な差異のみられたイネ3品種を,温度5水準,N施肥最2水準を組み合せた10環境下に生育させ,生育収量ならびに収量関連形質の変動をしらべて,適応性との関係を考察した。全環境における収量の変動からみた供試品種の安定性の順位はIRAEのCase A(全世界44環境)における一般適応性の順位と一致した。N施肥量の変化に対する特定安定性の順位もこれと伺じであった。しかし温度の変化に対する特定安定性の順位はこれと異なり,さらに高温または低温に対する反応も品種によって著して異なった。これらの結果から品種の安定性の順位が与えられた環境の違いによって異なることがあるのは特定安定性の関与によるものと考えた。そのことから作物品種の適応性は一般適応性と特定適応性とによって構成されており,普通の栽培環境では一般適応性の反応によって収量を表現するが,特定の環境要因が激しく変動する場合には,その要因に対する特定適応性の反応がそれに加わって収量を表現するものと推定される。収量関連形質の環境変化による表理型可変性は品種と環境との組合せによって複雑に表現されるために,品種の収量安定性との問に明らかな関係はみられたかった。ただ生育の比較的初期に決定される穂数と,生育の後期に決定される粒重との可変性は収量の安定性との問にいくらかの関連が認められた。
  • 平田 豊
    1979 年29 巻4 号 p. 318-323
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
    接木変異の存在を明らかにする目的で,ナス2品種を用い,実生および果実のメントール接木実験を行った。その結果,接木当代および接穂に由来する自殖後代に胚軸色の変異が認められた。その変異の内容は.dd(緑色胚軸)からDd(紫色胚軸)およびDD(濃紫色胚軸)からDdへの変異が大部分であった。しかし,ddからDDとDdへの同時変異(G1S2SH/SK(S)-7)やDDからddへの変異(G2S2SK/SH(S)-4-22)も認められた。また交雑のF2に対応する接木後代(分離世代)ではF2と同様,紫~濃紫色胚軸:緑色胚軸:3:1の分離比に適合する系統だけではなく,それに適合したい系統も存在した。なお,現在まで調査を行った胚軸色の変異率は1.44%(93/6469)と高かった。以上の結果は,これまでにナスで得られた接木変異と一致しているだけでなく,高等植物のDNA処理後代に認められている変異の内容とも類似していた。
  • 村上 寛一
    1979 年29 巻4 号 p. 324-328
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 尚雄
    1979 年29 巻4 号 p. 328-340
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
  • 吉田 智彦
    1979 年29 巻4 号 p. 340-341
    発行日: 1979/12/01
    公開日: 2008/05/16
    ジャーナル フリー
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