ダイズ種子中に多量に存在し,ダイズ油の酸化,および,不快青豆臭の発生に関与する酵素,リポキシゲナーゼの3種類のアイソザイム(L-1,L-2,L-3)の有無を検定するために,カロチン脱色反応を利用した新しい簡便な検定法が確立された.各アイソザイムのカロチン脱色試験は,以下のように行った.(1)試験I(L-3検定):検定種子の粗抽出液をリノール酸とカロチン共存下,20℃,PH6.8でインキュベートした.L-3を有する種子抽出液では,2~3分以内にカロチン色素の完全脱色が起こったが,L-3を欠く種子抽出液では脱色が全く起こらなかった(Table1).スズユタカ(Lx3/Lx3)×早生夏(lx3/lx3)の交雑F
2種子中のL-3の有無とカロチン脱色活性の有無は完全に一致した.(2)試験II(L-2検定):検定種子の粗抽出液をアラキドン酸とカロチン共存下,20℃,PH6.8で3分間インキュベート後,メタノールを加えて反応を停止した.L-2酵素はL-1,L-3酵素に比べてアラキドン酸に一対し,特に強い活性を有すること(Table2)から,L-2を有する種子抽出液では速やかにカロチン脱色反応が起こったが,L-2を欠く種子抽出液では著しくその脱色活性が低下していた(Table1)、スズユタカ(Lx2/Lx2)×PI 86023(lx2/lx2)の交雑F
2種子中のL-2の有無は試験I[により正確に判断された.(3)試験III(L-1検定):検定種子の粗抽出液をリノール酸とカロチン共存下,20℃,PH9.0で1分間プレインキュベート後,その混合物のPHを6.8に調整した.L-1酵素は,他の酵素(L・2,L-3)とは異なり,pH9.0付近に、リノール酸に対して高い活性を示すこと(Table2)から,種子抽出液がL-1を有する場合には,プレイソキュベート中(PH9.0)にリノール酸が消費されるため,カロチンの脱色に欠かせないし-3が働くPH6,8に調整した段階では,既に脱色反応は起こらなかった.一方,L-1を欠く場合には,pH6.8に調整後も共酸化に必要なリノール酸がそのまま残っているため,速やかに脱色反応が進行した(Table1)・スズユタカ(Lx1/Lx1)×PI 408251(lx1/lx1)の交雑F
2種子中のL-1の有無は試験IIIにより正確に判断された.
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